「意味性認知症」の版間の差分

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=== 背景、歴史 ===
=== 背景、歴史 ===


 意味性認知症(semantic dementia: SD)とは、前頭葉と側頭葉の限局性の萎縮と、それに基づく行動異常や神経心理学的症状で特徴づけられる前頭側頭葉変性症のうち、脳萎縮の分布が側頭葉に限局するか、あるいは側頭葉と前頭葉に萎縮が認められるが側頭葉の方が優位で、臨床的には意味記憶障害が前景に立つ状態像を指す臨床症候群の名称である <ref name=Hodges1992><pubmed>1486461</pubmed></ref><ref name=Hodges1999><pubmed>10067773</pubmed></ref><ref name=Snowden1996>Snowden JS、 Neary D、 Mann DMA: Fronto-temporal dementia。 In: Snowden JS、 Neary D、 Mann DMA。 Frontotemporal lobar degeneration。 Frontotemporal dementia、 progressive aphasia、 semantic dementia。 New York: Churchill Livingstone、 1996; 9-41。</ref>[1][2][3]。臨床概念であるので病理基盤の種類は問わない。
 意味性認知症(semantic dementia: SD)とは、前頭葉と側頭葉の限局性の萎縮と、それに基づく行動異常や神経心理学的症状で特徴づけられる前頭側頭葉変性症のうち、脳萎縮の分布が側頭葉に限局するか、あるいは側頭葉と前頭葉に萎縮が認められるが側頭葉の方が優位で、臨床的には意味記憶障害が前景に立つ状態像を指す臨床症候群の名称である <ref name=Hodges1992><pubmed>1486461</pubmed></ref><ref name=Hodges1999><pubmed>10067773</pubmed></ref><ref name=Snowden1996>'''Snowden JS, Neary D, Mann DMA (1996).'''<br>Fronto-temporal dementia. In: Snowden JS, Neary D, Mann DMA. Frontotemporal lobar degeneration. Frontotemporal dementia、 progressive aphasia, semantic dementia. New York: Churchill Livingstone 9-41.</ref>[1][2][3]。臨床概念であるので病理基盤の種類は問わない。


 脳の限局性萎縮に対応した症候群の分類名は歴史的変遷があり、SDの概念はその流れの中で理解できる。前頭葉と側頭葉に萎縮が限局し、それに対応した症状をきたす症例群は、歴史的には病理背景に関係なく「ピック病」と呼ばれてきた。側頭葉優位の萎縮を有す例は「側頭葉型ピック病」と呼ばれていた時期があるが、その症例報告には現在のSDの臨床症状がしばしば記載されていた。
 脳の限局性萎縮に対応した症候群の分類名は歴史的変遷があり、SDの概念はその流れの中で理解できる。前頭葉と側頭葉に萎縮が限局し、それに対応した症状をきたす症例群は、歴史的には病理背景に関係なく「ピック病」と呼ばれてきた。側頭葉優位の萎縮を有す例は「側頭葉型ピック病」と呼ばれていた時期があるが、その症例報告には現在のSDの臨床症状がしばしば記載されていた。
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 側頭葉優位の萎縮を呈するSD例ではその脳萎縮に左右差がある事が多い。左優位萎縮では一般物品についての意味記憶障害を呈する例、右優位萎縮では人物についての意味記憶障害、相貌認知障害、視覚対象認知障害を呈しやすく、SDの概念はこの両方を含む<ref name=Snowden1996></ref>[3]。この様な意味記憶障害に沿った概念の整理と並行して、言語の障害に注目した臨床像の整理も進められた。まず初期に言語障害が前景に立ち認知症を欠く症例を緩徐進行性失語(slowly progressive aphasia without generalized dementia)とする概念が提唱され<ref name=Mesulam1982><pubmed>7114808</pubmed></ref>[6]、次いで、発症二年以内に言語以外の認知機能や行動に異常を認めないとする原発性進行性失語(primary progressive aphasia: PPA)とまとめた概念が提唱された<ref name=Mesulam2001><pubmed>11310619</pubmed></ref>[7]。PPAには三亜型としてnon-fluent progressive aphasia、logopenic progressive aphasiaとともにSDが設定されていたが<ref name=Gorno-Tempini2004><pubmed>14991811</pubmed></ref>[8]、その後、SDから物品呼称の障害と単語理解の障害を有する例だけを抽出して「意味性亜型PPA(semantic variant primary progressive aphasia: svPPA)」と設定しなおした。これが現在のPPAの分類である<ref name=Gorno-Tempini2011><pubmed>21325651</pubmed></ref>[9]。
 側頭葉優位の萎縮を呈するSD例ではその脳萎縮に左右差がある事が多い。左優位萎縮では一般物品についての意味記憶障害を呈する例、右優位萎縮では人物についての意味記憶障害、相貌認知障害、視覚対象認知障害を呈しやすく、SDの概念はこの両方を含む<ref name=Snowden1996></ref>[3]。この様な意味記憶障害に沿った概念の整理と並行して、言語の障害に注目した臨床像の整理も進められた。まず初期に言語障害が前景に立ち認知症を欠く症例を緩徐進行性失語(slowly progressive aphasia without generalized dementia)とする概念が提唱され<ref name=Mesulam1982><pubmed>7114808</pubmed></ref>[6]、次いで、発症二年以内に言語以外の認知機能や行動に異常を認めないとする原発性進行性失語(primary progressive aphasia: PPA)とまとめた概念が提唱された<ref name=Mesulam2001><pubmed>11310619</pubmed></ref>[7]。PPAには三亜型としてnon-fluent progressive aphasia、logopenic progressive aphasiaとともにSDが設定されていたが<ref name=Gorno-Tempini2004><pubmed>14991811</pubmed></ref>[8]、その後、SDから物品呼称の障害と単語理解の障害を有する例だけを抽出して「意味性亜型PPA(semantic variant primary progressive aphasia: svPPA)」と設定しなおした。これが現在のPPAの分類である<ref name=Gorno-Tempini2011><pubmed>21325651</pubmed></ref>[9]。


