「Intercellular adhesion molecule-5」の版間の差分

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担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 薬理学分野)<br>
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英:Intercellular adhesion molecule-5<br>
略称:ICAM-5<br>
略称:ICAM-5<br>
別名:テレンセファリン (telencephalin)
別名:テレンセファリン (telencephalin)
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 [[脊椎動物]]の[[脳]]は吻側から、[[終脳]]・[[間脳]]・[[中脳]]・[[後脳]]・[[髄脳]]の5つの大きなセグメント構造に分けられる。各セグメントは形態のみならず、機能的にも異なった役割を果たしている。また脳の発生・発達に伴う[[神経細胞]]の[[分化]]・[[移動]]、[[神経突起]]伸長、[[シナプス形成]]、[[神経回路網]]形成などの現象においても、セグメント構造が重要な基本単位となっている。これらのうち終脳は、感覚情報の統合、[[認知]]、[[学習]]・[[記憶]]、[[情動]]、[[意思決定]]、[[意識]]など脳の高次機能を担当する領域([[大脳皮質]]・[[海馬]]・[[扁桃体]]・[[線条体]]など)を含んでおり、高等動物になるほど脳全体の中で終脳が占める割合が大きくなっている。テレンセファリン(ICAM-5)はこのような終脳に特異的に存在するユニークな分子である('''図1''')。
 [[脊椎動物]]の[[脳]]は吻側から、[[終脳]]・[[間脳]]・[[中脳]]・[[後脳]]・[[髄脳]]の5つの大きなセグメント構造に分けられる。各セグメントは形態のみならず、機能的にも異なった役割を果たしている。また脳の発生・発達に伴う[[神経細胞]]の[[分化]]・[[移動]]、[[神経突起]]伸長、[[シナプス形成]]、[[神経回路網]]形成などの現象においても、セグメント構造が重要な基本単位となっている。これらのうち終脳は、感覚情報の統合、[[認知]]、[[学習]]・[[記憶]]、[[情動]]、[[意思決定]]、[[意識]]など脳の高次機能を担当する領域([[大脳皮質]]・[[海馬]]・[[扁桃体]]・[[線条体]]など)を含んでおり、高等動物になるほど脳全体の中で終脳が占める割合が大きくなっている。テレンセファリン(ICAM-5)はこのような終脳に特異的に存在するユニークな分子である('''図1''')。


 1987年、[[wj:森憲作|森憲作]]らは[[嗅覚]]の[[一次中枢]]である[[嗅球]]に存在する様々なタイプの神経細胞に特異的な[[免疫組織化学]]用マーカーを得る目的で、[[ウサギ]]嗅球の[[樹状突起]]間[[シナプトソーム]]を[[抗原]]として[[モノクローナル抗体]]ライブラリーを作製した。その中のひとつ271A6抗体が終脳セグメント(telencephalon)の[[灰白質]]のみを選択的にラベルすることが見出された<ref name=Mori1987><pubmed>3295872</pubmed></ref>。この271A6抗体が認識する終脳特異的抗原分子はテレンセファリン(telencephalin: TLCN)と名付けられた<ref name=Oka1990><pubmed>2359499</pubmed></ref>。その後、多くの研究グループによりその構造・発現・機能解析が進められ、現在は細胞間接着分子-5 (intercellular adhesion molecule-5, ICAM-5)と呼ばれている。
 1987年、[[wj:森憲作|森憲作]]らは[[嗅覚]]の[[一次中枢]]である[[嗅球]]に存在する様々なタイプの神経細胞に特異的な[[免疫組織化学]]用マーカーを得る目的で、[[ウサギ]]嗅球の[[樹状突起]]間[[シナプトソーム]]を[[抗原]]として[[モノクローナル抗体]]ライブラリーを作製した。その中のひとつ271A6抗体が終脳セグメント(telencephalon)の[[灰白質]]のみを選択的にラベルすることが見出された<ref name=Mori1987><pubmed>3295872</pubmed></ref>。この271A6抗体が認識する終脳特異的抗原分子はテレンセファリン(telencephalin: TLCN)と名付けられた<ref name=Oka1990><pubmed>2359499</pubmed></ref>。その後、多くの研究グループによりその構造・発現・機能解析が進められ、現在はintercellular adhesion molecule-5 (ICAM-5)と呼ばれている。
[[ファイル:Matsuno ICM-5 Fig2.png|サムネイル|'''図2. ICAM-5の構造と結合分子''']]
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