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==遺伝子多型 ==
==遺伝子多型 ==


 近年PPIと[[遺伝子多型]]との関連について多くの報告があり、これらには[[カテコールO-メチル基転移酵素]](COMT) Val158Met、ドーパミンD3受容体(DRD3) Ser9Gly、[[ニューレグリン]]1(NRG1) Arg38Gln、[[セロトニン#5-HT2.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|セロトニン<sub>2A</sub>受容体]](5-HT<sub>2A</sub>) A1438G/T102C、[[ニコチン性アセチルコリン受容体]](nAChR)のα3サブユニット(CHRNA3)、v-rel avian reticuloendotheliosis viral oncogene homolog A (RELA) geneなど、多くの遺伝子多型が含まれる。これらの報告は、PPIが複数の神経系に関連したpolygenetic traitであり、genetic studyにおけるエンドフェノタイプの使用を支持していると考えられる<ref name=ref1 />。
 近年PPIと[[遺伝子多型]]との関連について多くの報告があり、これらには[[カテコールO-メチル基転移酵素]](COMT) Val158Met、ドーパミンD3受容体(DRD3) Ser9Gly、[[ニューレグリン]]1(NRG1) Arg38Gln、[[セロトニン#5-HT2.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|セロトニン<sub>2A</sub>受容体]](5-HT<sub>2A</sub>) A1438G/T102C、[[ニコチン性アセチルコリン受容体]](nAChR)のα3サブユニット(CHRNA3)、v-rel avian reticuloendotheliosis viral oncogene homolog A (RELA) geneなど、多くの遺伝子多型が含まれる。これらの報告は、PPIが複数の神経系に関連したpolygenetic traitであること、およびgenetic studyにおけるエンドフェノタイプの使用が有用であることを支持していると考えられる<ref name=ref1 />。


==統合失調症とPPI==
==統合失調症とPPI==


 [[統合失調症]]のPPIに関する研究は1978年に初めて報告されて以後さかんに行われており、PPIは、統合失調症のエンドフェノタイプとして、最もよく用いられる精神生理学的指標の一つである<ref name=ref2 />。統合失調症患者におけるPPIの低下は、一貫して報告されている。服薬歴のない初発の患者群や患者の第一親等で症状のない家族、統合失調症型人格障害患者でもPPIの減弱を認めている。PPIのheritabilityは32-50%と報告されている。ヨーロッパ系[[wikipedia:JA:人種|人種]]とアジア系人種、アフリカ系人種との間に、PPIを含む聴覚性驚愕反射の制御機構のプロフィールが異なるという報告があるが、最近、アジア系人種を対象にした研究が行われており、いずれも統合失調症患者のPPIは健常群より減弱していた。また、欧米の研究同様、日本人においても健常者のPPIはschizotypal personalityと負の相関を認めた。統合失調症のPPIの障害は、人種を超えて存在すると考えられる。
 [[統合失調症]]のPPIに関する研究は1978年に初めて報告されて以後さかんに行われており、PPIは、統合失調症のエンドフェノタイプとして、最もよく用いられる精神生理学的指標の一つである<ref name=ref2 />。統合失調症患者におけるPPIの低下は、一貫して報告されている。服薬歴のない初発の患者群や患者の第一度親族で症状のない家族、統合失調症型人格障害患者でもPPIの減弱を認めている。PPIのheritability(遺伝力)は32-50%と報告されている。ヨーロッパ系[[wikipedia:JA:人種|人種]]とアジア系人種、アフリカ系人種との間に、PPIを含む聴覚性驚愕反射の制御機構のプロフィールが異なるという報告があるが、最近、アジア系人種を対象にした研究が行われており、いずれも統合失調症患者のPPIは健常群より減弱していた。また、欧米の研究同様、日本人においても健常者のPPIはschizotypal personalityと負の相関を認めた。統合失調症のPPIの障害は、人種を超えて存在すると考えられる。


 最近は、精神病状態の前駆期あるいはultra-high risk (UHR) を対象にした研究も増えており、PPIは、精神病状態の前駆期あるいはUHRに関連し、早期発見などに有用な指標の一つとなる可能性が示唆される<ref name=ref1 />。
 最近は、精神病状態の前駆期あるいはultra-high risk (UHR) を対象にした研究も増えており、PPIは、精神病状態の前駆期あるいはUHRに関連し、早期発見などに有用な指標の一つとなる可能性が示唆される<ref name=ref1 />。

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