 svPPAとSDとの違いは二点ある。一つは、SDには初期から人物の意味記憶障害による相貌認知障害を呈する例が含まれるが、svPPAでは初期から視知覚性の障害が顕著な例は含まれない。二つ目は、svPPAの診断は、原発性進行性失語(primary progressive aphasia)の診断基準を満たすことが前提となるため、病初期に失語が最も目立つ症状でなければならず、顕著な行動異常があった場合は除外される。そのため初期に行動異常がある程度目立つ場合は、SDと診断できてもsvPPAとは診断できない。これらの違いのためSD症例のうちsvPPAと診断される症例はごく一部である<ref name=池田学2013>池田学、一美奈緒子、橋本衛: 進行性失語の概念と診断。高次脳機能研究 2013; 33: 304-309</ref>[10]。右優位側頭葉萎縮例では人物の意味記憶障害、相貌認知障害、視覚対象認知障害、行動異常を呈しやすいので、結果的にsvPPAの基準を満たしにくい。右側頭葉優位萎縮例の臨床像はright-temporal lobe syndrome(右側頭葉症候群)と呼ばれる<ref name=Miller2014>Miller BL: The clinical syndrome of svPPA. In: Miller BL。 Frontotemporal dementia. New York: Oxford University Press、 2014; 47-65.</ref>[11]。
 svPPAとSDとの違いは二点ある。一つは、SDには初期から人物の意味記憶障害による相貌認知障害を呈する例が含まれるが、svPPAでは初期から視知覚性の障害が顕著な例は含まれない。二つ目は、svPPAの診断は、原発性進行性失語(primary progressive aphasia)の診断基準を満たすことが前提となるため、病初期に失語が最も目立つ症状でなければならず、顕著な行動異常があった場合は除外される。そのため初期に行動異常がある程度目立つ場合は、SDと診断できてもsvPPAとは診断できない。これらの違いのためSD症例のうちsvPPAと診断される症例はごく一部である<ref name=池田学2013>'''池田 学、一美奈緒子、橋本 衛 (2013).'''<br>進行性失語の概念と診断。高次脳機能研究 33: 304-309</ref>[10]。右優位側頭葉萎縮例では人物の意味記憶障害、相貌認知障害、視覚対象認知障害、行動異常を呈しやすいので、結果的にsvPPAの基準を満たしにくい。右側頭葉優位萎縮例の臨床像はright-temporal lobe syndrome(右側頭葉症候群)と呼ばれる<ref name=Miller2014>'''Miller BL. (2014).'''<br>The clinical syndrome of svPPA. In: Miller BL. Frontotemporal dementia. New York: Oxford University Press 47-65.</ref>[11]。


 SDとsvPPAという異なる用語があるのは、症状のどの側面に注目すべきと考えるかという研究者の見解の違いによる。SDは、意味記憶障害という中核の症状は言語的要素だけではなく、相貌や物体の認識における問題として出現し、それが言葉の意味の障害より先行する場合がある事などから、「言語」よりも本質的には「記憶」の障害と考える立場から提唱されている<ref name=Snowden1996></ref>[3]。svPPAは、PPAという失語を中心に考える「言語の障害による認知症状態(language-based dementia <ref name=Mesulam2003><pubmed>14561797</pubmed></ref> [12])」という概念の一亜型である。
 SDとsvPPAという異なる用語があるのは、症状のどの側面に注目すべきと考えるかという研究者の見解の違いによる。SDは、意味記憶障害という中核の症状は言語的要素だけではなく、相貌や物体の認識における問題として出現し、それが言葉の意味の障害より先行する場合がある事などから、「言語」よりも本質的には「記憶」の障害と考える立場から提唱されている<ref name=Snowden1996></ref>[3]。svPPAは、PPAという失語を中心に考える「言語の障害による認知症状態(language-based dementia <ref name=Mesulam2003><pubmed>14561797</pubmed></ref>[12])」という概念の一亜型である。


