「副嗅覚系」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
50行目: 50行目:
 さて、鋤鼻器の形態や機能がかなり明らかになった。しかしその基となっている動物はほとんどが実験室で飼育されている齧歯類の[[ラット]]や[[マウス]]のものである。他の哺乳類もネズミと同じなのか?  
 さて、鋤鼻器の形態や機能がかなり明らかになった。しかしその基となっている動物はほとんどが実験室で飼育されている齧歯類の[[ラット]]や[[マウス]]のものである。他の哺乳類もネズミと同じなのか?  


 我々の研究で明らかになったのは、他の哺乳類の鋤鼻器はラットやマウスの齧歯類のものと大変に異なることである<ref name=ref3>'''Ichikawa M, Shin T, Kang MS'''<br>Fine structure of vomronasal sensory epithelium of Korean goat.<br>''Reproduction Decelopment:'' 1999, 45; 81-89</ref>。よく調べられている[[ヤギ]]を例に述べる。ラットやマウスと比べて、ヤギでは細い血管がいくつも散在しており、鋤鼻腔が拡大している。この特徴から、まず想像できるのは、ヤギに鋤鼻ポンプ機能はないということである。盲管構造は同じなので、他の生理機能でフェロモンを取り込んでいると想像される。ウマ・ヒツジの鋤鼻器もヤギとほとんど同じ形態である。[[ウマ]]・[[ヒツジ]]・ヤギなどに特徴的に現れる[[wikipedia:ja:フレーメン|フレーメン]]がこの機能を担っているという説がある。
 我々の研究で明らかになったのは、他の哺乳類の鋤鼻器はラットやマウスの齧歯類のものと大変に異なることである<ref name=ref3>'''Ichikawa M, Shin T, Kang MS'''<br>Fine structure of vomronasal sensory epithelium of Korean goat.<br>''Reproduction Decelopment:'' 1999, 45; 81-89</ref>。よく調べられている[[ヤギ]]を例に述べる。ラットやマウスと比べて、ヤギでは細い血管がいくつも散在しており、鋤鼻腔が拡大している。この特徴から、まず想像できるのは、ヤギに鋤鼻ポンプ機能はないということである。盲管構造は同じなので、他の生理機能でフェロモンを取り込んでいると想像される。ウマ・ヒツジの鋤鼻器もヤギとほとんど同じ形態である。[[ウマ]]・[[ヒツジ]]・ヤギなどに特徴的に現れる[[wikipedia:ja:フレーメン|フレーメン]]がこの機能を担っているという説がある<ref name=ref013><pubmed>4095186</pubmed></ref>。


 ラット・マウスの感覚上皮は鋤鼻受容細胞が何重にもなって存在しているのにくらべて、ヤギでは、その数が少ない。従って感覚上皮の厚さが薄く、非感覚上皮との区別がつけにくい。しかしながら、一つ一つの細胞の形態にはラット・マウスとヤギの間では大きな差はなく、ヤギの鋤鼻受容細胞も双極型をしており鋤鼻腔に接した面にたくさんの微絨毛を持っている。
 ラット・マウスの感覚上皮は鋤鼻受容細胞が何重にもなって存在しているのにくらべて、ヤギでは、その数が少ない。従って感覚上皮の厚さが薄く、非感覚上皮との区別がつけにくい。しかしながら、一つ一つの細胞の形態にはラット・マウスとヤギの間では大きな差はなく、ヤギの鋤鼻受容細胞も双極型をしており鋤鼻腔に接した面にたくさんの微絨毛を持っている。

案内メニュー