「脳波」の版間の差分

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=== 脳波リズム ===
=== 脳波リズム ===
脳波はその振幅情報だけでなく、その'''律動的なリズム'''も認知機能に関与することが示唆されている。たとえば、運動に関連してμ波リズム(α波とほぼ同一周波数帯域)のパワー値が減衰するμサプレッション(Pfurtscheller et al., 1977)という現象がある。このように事象に関連してある周波数帯域のパワー値が減衰する現象を'''事象関連脱同期'''(event-related desynchronization: ERD)と呼び,逆にパワー値が増強する現象を'''事象関連同期'''(event-related synchronization: ERS)と呼ぶ。シンプルに考えればその発生機序は、特定のリズムで活動する神経細胞集団の増加または減少と捉えることができるが、不明な点は多くコンセンサスは得られていない。μサプレッションは複雑な運動や力を必要とする運動ではその振幅が増強することが知られているように、事象関連(脱)同期も事象関連電位同様に心理的要因などによって変化する性質を持つ。周波数解析によって事象に関連する同期振動を分離できることから、脳波は、最も顕著な同期振動がその波形に現れるが、周波数分解することで背景脳波と<br>
脳波はその振幅情報だけでなく、その'''律動的なリズム'''も認知機能に関与することが示唆されている。たとえば、運動に関連してμ波リズム(α波とほぼ同一周波数帯域)のパワー値が減衰するμサプレッション(Pfurtscheller et al., 1977)という現象がある。このように事象に関連してある周波数帯域のパワー値が減衰する現象を'''事象関連脱同期'''(event-related desynchronization: ERD)と呼び,逆にパワー値が増強する現象を'''事象関連同期'''(event-related synchronization: ERS)と呼ぶ。シンプルに考えればその発生機序は、特定のリズムで活動する神経細胞集団の増加または減少と捉えることができるが、不明な点は多くコンセンサスは得られていない。μサプレッションは複雑な運動や力を必要とする運動ではその振幅が増強することが知られているように、事象関連(脱)同期も事象関連電位同様に心理的要因などによって変化する性質を持つ。これは、最も顕著な事象関連(脱)同期が波形として表出したものが事象関連電位であると考えればうなずける。


 近年では、周波数成分の位相情報に注目した'''ネットワーク解析'''が行われるようになってきた。Rodriguezら(1999)<ref name=ref3 />は,ムーニーフェイスと呼ばれる二値化された顔の画像を被験者に提示し、このときの脳波を計測した。時間周波数解析の結果、画像が上下反転して顔と知覚できなかった条件と比較して、顔と知覚できた際にはガンマ波のパワー値が増強し、さらにその位相が大域的に同期することを発見した。つまり、白と黒の空間的広がりをもった視覚刺激が入力され、脳領域ごとに処理された情報が統合されて顔と知覚されたときに脳波リズムが同期していたことが示された。このことから、機能局在性に基づく各脳領域がモジュールとしてネットワークを形成し、各々のリズミカルな活動が同期することで機能的な情報統合を果たすと考えることができる<ref name=ref81><pubmed>11283746</pubmed></ref>。この[[同調性|'''振動同期仮説''']]の立場から、脳活動の振動成分と認知機能との相関について研究されるようになってきた。<br>
 近年では、周波数成分の位相情報に注目した'''ネットワーク解析'''が行われるようになってきた。Rodriguezら(1999)<ref name=ref3 />は,ムーニーフェイスと呼ばれる二値化された顔の画像を被験者に提示し、このときの脳波を計測した。時間周波数解析の結果、画像が上下反転して顔と知覚できなかった条件と比較して、顔と知覚できた際にはガンマ波のパワー値が増強し、さらにその位相が大域的に同期することを発見した。つまり、白と黒の空間的広がりをもった視覚刺激が入力され、脳領域ごとに処理された情報が統合されて顔と知覚されたときに脳波リズムが同期していたことが示された。このことから、機能局在性に基づく各脳領域がモジュールとしてネットワークを形成し、各々のリズミカルな活動が同期することで機能的な情報統合を果たすと考えることができる<ref name=ref81><pubmed>11283746</pubmed></ref>。この[[同調性|'''振動同期仮説''']]の立場から、脳活動の振動成分と認知機能との相関について研究されるようになってきた。視覚運動課題における運動準備に脳波計測を行った研究では、視覚野と運動野の大域的な位相同期ネットワークが運動準備機能に役立っていることが報告されている<ref name=ref82><pubmed>26003857</pubmed></ref>。また、脳卒中患者の安静時の脳波計測を行った研究では、日常生活の指標とされるFunctional Independence Measure (FIM)が低いほど半球間の振動同期度が低いことが報告されている<ref name=ref83><pubmed>28506148</pubmed></ref>。脳損傷の位置や大きさの影響を統計的に取り除いても同様の相関がみられ、半球間同期ネットワークの不全がFIMに影響を及ぼすということが示されている。このように、従来の脳波研究では事象に伴いどのような脳活動反応が得られるかの知見が集められてきたが、近年のネットワーク解析によって認知機能とネットワークによる情報処理の関連を調べ、システムとしての脳を評価する時代に移り変わってきていると見受けられる。


 北城ラボでの振動同期におけるリファレンス, TMS-EEG,脳刺激の話をつなげても良いかも
 
==== 非侵襲脳刺激 ====
様々な知見から認知機能の実現に脳波リズムが重要な役割を担っていることが示唆されてきているが、非侵襲脳刺激を用いた操作的手法によってこれに介入し、脳リズムの機能を因果的に明らかにしようという試みがなされている。
 
TNS-EEGの情報流
 
tACS-EEGの引き込み




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