== 診断 ==
== 診断 ==
=== 臨床症状 ===
=== 臨床症状 ===
==== 意味記憶障害 ====
==== 意味記憶障害 ====
 意味性認知症で最も重要な症状である。意味記憶は、エピソード記憶、手続き記憶などと共にヒトの記憶システムを構成する<ref name=Tulving1972>Tulving、 E: 1972 Episodic and semantic memory。 In E。 Tulving & W。 Donaldson (Eds。)Organization of memory。 New York: Academic Press。 </ref><ref name=Tulving1991>Tulving。 E(太田信夫 訳): 人間の複数記憶システム。 科学1991; 61: 263-270。</ref><ref name=小森憲治郎2014>小森憲治郎、谷向知、数井裕光、上野修一。意味性認知症の臨床像から。基礎心理学研究 2014; 33: 55-63。 https://doi。org/10。1365/s35127-014-0479-y</ref><ref name=小森憲治郎2019>小森憲治郎: 神経心理学的症候のとらえ方。学術の動向 2019; 5: 25-31</ref>[13][14][15][16]。SDにおいては一般物品と人物の意味記憶障害が含まれ、前者は後述の失語の側面から、後者は広く視覚対象の認知障害としても理解できる。
 意味性認知症で最も重要な症状である。意味記憶は、エピソード記憶、手続き記憶などと共にヒトの記憶システムを構成する<ref name=Tulving1972>'''Tulving, E. and Donaldson W. (1972).'''<br>Episodic and semantic memory. In E. Tulving & W. Donaldson (Eds.). Organization of memory. New York: Academic Press.</ref><ref name=Tulving1991>'''Tulving, E.(太田信夫 訳)(1991).'''<br>人間の複数記憶システム. 科学; 61: 263-270。</ref><ref name=小森憲治郎2014>'''小森憲治郎、谷向 知、数井裕光、上野修一 (2014).'''<br>意味性認知症の臨床像から. 基礎心理学研究 33: 55-63 [https://doi。org/10.1365/s35127-014-0479-y DOI]</ref><ref name=小森憲治郎2019>'''小森憲治郎 (2019).'''<br>神経心理学的症候のとらえ方. 学術の動向 5: 25-31</ref>[13][14][15][16]。SDにおいては一般物品と人物の意味記憶障害が含まれ、前者は後述の失語の側面から、後者は広く視覚対象の認知障害としても理解できる。


 一般物品とは、蜜柑、犬、コップ、鉛筆など目に見える様々な物体であり、例えば「ジャガイモ」に関する意味記憶を構成するのは、名称、形、色、硬さ、匂い、それらのバリエーション、カテゴリー(食べ物、野菜など)、それを使ってできた物(料理、菓子)、といった情報である。ある物品について完全にその意味記憶が失われている場合、それを見て呼称ができず、既視感すらないため「見た事がない」と述べ、その名前を聞いても「聞いたことがない」と述べ、実物を触っても、匂いを嗅いでも、食べられる物なら食べてみても、それが何であるかが分からず、「知らない」と述べる。健常者の物の認識は、それを見ただけで可能であるが(つまり視覚モダリティだけで同定できる)、更に、見ずに触る、においだけを感じる、味だけ確かめるといった、一つの感覚モダリティを用いるだけでも通常は可能である。例えばポテトサラダを食べると、ジャガイモの形がなくともジャガイモが使われていると分かり、昆布だしの汁は昆布の形がみえない液体でも味で昆布が使われていると分かる。しかし意味記憶障害では、どの知覚を用いてもその物を知っている感覚が得られない。その意味で意味記憶障害は、一つの感覚モダリティに限局した障害である通常の失認とは異なる。
 一般物品とは、蜜柑、犬、コップ、鉛筆など目に見える様々な物体であり、例えば「ジャガイモ」に関する意味記憶を構成するのは、名称、形、色、硬さ、匂い、それらのバリエーション、カテゴリー(食べ物、野菜など)、それを使ってできた物(料理、菓子)、といった情報である。ある物品について完全にその意味記憶が失われている場合、それを見て呼称ができず、既視感すらないため「見た事がない」と述べ、その名前を聞いても「聞いたことがない」と述べ、実物を触っても、匂いを嗅いでも、食べられる物なら食べてみても、それが何であるかが分からず、「知らない」と述べる。健常者の物の認識は、それを見ただけで可能であるが(つまり視覚モダリティだけで同定できる)、更に、見ずに触る、においだけを感じる、味だけ確かめるといった、一つの感覚モダリティを用いるだけでも通常は可能である。例えばポテトサラダを食べると、ジャガイモの形がなくともジャガイモが使われていると分かり、昆布だしの汁は昆布の形がみえない液体でも味で昆布が使われていると分かる。しかし意味記憶障害では、どの知覚を用いてもその物を知っている感覚が得られない。その意味で意味記憶障害は、一つの感覚モダリティに限局した障害である通常の失認とは異なる。


