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(ページの作成:「グレリン(ghrelin)は、成長ホルモン分泌促進因子受容体(growth hormone secretagogue receptor, GHS-R)の内因性リガンドとして胃から発見されたペプチドホルモンである<ref name=Kojima1999><pubmed>10604470</pubmed></ref>(1)。N末端から3番目のセリン残基の側鎖は、中鎖脂肪酸であるn-オクタン酸によって修飾されている。この修飾は、生理活性の発現に不可欠である。グ…」) |
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<ref name=Shiimura2025><pubmed>39833471</pubmed></ref>(38)。 | <ref name=Shiimura2025><pubmed>39833471</pubmed></ref>(38)。 | ||
これらの知見は、GHS-Rを標的とする新規作動薬や拮抗薬の開発を加速させ、個別化医療への応用を可能にする重要な基盤となっている。 | これらの知見は、GHS-Rを標的とする新規作動薬や拮抗薬の開発を加速させ、個別化医療への応用を可能にする重要な基盤となっている。 | ||
5.グレリンの発現 | |||
5.1 グレリンの組織分布 | |||
グレリンは、主に胃底腺のX/A-like細胞で合成・分泌されるが | |||
<ref name=Date2000><pubmed>11089560</pubmed></ref>(3)、 | |||
その他の組織にも広く発現が認められる。消化管では、十二指腸や小腸、大腸においても発現が確認されているが、その発現量は胃と比較して非常に低い | |||
<ref name=Date2000><pubmed>11089560</pubmed></ref>, | |||
<ref name=Hosoda2000><pubmed>11162448</pubmed></ref>(3,7)。 | |||
消化管以外の組織では、膵臓、視床下部、下垂体、腎臓などにおいても発現しており | |||
<ref name=Sato2005><pubmed>15774556</pubmed></ref> | |||
<ref name=Date2002><pubmed>11756331</pubmed></ref> | |||
<ref name=Ghizzoni2004><pubmed>15531502</pubmed></ref> | |||
<ref name=Korbonits2001><pubmed>11322490</pubmed></ref> | |||
<ref name=Mori2000><pubmed>11119706</pubmed></ref>(39–43)、 | |||
それぞれ異なる機能を担うと考えられている。膵臓ではランゲルハンス島のα細胞やε細胞にグレリンが局在しており、インスリン分泌を調節する | |||
<ref name=Date2002><pubmed>11756331</pubmed></ref>, | |||
<ref name=Prado2004><pubmed>14970313</pubmed></ref>(40,44)。 | |||
インスリンの血中濃度と同様に、グレリンの血中濃度も膵動脈よりも膵静脈で高い | |||
<ref name=Dezaki2006><pubmed>17130496</pubmed></ref>(45)。 | |||
5.2 グレリンの細胞内分布と分泌機構 | |||
グレリンは、主に胃底腺領域のX/A様細胞(ヒトではP/D1細胞)で合成されており、その合成経路は一般的な分泌タンパク質とよく似ている | |||
<ref name=Date2000><pubmed>11089560</pubmed></ref>, | |||
<ref name=Rindi2002><pubmed>12107501</pubmed></ref>(3,46)。 | |||
グレリン遺伝子は転写後、スプライシングを経て117アミノ酸からなる前駆体タンパク質、プロプレグレリン(preproghrelin)として翻訳される。その後、プロテアーゼによる切断と、GOATによるアシル化修飾を受けて、最終的に生理活性を持つアシルグレリンが生成される。このアシル化は、小胞体およびゴルジ体膜に局在するGOATによって触媒される | |||
<ref name=Yang2008><pubmed>18267071</pubmed></ref>(2)。 | |||
アシル化されたグレリンは、内分泌経路を通じて血中に分泌され、全身に作用する。一方で、アシル化を受けていないデスアシルグレリンも分泌されており、これにも独自の機能がある可能性が指摘されている。免疫染色および電子顕微鏡による解析から、グレリンが分泌顆粒内に濃縮されて存在していることが明らかとなっている | |||
<ref name=Date2000><pubmed>11089560</pubmed></ref>。 | |||
また、GOATとグレリンは細胞内で共局在しており、アシル化修飾が厳密に制御されていることが示唆されている | |||
<ref name=Yang2008><pubmed>18267071</pubmed></ref>(2)。 | |||
6.グレリンの生理機能 | 6.グレリンの生理機能 | ||