「Adenomatous polyposis coli」の版間の差分

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 APCの塩基性領域は、微小管や微小管結合タンパク質EB-1と結合する。したがって、微小管が関与する様々な細胞機能にAPCが関わっているであろう。実際、微小管が誘導する細胞分裂時の染色体分離に、APCが関与している事実が報告されており、Apcの異常によって、染色体分離がうまくいかずに染色体不安定性が増大し、がん化を誘発すると考えられる29, 30) <ref name=Fodde2001><pubmed>11283620</pubmed></ref><ref name=Dikovskaya2007><pubmed>17227893</pubmed></ref>。上皮細胞においてもニューロンにおいても、APCは細胞辺縁部あるいは細胞突起の先端に集積する傾向がある。APCは微小管と結合し、微小管に沿って細胞の辺縁部あるいは突起の先端に運ばれていると考えられている31-33) <ref name=Nathke1996><pubmed>8698812</pubmed></ref><ref name=MimoriKiyosue2000><pubmed>10662776</pubmed></ref><ref name=Votin2005><pubmed>16303851</pubmed></ref>。
 APCの塩基性領域は、微小管や微小管結合タンパク質EB-1と結合する。したがって、微小管が関与する様々な細胞機能にAPCが関わっているであろう。実際、微小管が誘導する細胞分裂時の染色体分離に、APCが関与している事実が報告されており、Apcの異常によって、染色体分離がうまくいかずに染色体不安定性が増大し、がん化を誘発すると考えられる29, 30) <ref name=Fodde2001><pubmed>11283620</pubmed></ref><ref name=Dikovskaya2007><pubmed>17227893</pubmed></ref>。上皮細胞においてもニューロンにおいても、APCは細胞辺縁部あるいは細胞突起の先端に集積する傾向がある。APCは微小管と結合し、微小管に沿って細胞の辺縁部あるいは突起の先端に運ばれていると考えられている31-33) <ref name=Nathke1996><pubmed>8698812</pubmed></ref><ref name=MimoriKiyosue2000><pubmed>10662776</pubmed></ref><ref name=Votin2005><pubmed>16303851</pubmed></ref>。


 APCのC末端には、分子内にPDZドメインを持つ一連の類縁タンパク質が結合する15, 34) <ref name=vanEs2001><pubmed>11237529</pubmed></ref><ref name=Senda2007><pubmed>17572842</pubmed></ref>。この中にはDLG、PSD-95、PSD-93、SAP102など、シナプスに局在するタンパク質が多い。神経伝達物質の受容体やイオンチャネルは、これらのPDZ類縁タンパク質と結合してシナプス膜に凝集し、高次神経機能の基盤となるシナプス伝達を担っていると考えられる。実際、APCがアセチルコリン受容体35, 36) <ref name=Wang2003><pubmed>14502292</pubmed></ref><ref name=Temburni2004><pubmed>15282282</pubmed></ref>、グルタミン酸受容体22)<ref name=Shimomura2007><pubmed>17714185</pubmed></ref>およびシナプスにおける接着タンパク質(ニューロリギン、ニューレキシン)37)<ref name=Rosenberg2010><pubmed>20720115</pubmed></ref>をシナプス膜に集積させていることが示された。
 APCのC末端には、分子内にPDZドメインを持つ一連の類縁タンパク質が結合する15, 34) <ref name=vanEs2001><pubmed>11237529</pubmed></ref><ref name=Senda2007><pubmed>17572842</pubmed></ref>。この中にはPSD-95、PSD-93、SAP102など、シナプスに局在するタンパク質が多い。神経伝達物質の受容体やイオンチャネルは、これらのPDZ類縁タンパク質と結合してシナプス膜に凝集し、高次神経機能の基盤となるシナプス伝達を担っていると考えられる。実際、APCがアセチルコリン受容体35, 36) <ref name=Wang2003><pubmed>14502292</pubmed></ref><ref name=Temburni2004><pubmed>15282282</pubmed></ref>、グルタミン酸受容体22)<ref name=Shimomura2007><pubmed>17714185</pubmed></ref>およびシナプスにおける接着タンパク質(ニューロリギン、ニューレキシン)37)<ref name=Rosenberg2010><pubmed>20720115</pubmed></ref>をシナプス膜に集積させていることが示された。


 発生期のマウス脳においてAPCを放射状グリアで欠失させると、放射状グリアの微小管細胞骨格が不安定化し、極性を維持できなくなる25)<ref name=Yokota2009><pubmed>19146812</pubmed></ref>。同時に、ニューロンの新生と移動が阻害され、大脳皮質の層形成や軸索投射が障害される。
 発生期のマウス脳においてAPCを放射状グリアで欠失させると、放射状グリアの微小管細胞骨格が不安定化し、極性を維持できなくなる25)<ref name=Yokota2009><pubmed>19146812</pubmed></ref>。同時に、ニューロンの新生と移動が阻害され、大脳皮質の層形成や軸索投射が障害される。

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