 初期のSD患者は症状を自覚できるので、自分で身の回りの様々な物の写真を撮り、その名前を言う練習をすることがある。しかし、例えばあるカーテンの写真を見て「カーテン」と呼称できるようになっても、別の実際に他の窓にかかる異なる色・形のカーテンを見ると、「カーテン」とは呼称できず、カーテンと認識すること自体できないことがある。このため、一つの物を呼称できる様になる機能と、その物の概念として意味記憶を形成する機能は異なると考えられる。同様の現象はSD患者への言語訓練の過程で指摘されている<ref name=一美奈緒子2012>一美奈緒子、橋本衛、小松優子、池田学: 意味性認知症における言語訓練の意義。高次脳機能研究 2012; 32: 417-425。 </ref>[17]。通常、人が「カーテン」という物が何かという事を理解する時には、多種多様なカーテンを見て覚えるという作業をする事はない。例えば小さな子供が1、2種類のイヌの写真を使って「これがワンワン」と教えられると、道で全く見たことのない色、毛の長さ、顔立ち、体つきのイヌを見ても一瞬で指さして「ワンワン」と呼称できる。このことからも物品のバリエーションを記銘する積み上げ型の学習と意味概念を成立させる作業は本質的に異なると推測できる。意味記憶機能が正常の状態では、既にある物について意味記憶が成立し、概念のカテゴリーの境界が設定できているので、その後初めて見る外見の物でも既に保有しているカテゴリーの境界内の物であると認識できる。一方、SD患者では「キュウリを見て何か分からなくても、野菜という事は分かり、動物と間違えることはない」など、下位カテゴリーの境界の認識から低下する傾向がある。このようなことを踏まえると、意味記憶機能は概念の境界の設定に関係している様にも思われる。
 初期のSD患者は症状を自覚できるので、自分で身の回りの様々な物の写真を撮り、その名前を言う練習をすることがある。しかし、例えばあるカーテンの写真を見て「カーテン」と呼称できるようになっても、別の実際に他の窓にかかる異なる色・形のカーテンを見ると、「カーテン」とは呼称できず、カーテンと認識すること自体できないことがある。このため、一つの物を呼称できる様になる機能と、その物の概念として意味記憶を形成する機能は異なると考えられる。同様の現象はSD患者への言語訓練の過程で指摘されている<ref name=一美奈緒子2012>'''一美奈緒子、橋本衛、小松優子、池田学 (2013).'''<br>意味性認知症における言語訓練の意義。高次脳機能研究 32: 417-425</ref>[17]。通常、人が「カーテン」という物が何かという事を理解する時には、多種多様なカーテンを見て覚えるという作業をする事はない。例えば小さな子供が1、2種類のイヌの写真を使って「これがワンワン」と教えられると、道で全く見たことのない色、毛の長さ、顔立ち、体つきのイヌを見ても一瞬で指さして「ワンワン」と呼称できる。このことからも物品のバリエーションを記銘する積み上げ型の学習と意味概念を成立させる作業は本質的に異なると推測できる。意味記憶機能が正常の状態では、既にある物について意味記憶が成立し、概念のカテゴリーの境界が設定できているので、その後初めて見る外見の物でも既に保有しているカテゴリーの境界内の物であると認識できる。一方、SD患者では「キュウリを見て何か分からなくても、野菜という事は分かり、動物と間違えることはない」など、下位カテゴリーの境界の認識から低下する傾向がある。このようなことを踏まえると、意味記憶機能は概念の境界の設定に関係している様にも思われる。


