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Rab結合タンパク質は[[wikipedia:JA:グアノシン三リン酸|GTP]]結合型の活性化Rabに結合する。これらには[[wikipedia:USO1|p115]](あるいはUso1)や[[wikipedia:GOLGA2|GM130]]、[[wikipedia:EEA1|EEA1]]、[[wikipedia:Exocyst|Exocyst complex]]などがあり、いずれもGolgi体や小胞体あるいはエクソサイトーシスにおける膜の融合に関与している。Rabのアミノ酸配列は保存性が高いが、Rab結合タンパク質のドメイン構造は様々である<ref><pubmed> 21248164 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 19473826 </pubmed></ref>。 | Rab結合タンパク質は[[wikipedia:JA:グアノシン三リン酸|GTP]]結合型の活性化Rabに結合する。これらには[[wikipedia:USO1|p115]](あるいはUso1)や[[wikipedia:GOLGA2|GM130]]、[[wikipedia:EEA1|EEA1]]、[[wikipedia:Exocyst|Exocyst complex]]などがあり、いずれもGolgi体や小胞体あるいはエクソサイトーシスにおける膜の融合に関与している。Rabのアミノ酸配列は保存性が高いが、Rab結合タンパク質のドメイン構造は様々である<ref><pubmed> 21248164 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 19473826 </pubmed></ref>。 | ||
=== | ===SNARE=== | ||
膜の融合装置の本体と考えられるものは、SNARE(Soluble N-ethylmaleimide sensitive fusion protein attachment protein receptor)タンパク質(SNARE)複合体である。SNAREタンパク質には、多くの場合、標的側と考えられる大きい方の構造体の脂質膜に存在する[[t-SNARE]]/Q-SNARE(Qa-SNARE:シンタキシン(Syntaxin)1A/1Bなど、QbあるいはQcあるいはQbc-SNARE:[[SNAP25]](synaptosomal-associated protein 25)など)と小胞側の[[v-SNARE]]/R-SNARE([[シナプトブレビン]]/[[VAMP]](vesicle-associated membrane protein)など)が存在している。動物細胞では少なくとも35種、[[wikipedia:JA:酵母|酵母]]で24種の異なるSNAREが存在しており、それぞれがオルガネラ特有のエクソサイトーシスや[[エンドサイトーシス]]に関連している。SNAREには様々な大きさと構造があるが、60-70アミノ酸からなる[[wikipedia:JA:コイルドコイル|コイルドコイル]]を含む共通のSNAREモチーフを持っている。SNAREsが小胞を正しいターゲット膜に融合させるというSNARE仮説が提唱されている。このSNARE複合体の形成には次に述べるSMタンパク質も重要であると考えられる。 | |||
=== | 膜の融合過程においては、繋留の後、小胞側のv-SNARE/R-SNAREと標的側のt-SNARE(Qa-SNARE + Qbc-SNAREまたはQa-SNARE + Qc-SNARE + Qc-SAARE)の組み合わせで4つのヘリックス束を形成し、二つの膜をつなぎとめる。この状態をtrans-complexと呼ぶ。この状態で小胞と標的側の膜が近接した状態となり、脂質二重膜の[[wikipedia:JA:半融合|半融合]]を経て、膜が融合すると考えられている。膜融合の後のv-SNAREとt-SNAREの膜貫通ドメインが同じ膜上にある状態をcis-complexと呼ぶ。この過程(つまり膜融合)は、SNAREタンパク質のtransからcisへのフォールディングの変換に伴うエネルギーの放出を利用する熱力学的な過程と考えられていて、とくにATP等を必要とする訳ではない。しかし、cis-complexのSNAREsに[[N-ethylmaleimide-sensitive factor]] (NSF)が結合してATP依存的にSNARE複合体を解離させ、次の融合に備える<ref><pubmed> 16912714 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 18496517 </pubmed></ref>。この解離とアンフォールディングの過程でATPが消費される。 | ||
===SMタンパク質=== | |||
試験管内の再構成実験における膜融合はSNAREのみで十分におこる。しかし、生体内においては、SNAREのtrans-complexの形成には、Munc 18-1などのSM (Sec1/Munc18-like)タンパク質が、重要な役割を果たすと考えられている<ref><pubmed>19164740</pubmed></ref>。SMタンパク質は可溶性のタンパク質であり、t-SNAREにまず結合することで、v-SNAREとt-SNAREの会合を促進し、trans-complexの形成を促進すると考えられている。 | |||
===Complexinとシナプトタグミン=== | |||
SNAREのtrans-complexの形成において、実際に二つの膜は近接しているが、その融合には、complexinとシナプトタグミンが、重要な役割を果たしている。Complexinの膜融合の促進はカルシウム非依存的であるのに対して、シナプトタグミンは、膜融合の促進にカルシウムを必要とする。 | |||
Complexinは、可溶性のαヘリックスであり、SNAREのtrans-complexに結合することで、trans-complexが膜融合を行い、cis-complexに変換する過程を妨げる。カルシウム濃度が高まると、シナプトタグミンがComplexinを追い出し、膜融合を行う。この機構はカルシウム依存的な、膜の融合に重要であると考えられている<ref><pubmed>19164740</pubmed></ref>。 | |||
シナプトタグミン Iは65kDaの膜タンパク質で、膜貫通ドメインと細胞質側の2つの[[C2ドメイン]]の繰り返しの構造(C2AとC2B)を持っている。膜貫通ドメインでシナプス小胞の膜に存在し、C2ドメインでCa<sup>2+</sup>の濃度を感知する。このCa<sup>2+</sup>との結合は、C2ドメインに脂質膜結合能を持たせ、細胞膜側の脂質膜のチューブ化あるいは局所的な曲率の増大を引き起こすと考えられている。この局所的な脂質膜の曲率の増大は、とくにSNAREによる膜の融合を効率化すると考えられる<ref><pubmed> 17478680 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 19703397 </pubmed></ref>。ここでは、膜のチューブ化がおこればよく、C2ドメインの機能は他の膜チューブ化タンパク質であるBARタンパク質のBARドメインによって代替できることが示されている<ref><pubmed> 19703397 </pubmed></ref>。 | |||
===アトラスチン=== | ===アトラスチン=== |
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