「核内受容体」の版間の差分

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[[Image:核内受容体3.png|thumb|300px|<b>図3. 核内受容体活性化の2つのメカニズム</b><span class=]]&lt;pubmed&gt;18023286&lt;/pubmed&gt; &lt;br /&gt;&lt;b&gt;上図&lt;/b&gt;:リガンド結合による活性化。リガンドのないとき(左図)、核内受容体はHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)やSMRT/NCORなどとリプレッサー複合体を形成しており、転写抑制状態にある。リガンドが結合すると(右図)、コリプレッサーが解離し、HAT(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ)やクロマチン再編成複合体から成るコアクチベーターを取り込んで、転写活性化状態になる。&lt;br /&gt; &lt;b&gt;下図&lt;/b&gt;:リガンド結合によらない活性化。ERRなどリガンドなしに活性化される核内受容体もある。コアクチベーター(PGC-1など)が結合することで、さらに大きなコアクチベーター複合体を呼び込んで転写活性化状態になる。" class="fck_mw_frame fck_mw_right" /&gt;  
[[Image:核内受容体3.png|thumb|300px|<b>図3. 核内受容体活性化の2つのメカニズム</b><span class=]]&lt;pubmed&gt;18023286&lt;/pubmed&gt; &lt;br /&gt;&lt;b&gt;上図&lt;/b&gt;:リガンド結合による活性化。リガンドのないとき(左図)、核内受容体はHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)やSMRT/NCORなどとリプレッサー複合体を形成しており、転写抑制状態にある。リガンドが結合すると(右図)、コリプレッサーが解離し、HAT(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ)やクロマチン再編成複合体から成るコアクチベーターを取り込んで、転写活性化状態になる。&lt;br /&gt; &lt;b&gt;下図&lt;/b&gt;:リガンド結合によらない活性化。ERRなどリガンドなしに活性化される核内受容体もある。コアクチベーター(PGC-1など)が結合することで、さらに大きなコアクチベーター複合体を呼び込んで転写活性化状態になる。" class="fck_mw_frame fck_mw_right" /&gt;  


 核内受容体のリガンドは、輸送蛋白質に結合して血中や体液中を運搬され、標的細胞の中へは単独で入り、細胞質に存在する核内受容体に結合する。例えば、グルココルチコイド受容体 (GR) は、細胞質でシャペロン蛋白質であるhsp90やp23と結合しており、リガンドが結合するとシャペロンから離れて核内に移行し、標的遺伝子の「グルココルチコイド応答エレメント(glucocorticoid response element: GRE)」と呼ばれるDNA配列に結合する<ref name="ref1" />(後述)。リガンドおよびDNAと結合したNRは、コアクチベーター蛋白質などと結合して、クロマチンの構造を変えて転写を調節する大きな複合体としてはたらく。また、細胞核内でリガンドと結合していないNRはコリプレッサー蛋白質と結合しており、標的遺伝子の転写を抑制している(図3)。NRは、細胞質蛋白質であるSMAD3やJNKとも相互作用する。AF-1領域にはリン酸化部位があり、リン酸化による活性調節を受ける。  
 核内受容体のリガンドは、輸送蛋白質に結合して血中や体液中を運搬され、標的細胞の中へは単独で入り、細胞質に存在する核内受容体に結合する。例えば、グルココルチコイド受容体 (GR) は、細胞質でシャペロン蛋白質であるhsp90やp23と結合しており、リガンドが結合するとシャペロンから離れて核内に移行し、標的遺伝子の「グルココルチコイド応答エレメント(glucocorticoid response element: GRE)」と呼ばれるDNA配列に結合する<ref name="ref1" />(後述)。リガンドおよびDNAと結合したNRは、コアクチベーター蛋白質などと結合して、クロマチンの構造を変えて転写を調節する大きな複合体としてはたらく。また、細胞核内でリガンドと結合していないNRはコリプレッサー蛋白質と結合しており、標的遺伝子の転写を抑制している(図3)。NRは、細胞質蛋白質であるSMAD3やJNKとも相互作用する。AF-1領域にはリン酸化部位があり、リン酸化による活性調節を受ける。
 