 SD患者における物品についての意味記憶は、その人にとって親しみがあり使用頻度の高い物品について、より保たれる傾向がある<ref name=Snowden1996></ref> [3]。またそのカテゴリー内で典型的な対象物が残りやすい傾向があり、非典型的な対象を典型的に見誤るエラーが生じやすい(例:なすびの絵を緑色に塗る)<ref name=Patterson2006><pubmed>16494679</pubmed></ref>[18]。 同じ物品でも、実物より写真、更に要素を簡略化した線画ほど認識しにくい。しかし、意味記憶機能が正常な人の場合、かなり誇張されたアニメを見ても(極端な場合は道具や建物の無機物に顔を描いて人の様なキャラクターにしたとしても)、元の物の種類が分からなくなることはない。一般物品についての意味記憶障害は全ての物品について一律に完全な障害を認めるわけではなく、既視感の全くない物品、カテゴリーだけ正答できる物品、かろうじて呼称までできる物品などが混ざる。
 SD患者における物品についての意味記憶は、その人にとって親しみがあり使用頻度の高い物品について、より保たれる傾向がある<ref name=Snowden1996></ref> [3]。またそのカテゴリー内で典型的な対象物が残りやすい傾向があり、非典型的な対象を典型的に見誤るエラーが生じやすい(例:なすびの絵を緑色に塗る)<ref name=Patterson2006><pubmed>16494679</pubmed></ref>[18]。 同じ物品でも、実物より写真、更に要素を簡略化した線画ほど認識しにくい。しかし、意味記憶機能が正常な人の場合、かなり誇張されたアニメを見ても(極端な場合は道具や建物の無機物に顔を描いて人の様なキャラクターにしたとしても)、元の物の種類が分からなくなることはない。一般物品についての意味記憶障害は全ての物品について一律に完全な障害を認めるわけではなく、既視感の全くない物品、カテゴリーだけ正答できる物品、かろうじて呼称までできる物品などが混ざる。
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 SD患者では、アイコン、標識、マークの意味の理解が高度に不良である場合が多い。例えば赤信号の写真を見せて「これはどういう意味か」と訊くと、「赤い電気がついている」と述べるなど表面的な視覚情報の認識にとどまり、真の意味理解(例:赤信号なら「止まれ」)はできていない。「てまねき」など意味を含む動作の理解も障害される<ref name=Nishio2006><pubmed>16891383</pubmed></ref>[19]。このような真の意味が人為的に付与された事柄の理解が難しい傾向がある。
 SD患者では、アイコン、標識、マークの意味の理解が高度に不良である場合が多い。例えば赤信号の写真を見せて「これはどういう意味か」と訊くと、「赤い電気がついている」と述べるなど表面的な視覚情報の認識にとどまり、真の意味理解(例:赤信号なら「止まれ」)はできていない。「てまねき」など意味を含む動作の理解も障害される<ref name=Nishio2006><pubmed>16891383</pubmed></ref>[19]。このような真の意味が人為的に付与された事柄の理解が難しい傾向がある。


 意味記憶は、一般物品や人物といった「見える物体」以外の「見えない抽象概念」に関してもある。これは暑い、寒いといった形容詞の概念や、助ける、掛けるといった動詞の概念、許可、禁止、思いやり、上品、下品、自分勝手、濡れ衣といった抽象名詞の概念である。これらの意味記憶機能が正常の場合は、今から自分が取る行動や態度が抽象概念に当てはまるもか否かを瞬時に判断できる(例:自分の行動が「厚かましい」か否かを判断する)。しかし抽象概念の意味記憶が障害されると、この判断はできなくなると推測される。SD患者では、一般常識に照らすと「無遠慮」、「下品」、「自分勝手」と見える行動が生活の中で頻発し、指摘しても本人は悪びれる様子がないという特異な反応を示すことがしばしばあるが、この様な行動には脱抑制だけでなく、遠慮、品、思いやりといった道徳に関する意味記憶が失われているために、それらを逸脱した行動をとっていることに気付けなくなっている可能性も推測される。これと類似すると思われる現象が慣用句の理解について観察されており、例えば身体部位はSDでも比較的良く保たれる概念だが、その身体部位を使った「腹が立つ」「足が出る」「耳が痛い」など、きわめて簡易な構造の複合語である慣用句はSDでは初期から障害される<ref name=橋本衛2015>橋本衛、一美美奈子、池田学。 Semantic dementiaの言語障害の本質とは何か。高次脳機能研究2015: 35:304-311. [https://doi.org/10.2496/hbfr.35.304]</ref>[20]。こうした具体的な対象物の意味から派生した概念の喪失は、SDの社会的判断に多くの支障を生じさせる一因として働いている可能性がある。
 意味記憶は、一般物品や人物といった「見える物体」以外の「見えない抽象概念」に関してもある。これは暑い、寒いといった形容詞の概念や、助ける、掛けるといった動詞の概念、許可、禁止、思いやり、上品、下品、自分勝手、濡れ衣といった抽象名詞の概念である。これらの意味記憶機能が正常の場合は、今から自分が取る行動や態度が抽象概念に当てはまるもか否かを瞬時に判断できる(例:自分の行動が「厚かましい」か否かを判断する)。しかし抽象概念の意味記憶が障害されると、この判断はできなくなると推測される。SD患者では、一般常識に照らすと「無遠慮」、「下品」、「自分勝手」と見える行動が生活の中で頻発し、指摘しても本人は悪びれる様子がないという特異な反応を示すことがしばしばあるが、この様な行動には脱抑制だけでなく、遠慮、品、思いやりといった道徳に関する意味記憶が失われているために、それらを逸脱した行動をとっていることに気付けなくなっている可能性も推測される。これと類似すると思われる現象が慣用句の理解について観察されており、例えば身体部位はSDでも比較的良く保たれる概念だが、その身体部位を使った「腹が立つ」「足が出る」「耳が痛い」など、きわめて簡易な構造の複合語である慣用句はSDでは初期から障害される<ref name=橋本衛2015>'''橋本衛、一美美奈子、池田学 (2014).'''<br>Semantic dementiaの言語障害の本質とは何か. 高次脳機能研究 35:304-311. [https://doi.org/10.2496/hbfr.35.304 DOI]</ref>[20]。こうした具体的な対象物の意味から派生した概念の喪失は、SDの社会的判断に多くの支障を生じさせる一因として働いている可能性がある。


