17,548
回編集
細 (→受容体) |
細編集の要約なし |
||
| 22行目: | 22行目: | ||
[[αCGRP]]と[[βCGRP]]の2種類のアイソフォームが存在する。[[CALCA]]遺伝子は[[選択的スプライシング]]を受け、カルシトニンまたはαCGRPのいずれかを産生する。CALCA遺伝子からカルシトニンを生成するにはエクソン4が成熟タンパク質として発現される必要があるが、エクソン5とエクソン6が発現するとαCGRPが生成される('''図1''')。一方、βCGRPは[[CALCB]]遺伝子から転写される。 | [[αCGRP]]と[[βCGRP]]の2種類のアイソフォームが存在する。[[CALCA]]遺伝子は[[選択的スプライシング]]を受け、カルシトニンまたはαCGRPのいずれかを産生する。CALCA遺伝子からカルシトニンを生成するにはエクソン4が成熟タンパク質として発現される必要があるが、エクソン5とエクソン6が発現するとαCGRPが生成される('''図1''')。一方、βCGRPは[[CALCB]]遺伝子から転写される。 | ||
αCGRPは中枢および[[末梢神経]]系に多く発現し、[[血管]]拡張作用や、[[神経原性炎症]]([[感覚神経]]が[[炎症]]を促進するメディエーターを放出する)の調節に関与する。一方、βCGRPは主に[[腸管神経系]]に発現しており、[[消化管]]の運動調節に関与すると考えられている。ヒトにおいてはαCGRPとβCGRPは3アミノ酸の違いがあるが、90%の相同性を有し、両者の生理機能に大きな差異はない<ref name=Sexton1991><pubmed>1668388</pubmed></ref>10。本稿では、特にことわりのない限り「CGRP」はαCGRPを指すものとする。 | αCGRPは中枢および[[末梢神経]]系に多く発現し、[[血管]]拡張作用や、[[神経原性炎症]]([[感覚神経]]が[[炎症]]を促進するメディエーターを放出する)の調節に関与する。一方、βCGRPは主に[[腸管神経系]]に発現しており、[[消化管]]の運動調節に関与すると考えられている。ヒトにおいてはαCGRPとβCGRPは3アミノ酸の違いがあるが、90%の相同性を有し、両者の生理機能に大きな差異はない<ref name=Sexton1991><pubmed>1668388</pubmed></ref>10。本稿では、特にことわりのない限り「CGRP」はαCGRPを指すものとする。 | ||
== 構造 == | == 構造 == | ||
mRNAからヒトでは128アミノ酸からなる[[プレプロCGRP]]([[preproCGRP]])と呼ばれる一次産物として合成される。プレプロCGRPはN末端に分泌経路への輸送を指示する[[シグナルペプチド]]を持ち、[[粗面小胞体]]に送り込まれる。シグナルペプチドが[[シグナルペプチダーゼ]]によって切断されると[[プロCGRP]]([[proCGRP]])となり、この中には成熟CGRP配列と、その前後のプロセッシングシーケンスが含まれる。プロCGRPは[[ゴルジ装置]]を経て、[[プロホルモン変換酵素]]([[prohormone convertase]])や[[カルボキシペプチダーゼH]]などの酵素によって特定部位で切断され、さらにC末端が[[アミド化]]されて、成熟したCGRPが生成される。 | |||
CGRPは37個のアミノ酸からなる[[ペプチド]]であり、最初の7個の[[アミノ酸]]が[[ジスルフィド結合]]により環状構造を形成する。この環状構造がCGRP受容体である [[カルシトニン受容体様受容体]] ([[calcitonin receptor-like receptor]]; [[CRLR]])の膜貫通ドメインと相互作用し、活性化する<ref name=Conner2002><pubmed>12196113</pubmed></ref>7。残りのアミノ酸残基、8~37領域も受容体と直接結合するため、ペプチド性受容体[[拮抗薬]]としてCGRP (8-37)が用いられる<ref name=Hughes1991><pubmed>1797334</pubmed></ref>8。 | |||
==組織分布 == | ==組織分布 == | ||