「錯覚」の版間の差分

397 バイト追加 、 2023年3月15日 (水)
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
22行目: 22行目:
[[ファイル:Rainbow-IMG 1544-eyedropper01.png|サムネイル|虹の赤い部分は錯視である例|サムネイル|図5 [http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saishin69.html 虹の錯視]。虹の色はつながって見えるが、背景が青空の部分では、虹の赤い部分は一点一点を観察すれば赤くなく、それが赤く見えるのは色の錯視である。]]
[[ファイル:Rainbow-IMG 1544-eyedropper01.png|サムネイル|虹の赤い部分は錯視である例|サムネイル|図5 [http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saishin69.html 虹の錯視]。虹の色はつながって見えるが、背景が青空の部分では、虹の赤い部分は一点一点を観察すれば赤くなく、それが赤く見えるのは色の錯視である。]]


 最後に、本項目を読んだ方がすぐにでも活用できるよう、身近な錯視の例をいくつか挙げる。最もよく知られた錯視は、おそらくミュラー=リヤー錯視(Müller-Lyer illusion)<ref>Müller-Lyer, F. C. (1889). Optische Urteilstauschungen. Archiv für Anatomie und Physiologie, Physiologische Abteilung, 2, 263-270.</ref>(図3)である。強力な大きさの錯視であるとともに、少ない線分で描画でき、かつ分野を超えてよく知られている。錯視画像の多くは人工的なものであるが、自然に観察できるものもある。例としては、出たばかりの月が大きく見える月の錯視<ref>ヘレン・ロス、コーネリス・プラグ(著)、東山篤規(訳) (2014). 月の錯視 なぜ大きく見えるのか 勁草書房</ref>(天体錯視とも言う)がある。手足には、静脈が青く見える錯視が認められる<ref>Kienle, A., Lilge, L., Vitkin, I. A., Patterson, M. S., Wilson, B. C., Hibst, R. and Steiner, R. (1996). Why do veins appear blue? A new look at an old question. Applied Optics, 35(7), 1151-1160.</ref><ref>北岡明佳 (2019). イラストレイテッド 錯視のしくみ 朝倉書店 </ref>(図4)。空にかかる虹の色も、条件によっては、静脈の錯視と同じメカニズムによる色の錯視となる(図5)。望遠レンズで遠景を撮影すると傾斜が急に見える現象(図6)も、錯視デモとしての有用性(availability)が高い。
 最後に、本項目を読んだ方がすぐにでも活用できるよう、身近な錯視の例をいくつか挙げる。最もよく知られた錯視は、おそらくミュラー=リヤー錯視(Müller-Lyer illusion)<ref>Müller-Lyer, F. C. (1889). Optische Urteilstauschungen. Archiv für Anatomie und Physiologie, Physiologische Abteilung, 2, 263-270.</ref>(図3)である。強力な大きさの錯視であるとともに、少ない線分で描画でき、かつ分野を超えてよく知られている。錯視画像の多くは人工的なものであるが、自然に観察できるものもある。例としては、出たばかりの月が大きく見える月の錯視<ref>ヘレン・ロス、コーネリス・プラグ(著)、東山篤規(訳) (2014). 月の錯視 なぜ大きく見えるのか 勁草書房</ref>(天体錯視とも言う)がある。手足には、静脈が青く見える錯視が認められる<ref>Kienle, A., Lilge, L., Vitkin, I. A., Patterson, M. S., Wilson, B. C., Hibst, R. and Steiner, R. (1996). Why do veins appear blue? A new look at an old question. Applied Optics, 35(7), 1151-1160.</ref><ref>北岡明佳 (2019). イラストレイテッド 錯視のしくみ 朝倉書店 </ref>(図4)。空にかかる虹の色も、条件によっては、静脈の錯視と同じメカニズムによる色の錯視となる(図5)。望遠レンズで遠景を撮影すると傾斜が急に見える現象(図6)<ref>北岡明佳 (2020). 現代がわかる心理学 丸善出版</ref>も、錯視デモとしての有用性(availability)が高い。
[[ファイル:ベタ踏み坂.jpg|サムネイル]]
[[ファイル:ベタ踏み坂.jpg|サムネイル|図6 「ベタ踏み坂」。島根県と鳥取県の県境にかかる江島大橋の島根県側のアプローチである。この坂道を、中海に浮かぶ大根島から、中海越しに望遠レンズで撮影すると、急坂に見える。しかし、物理的には、6.1% (3.49゜) の勾配である。]]
159

回編集