==== 言語の症状 ====
==== 言語の症状 ====
 左側頭葉優位の萎縮を有する症例で目立つ。聴理解の障害と物品呼称の障害がある。発語は流暢で、努力様ではなく、発音、プロソディー(韻律)、文法は正常で、復唱は保たれる。物品呼称の検査では既視感がないため、「これはなに? これは知らない。見たことがない」と述べやすい。意味記憶を失った物品を呼称しようとする時の反応は独特で、例えばヘリコプターの絵を見せて、ヒントを頭文字から一文字ずつ「へ、へり、へりこ」と教えていっても、「これは『へりこ』と言うんですか?」と誤った反応をして、語頭音効果がない<ref name=田辺敬貴1992>田辺敬貴、 池田学、 中川賀嗣、 山本晴子、 池尻義隆、数井裕光、原田貢士。語義失語と意味記憶障害。 失語症研究。 1992;12:153-167。 </ref>[21]。進行すると意味記憶の喪失と共に語彙が減るため自発語は減少する。
 左側頭葉優位の萎縮を有する症例で目立つ。聴理解の障害と物品呼称の障害がある。発語は流暢で、努力様ではなく、発音、プロソディー(韻律)、文法は正常で、復唱は保たれる。物品呼称の検査では既視感がないため、「これはなに? これは知らない。見たことがない」と述べやすい。意味記憶を失った物品を呼称しようとする時の反応は独特で、例えばヘリコプターの絵を見せて、ヒントを頭文字から一文字ずつ「へ、へり、へりこ」と教えていっても、「これは『へりこ』と言うんですか?」と誤った反応をして、語頭音効果がない<ref name=田辺敬貴1992>'''田辺敬貴、 池田学、 中川賀嗣、 山本晴子、 池尻義隆、数井裕光、原田貢士 (1992).'''<br> 語義失語と意味記憶障害. 失語症研究 12:153-167.</ref>[21]。進行すると意味記憶の喪失と共に語彙が減るため自発語は減少する。


 一般物品については、その語想起と、その語の理解障害があり、名称を聞いても、書かれた文字を見ても、その物を同定できない。文章の理解は比較的保たれ、語義理解の障害(語義失語)が中心である。語義は使用頻度の低い語ほど障害が目立つ。日本語では難読漢字(当て字)の読字について強い障害が観察され、煙草(タバコ)は「けむりぐさ」、親父(オヤジ)は「しんぷ」、三味線(シャミセン)は「さんみせん」、海老(エビ)は「かいろう」と誤読しやすい。これは類音的錯読と呼ばれるが、習慣的な読み方の規則が適用できない熟語で習慣的な音読をしてしまうことから説明される<ref name=Fushimi2009><pubmed>19162051</pubmed></ref>
 一般物品については、その語想起と、その語の理解障害があり、名称を聞いても、書かれた文字を見ても、その物を同定できない。文章の理解は比較的保たれ、語義理解の障害(語義失語)が中心である。語義は使用頻度の低い語ほど障害が目立つ。日本語では難読漢字(当て字)の読字について強い障害が観察され、煙草(タバコ)は「けむりぐさ」、親父(オヤジ)は「しんぷ」、三味線(シャミセン)は「さんみせん」、海老(エビ)は「かいろう」と誤読しやすい。これは類音的錯読と呼ばれるが、習慣的な読み方の規則が適用できない熟語で習慣的な音読をしてしまうことから説明される<ref name=Fushimi2009><pubmed>19162051</pubmed></ref>
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既視感がないので、知人と会っても挨拶せずに行き過ぎる。このため「無礼になった」と解釈される場合がある。自覚している場合はテレビドラマを見てストーリーを追いにくいと述べる事がある。既視感があるはずの有名人の顔写真を用いて障害の有無を評価できる。家族の顔の方が有名人より認識しやすい。
既視感がないので、知人と会っても挨拶せずに行き過ぎる。このため「無礼になった」と解釈される場合がある。自覚している場合はテレビドラマを見てストーリーを追いにくいと述べる事がある。既視感があるはずの有名人の顔写真を用いて障害の有無を評価できる。家族の顔の方が有名人より認識しやすい。


