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外部から特定の遺伝子を人為的に導入した動物。脳科学研究においては、主に以下の目的のために用いられる。 | 外部から特定の遺伝子を人為的に導入した動物。脳科学研究においては、主に以下の目的のために用いられる。 | ||
#特定の遺伝子の破壊や過剰発現により、その遺伝子の機能を調べる。 | |||
#特定のニューロンに蛍光タンパク質や蛍光カルシウムセンサー、シナプス放出抑制因子などを発現させて、そのニューロンの形態や活動パターン、生理的機能などを調べる。 | |||
#ヒトの遺伝性疾患と同じ突然変異の導入などにより、疾患モデルを確立する。 | |||
外来遺伝子をゲノム上のランダムな位置に挿入する場合と、ゲノム上の特定の部分に挿入する場合(標的遺伝子組換え;gene targeting)がある。後者は、特定の遺伝子を破壊するノックアウトの際に特に有用な技法となる。なお、トランスジェニック動物というと、通常は外来遺伝子が生殖細胞系にも導入され、次世代に受け継がれる場合を指すことが多い。ただし、外来遺伝子が一部の組織や細胞に局所的に導入され、次世代に受け継がれない場合も広義にはトランスジェニック動物に含まれ、遺伝子組換え生物の拡散などを規制するカルタヘナ法においても規制の対象となる。 | 外来遺伝子をゲノム上のランダムな位置に挿入する場合と、ゲノム上の特定の部分に挿入する場合(標的遺伝子組換え;gene targeting)がある。後者は、特定の遺伝子を破壊するノックアウトの際に特に有用な技法となる。なお、トランスジェニック動物というと、通常は外来遺伝子が生殖細胞系にも導入され、次世代に受け継がれる場合を指すことが多い。ただし、外来遺伝子が一部の組織や細胞に局所的に導入され、次世代に受け継がれない場合も広義にはトランスジェニック動物に含まれ、遺伝子組換え生物の拡散などを規制するカルタヘナ法においても規制の対象となる。 | ||
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遺伝子組換え生物は生物多様性に悪影響を及ぼすおそれがあるとして、その移動を規制する国際協定である「カルタヘナ議定書(The Cartagena Protocol on Biosafety)」が2003年に発効した。日本では、カルタヘナ議定書に対応する国内法として、2004年に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(通称「カルタヘナ法」)が施行された。これに基づき、遺伝子組換え生物(living modified organism;LMO)などの輸送時には、提供元が受入れ側に情報を提供し、事前同意を得ることなどが義務づけられ、違反に対する罰則も定められている。上述のトランスジェニック動物も全てこの規制の対象となる。なお、化学変異原処理により作製した突然変異体はトランスジェニック動物には該当せず、同様の突然変異が自然に生じる可能性もなくはないので、カルタヘナ法の規制対象にはならない。 | 遺伝子組換え生物は生物多様性に悪影響を及ぼすおそれがあるとして、その移動を規制する国際協定である「カルタヘナ議定書(The Cartagena Protocol on Biosafety)」が2003年に発効した。日本では、カルタヘナ議定書に対応する国内法として、2004年に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(通称「カルタヘナ法」)が施行された。これに基づき、遺伝子組換え生物(living modified organism;LMO)などの輸送時には、提供元が受入れ側に情報を提供し、事前同意を得ることなどが義務づけられ、違反に対する罰則も定められている。上述のトランスジェニック動物も全てこの規制の対象となる。なお、化学変異原処理により作製した突然変異体はトランスジェニック動物には該当せず、同様の突然変異が自然に生じる可能性もなくはないので、カルタヘナ法の規制対象にはならない。 | ||
== 関連項目 == | |||
*[[遺伝子組換え生物]] | |||
*[[遺伝子組み換え生物]] | |||
*[[遺伝子改変生物]] | |||
*[[genetically modified organism]] | |||
*[[GMO]] | |||
*[[living modified organism]] | |||
*[[LMO]] | |||
*[[標的遺伝子組換え]] | |||
*[[的遺伝子組み換え]] | |||
*[[gene targeting]] | |||
*[[ノックアウト]] | |||
*[[ノックイン]] | |||
*[[ノックアウトマウス]] | |||
*[[ノックインマウス]] | |||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
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<references /> | <references /> | ||
(執筆担当者: | (執筆担当者: 林悠 担当編集委員: 林康紀) |