「反応時間」の版間の差分

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===速さと正確さのトレード・オフ===
===速さと正確さのトレードオフ===


速く反応しようとするほど反応は不正確になり、正確に反応しようとするほど反応は遅くなる。
速く反応しようとするほど反応は不正確になり、正確に反応しようとするほど反応は遅くなる。
この交換関係を速さと正確さのトレード・オフ(speed-accuracy tradeoff, SAT)という。
この交換関係を速さと正確さのトレードオフ(speed-accuracy tradeoff, SAT)という。
選択反応時間 <math>RT</math> と正答率 <math>P_{correct}</math> ・誤答率 <math>P_{error}</math> の関係は次式で記述できる
選択反応時間 <math>RT</math> と正答率 <math>P_{correct}</math> ・誤答率 <math>P_{error}</math> の関係は次式で記述できる
( <math>a, b</math> はパラメータ)
( <math>a, b</math> はパラメータ)
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従って、反応時間を分析する際は、正答率・誤答率など反応の正確さの指標もあわせて考慮する必要がある。
従って、反応時間を分析する際は、正答率・誤答率など反応の正確さの指標もあわせて考慮する必要がある。
また、速さと正確さのトレード・オフが適切に統制された実験を計画することが重要である。
また、速さと正確さのトレードオフが適切に統制された実験を計画することが重要である。
例えば2つの条件を比較するとき、反応時間は条件1の方が短いが、誤答率は条件2の方が低かったとすると、解釈が難しい。
例えば2つの条件を比較するとき、反応時間は条件1の方が短いが、誤答率は条件2の方が低かったとすると、解釈が難しい。
この問題を避けるため、トレード・オフを制御して反応時間と正答率・誤答率のどちらかに目標を絞り込むことが多い。
この問題を避けるため、トレードオフを制御して反応時間と正答率・誤答率のどちらかに目標を絞り込むことが多い。


トレード・オフを制御する方法はいくつかある
トレードオフを制御する方法はいくつかある
<ref name=Wickelgren1977>
<ref name=Wickelgren1977>
'''W A Wickelgren'''<br>
'''W A Wickelgren'''<br>
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===先行期間(foreperiod, FP)===
===先行期間(foreperiod, FP)===


典型的な実験では、まず予告刺激(warning signal)を提示し、数秒程度の先行期間(foreperiod, FP)の後に反応すべき刺激(反応刺激、response stimulus)を提示する(図1)
典型的な実験では、まず予告刺激(warning signal)
<ref>
クリック音などの短時間の音刺激や、刺激出現位置を予告する視覚刺激などが用いられる。
視覚刺激を瞬間提示する実験では、刺激を見落とさないよう十字の注視点などを予告刺激として提示し、
これに必ず注視するよう被験者に求めることが多い。
</ref>
を提示し、数秒程度の先行期間(foreperiod, FP)の後に反応すべき刺激(反応刺激、response stimulus)を提示する(図1)
<ref name=ITI>
<ref name=ITI>
被験者の反応から次の試行の予告刺激までの間、すなわち、試行と試行の間にも時間間隔がある。こちらはITI(inter-trial interval)と呼ばれる。通常、ITIは一定とする。
被験者の反応から次の試行の予告刺激までの間、すなわち、試行と試行の間にも時間間隔がある。こちらはITI(inter-trial interval)と呼ばれる。通常、ITIは一定とする。
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