右優位萎縮例では人物の意味記憶障害だけでなく、有名な建造物や景色(例:東京タワー、富士山)の認知障害も出現しやすい<ref name=小森憲治郎2003>小森憲治郎、 池田学、 中川賀嗣、 田辺敬貴。意味記憶における右側頭葉の役割。-semantic dementiaにおける検討-。高次脳機能研究 2003; 23: 107-118。</ref>[23]。
右優位萎縮例では人物の意味記憶障害だけでなく、有名な建造物や景色(例:東京タワー、富士山)の認知障害も出現しやすい<ref name=小森憲治郎2003>'''小森憲治郎、 池田学、 中川賀嗣、 田辺敬貴 (2003).'''<br>意味記憶における右側頭葉の役割。-semantic dementiaにおける検討-。高次脳機能研究 23: 107-118。</ref>[23]。


 右側頭葉優位萎縮例の臨床像はright-temporal lobe syndrome(右側頭葉症候群)と呼ばれることがあり、これを左側頭葉優位萎縮例とは異なる症候群であるとする見解がある。一方で、長期経過中に出現する症状を比較するとほとんどの症状は共通して出現する事から、両者は共に意味記憶障害を基盤としているとの指摘もある<ref name=Kashibayashi2010><pubmed>20375502</pubmed></ref>[24]。
 右側頭葉優位萎縮例の臨床像はright-temporal lobe syndrome(右側頭葉症候群)と呼ばれることがあり、これを左側頭葉優位萎縮例とは異なる症候群であるとする見解がある。一方で、長期経過中に出現する症状を比較するとほとんどの症状は共通して出現する事から、両者は共に意味記憶障害を基盤としているとの指摘もある<ref name=Kashibayashi2010><pubmed>20375502</pubmed></ref>[24]。
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==== 視空間認知機能 ====
==== 視空間認知機能 ====
 初期には良く保たれる<ref name=Snowden1996></ref> [3]。中期から末期に脳萎縮が高度な側の対側の上下肢に運動障害が出現する例で、運動障害と同側の空間無視が出現する例がある<ref name=Yokota2009><pubmed>19194716</pubmed></ref>
 初期には良く保たれる<ref name=Snowden1996></ref> [3]。中期から末期に脳萎縮が高度な側の対側の上下肢に運動障害が出現する例で、運動障害と同側の空間無視が出現する例がある<ref name=Yokota2009><pubmed>19194716</pubmed></ref>
<ref name=吉村拓哉2010>吉村拓哉、横田修、藤沢嘉勝、吉田英統、寺田整司、黒田重利、佐々木健。意味性認知症患者における左右非対称性の四肢の運動障害と半側無視について。精神医学 2010; 52: 163-171。</ref> [26][27]。
<ref name=吉村拓哉2010>'''吉村拓哉、横田修、藤沢嘉勝、吉田英統、寺田整司、黒田重利、佐々木健 (2010).'''意味性認知症患者における左右非対称性の四肢の運動障害と半側無視について。精神医学 52: 163-171.</ref> [26][27]。


==== 神経症状・運動障害 ====
==== 神経症状・運動障害 ====
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==== 脳形態画像検査 ====
==== 脳形態画像検査 ====
CT(図2)、MRI(図3A)では側頭葉極に強い、左右差のある脳萎縮が認められる。扁桃核、海馬、島回も側頭葉萎縮の強い側と同側に強い萎縮を呈する<ref name=Snowden1996></ref> [3]。前頭葉皮質は側頭葉より萎縮が軽度で、左右差に関しては側頭葉と一致する。進行と共に側頭葉萎縮の強い側と同側の中心前回や下頭頂小葉の萎縮が出現する例がある<ref name=Yokota2009><pubmed>19194716</pubmed></ref>[26]。
 CT(図2)、MRI(図3A)では側頭葉極に強い、左右差のある脳萎縮が認められる。扁桃核、海馬、島回も側頭葉萎縮の強い側と同側に強い萎縮を呈する<ref name=Snowden1996></ref> [3]。前頭葉皮質は側頭葉より萎縮が軽度で、左右差に関しては側頭葉と一致する。進行と共に側頭葉萎縮の強い側と同側の中心前回や下頭頂小葉の萎縮が出現する例がある<ref name=Yokota2009><pubmed>19194716</pubmed></ref>[26]。


