「チロシンリン酸化」の版間の差分

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タンパク質間の結合を制御する機構として、多くの非受容体型チロシンキナーゼには、SH(Src Homology)2ドメインおよびSH3ドメインとよばれるドメイン構造が存在する。SH2ドメインはリン酸化チロシン残基(pTyr)を、SH3はプロリンリッチ領域(X-Pro-X-X-Pro)を、それぞれ認識して結合することで、細胞内情報伝達系におけるタンパク質-タンパク質結合を制御する。これらのドメインは構造的に保存されたアミノ酸配列を持ち、Srcファミリーチロシンキナーゼにおいて最初に見出された。更に、Abl、Fes、Syk/Zap70、Tec、Ack、Csk、Srm、Rak等の非受容体型チロシンキナーゼや、PI3K(phosphatidylinositol-3 kinase)、PLC(phospholipase C)-gamma等のセリン・スレオニンキナーゼ、またGrb2、Nck等のアダプタータンパク質もこれらのドメイン構造を持つことが明らかになった。SH2ドメインは、約100アミノ酸残基の領域であり、2つのアルファヘリックスと7つのベータシートから構成される。SH3ドメインは、約60アミノ酸残基の領域であり、5つないし6つのベータシートからなる典型的なベータバレル構造をもつ。
タンパク質間の結合を制御する機構として、多くの非受容体型チロシンキナーゼには、SH(Src Homology)2ドメインおよびSH3ドメインとよばれるドメイン構造が存在する。SH2ドメインはリン酸化チロシン残基(pTyr)を、SH3はプロリンリッチ領域(X-Pro-X-X-Pro)を、それぞれ認識して結合することで、細胞内情報伝達系におけるタンパク質-タンパク質結合を制御する。これらのドメインは構造的に保存されたアミノ酸配列を持ち、Srcファミリーチロシンキナーゼにおいて最初に見出された。更に、Abl、Fes、Syk/Zap70、Tec、Ack、Csk、Srm、Rak等の非受容体型チロシンキナーゼや、PI3K(phosphatidylinositol-3 kinase)、PLC(phospholipase C)-gamma等のセリン・スレオニンキナーゼ、またGrb2、Nck等のアダプタータンパク質もこれらのドメイン構造を持つことが明らかになった。SH2ドメインは、約100アミノ酸残基の領域であり、2つのアルファヘリックスと7つのベータシートから構成される。SH3ドメインは、約60アミノ酸残基の領域であり、5つないし6つのベータシートからなる典型的なベータバレル構造をもつ。


チロシンフォスファターゼは、保存されたモチーフ(Ile/Val)-His-Cys-X-Ala-Gly-X-X-Arg-(Ser/Thr)-Glyを活性中心にもつ。このシステイン残基のある酵素活性中心が、リン酸化チロシンを認識し結合する。
チロシンリン酸化の神経機能における役割としては、シナプス前膜側からの神経伝達物質放出の調節、[[電位依存性イオンチャネル]]および[[リガンド依存性イオンチャネル]]のコンダクタンスと開口確率の制御、タンパク質分子のシナプスでの局在と輸送過程の制御等が知られている。また、神経回路形成、神経筋接合部やミエリン構造の形成、軸索伸長等の神経発生過程において、チロシンリン酸化による制御が挙げられる。
 
チロシンリン酸化の神経機能における役割としては、シナプス前膜側からの神経伝達物質放出の調節、[[電位依存性イオンチャネル]]および[[リガンド依存性イオンチャネル]]のコンダクタンスおよび開口確率の制御、タンパク質分子のシナプスでの局在と輸送過程の制御等が知られている。また、神経回路形成、神経筋接合部やミエリン構造の形成、軸索伸長等の神経発生過程において、チロシンリン酸化による制御が挙げられる。


== 参考文献 ==
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