 
{| width="1008" cellspacing="1" cellpadding="1" class="wikitable"
|-
| style="background-color:#a9a9a9; text-align:center" | クラスター
| style="background-color:#a9a9a9; text-align:center" | 機能
| style="background-color:#a9a9a9; text-align:center" | 核内受容体
| style="background-color:#a9a9a9; text-align:center" | 機能
| style="background-color:#a9a9a9; text-align:center" | 発現部位
|-
| style="text-align:center" rowspan="3" | I
| rowspan="3" | ステロイド合成
| FXRb
| ヒトになし、マウスで機能不明
| rowspan="3" | 中枢神経系、生殖器、副腎
|-
| SF1
| rowspan="2" | 性分化とステロイド合成
|-
| DAX1
|-
| style="text-align:center" rowspan="5" | II
| rowspan="5" | 生殖と発生
| AR
| rowspan="3" | 内分泌ステロイドホルモン受容体(性決定、性生殖)
|-
| ERa, ERb
|-
| PR
|-
| COUP-TFII
| RARシグナルの調節
|-
| RARa, RARg
| 発生
|-
| style="text-align:center" rowspan="12" | III
| rowspan="12" | 中枢神経系、概日リズム、基礎代謝機能
| TLX
| rowspan="4" | 神経細胞と末梢組織の分化
| rowspan="4" | 中枢神経系
|-
| COUP-TFI
|-
| TR4
|-
| NR4As (NGFIB, NOR1, NURR1)
|-
| Rev-ErbAa, Rev-ErbAb
| rowspan="4" | 概日リズムと代謝の調節
|-
| RORa, RORb
|-
| ERRb, ERRg
|-
| NR4As
|-
| TRa
| rowspan="3" | 心臓血管機能の調節
|-
| MR
|-
| LXRb
|-
| RXRb, RXRg
| 内分泌NRや脂質NRとヘテロダイマーを形成
|-
| style="text-align:center" rowspan="9" | IV
| rowspan="9" | 胆汁酸と生体異物の代謝
| HNF4a
| 胃・腸・肝の発生
|-
| HNF4g
| 糖代謝とインスリン作用
|-
| FXRa
| rowspan="3" | 胆汁酸代謝
|-
| LRH-1
|-
| SHP
|-
| PXR
| rowspan="2" | ステロイド・食餌中の生体異物性脂質・毒性生理活性脂質の除去
|-
| CAR
|-
| VDR
| Ca吸収・代謝、腸での胆汁酸除去
|-
| RORg
| リンパ管の発生、胸腺リンパ球形成
|-
| style="text-align:center" rowspan="7" | V
| rowspan="11" | 脂質代謝とエネルギーの恒常性 <br> <br>
| TRb
| 熱発生、脂肪酸・コレステロール代謝
|-
| PPARa, PPARd
| 脂肪酸の酸化
|-
| ERRa
| 酸化的遺伝子発現、脂質代謝、ミトコンドリア生成
|-
| COUP-TFg
| rowspan="3" | 機能不明
|-
| TR2
|-
| GCNF
|-
| RXRa
| ヘテロダイマー形成
|-
| style="text-align:center" rowspan="4" | VI <br> <br>
|-
| PPARg
| rowspan="2" | 食餌中のコレステロール・脂肪を感知してインスリンシグナルを亢進させ、脂肪を蓄積
|-
| LXRa
|-
| GR
| 脂肪分解・糖新生促進
|-
| style="text-align:center" | その他
| <br>
| PNR
| 視細胞の発生と機能
| 眼
|}
 
'''表2.マウス核内受容体の機能による分類'''
 
*クラスターI: ステロイド合成
*クラスターII: 生殖と発生
*クラスターIII: 中枢神経系、概日リズム、基礎代謝機能
*クラスターIV: 胆汁酸と生体異物の代謝
*クラスターVとVI: 脂質代謝とエネルギーの恒常性
 


== 認識するDNA配列(ホルモン応答エレメント:hormone response element)  ==
== 認識するDNA配列(ホルモン応答エレメント:hormone response element)  ==