==== 脳血流シンチグラフィー ====
==== 脳血流シンチグラフィー ====
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 根本的治療薬はない。対症療法に関しては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(selective serotonin reuptake inhibitor)が脱抑制などの行動異常に有効であったとの報告があり、2017年の認知症疾患診療ガイドライン<ref name=日本神経学会2017>認知症疾患診療ガイドライン2017.監修:日本神経学会.編集:認知症疾患診療ガイドライン作成委員会.医学書院2017年</ref>[36]では推奨されている(保険適応外使用)。
 根本的治療薬はない。対症療法に関しては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(selective serotonin reuptake inhibitor)が脱抑制などの行動異常に有効であったとの報告があり、2017年の認知症疾患診療ガイドライン<ref name=日本神経学会2017>認知症疾患診療ガイドライン2017.監修:日本神経学会.編集:認知症疾患診療ガイドライン作成委員会.医学書院2017年</ref>[36]では推奨されている(保険適応外使用)。


 非薬物的治療介入としては、エピソード記憶、手続き記憶、視空間認知機能が保たれることを利用した介入<ref name=池田学1995>池田 学,田邊敬貴,堀野 敬,小森憲治郎,平尾一幸,山田典史,橋本 衛,数井裕光,森 隆志.Pick病のケア:保たれている手続き記憶を用いて.精神神経誌 1995; 97: 179-192.</ref>[37]、行動療法的な介入<ref name=池田学1996>池田 学, 今村 徹, 池尻義隆,下村辰雄,博野信次,中川賀嗣,森悦朗.Pick 病患者の短期入院による在宅介護の支援.精神経誌 1996; 98: 822-829.</ref>[38]、社会的に問題になる行動を別の行動に置き換える介入<ref name=Lough2002><pubmed>12169338</pubmed></ref>[39]の有効性が報告されている。介護の取り組みとして個別性の高い少人数ケアを行う事で精神症状、行動障害、生活の質が改善する可能性も報告されている<ref name=Yokota2006><pubmed>16765875</pubmed></ref>[40]。比較的病初期から取りくんだ活動性は進行期にもルーチンとして保たれる場合が多く、福祉サービスの利用時に役立つ場合も少なくない<ref name=Tanabe1999><pubmed>10436341</pubmed></ref><ref name=小森憲治郎2018>小森憲治郎、柴 球美、谷向 知。原発性進行性失語のケア. 日本認知症ケア学会誌。 2018; 17: 546−553.</ref>[41][42]。SD例が好む個別の活動では、ジグソーパズルや数独などがあげられ、特異な方法で高い習熟を示す<ref name=Green2009><pubmed>19014960</pubmed></ref>[43]。塗り絵などにも熱心な関心を示す例があり、言語機能が衰退した進行期にも、新たな創造性発現の可能性を秘めている<ref name=小森憲治郎2019 /><ref name=Miller1998><pubmed>9781516</pubmed></ref>[16][44]。
 非薬物的治療介入としては、エピソード記憶、手続き記憶、視空間認知機能が保たれることを利用した介入<ref name=池田学1995>'''池田 学,田邊敬貴,堀野 敬,小森憲治郎,平尾一幸,山田典史,橋本 衛,数井裕光,森 隆志 (1995).'''<br>Pick病のケア:保たれている手続き記憶を用いて.精神神経誌 97: 179-192.</ref>[37]、行動療法的な介入<ref name=池田学1996>'''池田 学, 今村 徹, 池尻義隆,下村辰雄,博野信次,中川賀嗣,森悦朗 (1996).'''<br>Pick 病患者の短期入院による在宅介護の支援.精神経誌 98: 822-829.</ref>[38]、社会的に問題になる行動を別の行動に置き換える介入<ref name=Lough2002><pubmed>12169338</pubmed></ref>[39]の有効性が報告されている。介護の取り組みとして個別性の高い少人数ケアを行う事で精神症状、行動障害、生活の質が改善する可能性も報告されている<ref name=Yokota2006><pubmed>16765875</pubmed></ref>[40]。比較的病初期から取りくんだ活動性は進行期にもルーチンとして保たれる場合が多く、福祉サービスの利用時に役立つ場合も少なくない<ref name=Tanabe1999><pubmed>10436341</pubmed></ref><ref name=小森憲治郎2018>'''小森憲治郎、柴 球美、谷向 知 (2018).'''<br>原発性進行性失語のケア. 日本認知症ケア学会誌. 17: 546−553.</ref>[41][42]。SD例が好む個別の活動では、ジグソーパズルや数独などがあげられ、特異な方法で高い習熟を示す<ref name=Green2009><pubmed>19014960</pubmed></ref>[43]。塗り絵などにも熱心な関心を示す例があり、言語機能が衰退した進行期にも、新たな創造性発現の可能性を秘めている<ref name=小森憲治郎2019 /><ref name=Miller1998><pubmed>9781516</pubmed></ref>[16][44]。


 SDは平成27年から指定難病の一つとなり、65歳未満の発症で重症度分類が3以上であるといった条件を満たした場合に医療助成が受けられるようになった。
 SDは平成27年から指定難病の一つとなり、65歳未満の発症で重症度分類が3以上であるといった条件を満たした場合に医療助成が受けられるようになった。