「ヒストン」の版間の差分

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== 分類  ==
== 分類  ==


 ヒストンはH1、H2A、H2B、H3、H4の5種類に分類される。このうちH2A、H2B、H3、H4の4種は、コアヒストンと呼ばれ、それぞれ二分子ずつが集合し、ヒストン八量体を形成する。一つのヒストン八量体には、146 bp の DNA が左巻きに約1.65回巻き付いている<ref name="ref2"><pubmed>9305837</pubmed></ref>。この構造がクロマチン構造の最小単位であるヌクレオソームである。H1 はリンカーヒストンと呼ばれ、ヌクレオソーム間の DNA に結合する。コアヒストンは比較的小さく11~15kDa、H1ヒストンはやや大きく約21kDaであり、ヌクレオソーム内ではそれぞれのコアヒストンが二分子ずつ存在するのに対して、H1ヒストンは一分子含まれる <ref>'''大場義樹'''<br>クロマチン<br>''東京大学出版会'':1986</ref>。ヒストンは正の電荷をもつ[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]の含有量が高く、各ヒストンのアミノ酸残基の少なくとも20%が[[wikipedia:ja:リジン|リジン]]または[[wikipedia:ja:アルギニン|アルギニン]]であるため、負の電荷をもったDNA分子に強く結合する。ヒストンの塩基性アミノ酸含量またはリジン/アルギニン比に従い、H1は高リジン型ヒストン、H2A、H2Bはリジン型ヒストン、H3、H4はアルギニン型ヒストンと呼ばれている<ref>'''James D. Watson, T. A. Baker, S. P. Bell、中村桂子 監訳'''<br>ワトソン 遺伝子の分子生物学【第5版】<br>''東京電機大学出版局'':2006</ref>。  
 ヒストンはH1、H2A、H2B、H3、H4の5種類に分類される。このうちH2A、H2B、H3、H4の4種は、コアヒストンと呼ばれ、それぞれ二分子ずつが集合し、ヒストン八量体を形成する。ヒストン八量体は円柱形で、それぞれのヒストン八量体には146bpのDNAがその表面に1.65回巻き付けられている<ref name="ref2"><pubmed>9305837</pubmed></ref>。この構造がクロマチン構造の最小単位であるヌクレオソームである。H1 はリンカーヒストンと呼ばれ、ヌクレオソーム間の DNA に結合する。コアヒストンは比較的小さく11~15kDa、H1ヒストンはやや大きく約21kDaであり、ヌクレオソーム内ではそれぞれのコアヒストンが二分子ずつ存在するのに対して、H1ヒストンは一分子含まれる <ref>'''大場義樹'''<br>クロマチン<br>''東京大学出版会'':1986</ref>。ヒストンは正の電荷をもつ[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]の含有量が高く、各ヒストンのアミノ酸残基の少なくとも20%が[[wikipedia:ja:リジン|リジン]]または[[wikipedia:ja:アルギニン|アルギニン]]であるため、負の電荷をもったDNA分子に強く結合する。ヒストンの塩基性アミノ酸含量またはリジン/アルギニン比に従い、H1は高リジン型ヒストン、H2A、H2Bはリジン型ヒストン、H3、H4はアルギニン型ヒストンと呼ばれている<ref>'''James D. Watson, T. A. Baker, S. P. Bell、中村桂子 監訳'''<br>ワトソン 遺伝子の分子生物学【第5版】<br>''東京電機大学出版局'':2006</ref>。


== 構造==
== 構造==