「ニューレキシン」の版間の差分

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担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所)
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英語名:neurexin 英略称:NRXN
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 ニューレキシンはシナプス前末端(presynapse,presynaptic terminal)に存在する1回膜貫通型タンパク質であり、シナプス後部(postsynapse)の膜タンパク質であるニューロリギン(Neuroligin: NLGN)とシナプス間隙で結合し、シナプス構築や神経伝達物質の放出機構などに関わっている(PMID: 18923512)。多くのスプライス変異体が存在し、グルタミン酸作動性・GABA作動性神経シナプスの構築の選別に影響すると考えられている(PMID: 16624946, 18006501)。また、自閉症や統合失調症の発症に関与していると考えられている(PMID: 17034946, 21424692, 22405623, 21424692, 19880096, 21477380)。
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英語名:neurexin 英略称:NRXN
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 ニューレキシンはシナプス前末端(presynapse,presynaptic terminal)に存在する1回膜貫通型タンパク質であり、シナプス後部(postsynapse)の膜タンパク質であるニューロリギン(Neuroligin: NLGN)とシナプス間隙で結合し、シナプス構築や神経伝達物質の放出機構などに関わっている<ref><pubmed>18923512</pubmed></ref>。多くのスプライス変異体が存在し、グルタミン酸作動性・GABA作動性神経シナプスの構築の選別に影響すると考えられている<ref><pubmed>16624946</pubmed></ref> <ref><pubmed>18006501</pubmed></ref>。また、自閉症や統合失調症の発症に関与していると考えられている<ref><pubmed>17034946</pubmed></ref> <ref><pubmed>21424692</pubmed></ref> <ref><pubmed>22405623</pubmed></ref> <ref><pubmed>21424692</pubmed></ref> <ref><pubmed>19880096</pubmed></ref> <ref><pubmed>21477380</pubmed></ref> 。
推奨英文総説<ref><pubmed>18923512</pubmed></ref> <ref><pubmed>17275284</pubmed></ref>
主な結合タンパク質であるニューロリギンも参照のこと。
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== 歴史 ==
== 歴史 ==
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 ニューレキシンが最初に[[wikipedia:jp:クロゴケグモ|クロゴケグモ]]の毒成分である[[α-latrotoxin]]の[[受容体]]として発見され、その後、他のニューレキシンが同定された<ref><pubmed>9448462</pubmed></ref>。
 ニューレキシンが最初に[[wikipedia:jp:クロゴケグモ|クロゴケグモ]]の毒成分である[[α-latrotoxin]]の[[受容体]]として発見され、その後、他のニューレキシンが同定された<ref><pubmed>9448462</pubmed></ref>。


== 構造 ==
== 構造 ==
[[image:図1NRXNのドメイン構造.jpg|thumb|300px|'''図1.NRXNのドメイン構造'''<br>矢印:選択的スプライシング部位 SP:シグナルペプチド、TM:膜貫通領域、CHO: carbohydrate-attachment sequence]]


 ニューレキシンは[[wikipedia:jp:哺乳類|哺乳類]]では3種類の遺伝子から成り、それぞれ[[ニューレキシン 1]]、[[ニューレキシン 2|2]]、[[ニューレキシン 3|3]]として発現している。さらに、それらの遺伝子から長鎖と短鎖の2つのアイソフォームが発現し、長鎖が[[α-ニューレキシン]]、短鎖が[-ニューレキシン]]である。従って、3つのα-ニューレキシン([[1α]]、[[2α]]、[[3α]])と3つのβ-ニューレキシン([[1β]]、[[2β]]、[[3β]])がある。α-ニューレキシンは上流に、β-ニューレキシンは下流にプロモーターが存在している。
 哺乳類ではNRXNは3つの遺伝子(NRXN1、2、3)から成り、プロモーターの違いから、長鎖のαNRXN(上流プロモーター)、短鎖のβNRXN(下流プロモーター)の2つのアイソフォームに転写される。従って、3つのαNRXN(1α、2α、3α)と3つのβNRXN(1β、2β、3β)からなる。さらに、αNRXNは選択的スプライシング部位を5つ[alternative splice site (SS)1から5]、βNRXNは2つ(SS4と5)有しており、3000以上のスプライス変異体が存在する(PMID: 16794786, 18923512, 20510934, 12036300)。NRXNの選択的スプライシングは神経活動によって、調節されている(PMID: 22196734)。αNRXNは細胞外側に6つのLNSドメイン[laminin, Neurexin, sex-hormone binding protein (LNS)ドメインまたはLaminin G ドメイン]とLNSドメインを隔てる3つのEGF様ドメイン(epidermal growth factor-like ドメイン)を有している。一方、βNRXNのLNSドメインは一つである。両NRXNの細胞内C末端領域にはPDZドメイン[postsynaptic density (PSD) -95/ discs large/ zona-occludens-1ドメイン]を有する(PMID: 17275284, 16794786)(図1)。βNRXN の細胞外構造およびβNRXNとNLGN複合体の3次元構造が明らかとなっている<ref><pubmed>18093522</pubmed></ref>、(動画)。


 α-ニューレキシンは6つの[[LNSドメイン]]([[laminin]], [[Neurexin]], [[sex-hormone binding protein]] ドメイン)とLNSドメインを隔てる3つの[[EGF様ドメイン]]([[epidermal growth factor]]-like ドメイン)を有している。一方、β-ニューレキシンのLNSドメインは一つだけである。両ニューレキシンのC末領域は[[PDZドメイン]]を有している<ref name=ref2><pubmed>17275284</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>16794786</pubmed></ref>。
 ショウジョウバエや線虫、ミツバチ、アメフラシなどの無脊椎動物においてもαNRXN遺伝子が同定されている(PMID: 1203630, 18974885, 21555073)。また、線虫ではβNRXNも同定されている(PMID: 21055481)。


== 分布 ==
== 結合タンパク質 ==


 ニューレキシンはほとんどが[[脳]]に発現しているが、[[wikipedia:jp:膵臓|膵臓]]、[[wikipedia:jp:肺|肺]]、[[wikipedia:jp:腎臓|腎臓]]や[[wikipedia:jp:血管|血管]]にも発現している<ref><pubmed>18064415</pubmed></ref> <ref><pubmed>21858769</pubmed></ref> <ref name=ref3><pubmed>21048075</pubmed></ref>。
 細胞外ドメインを介した結合タンパク質:これまでに5つのタンパク質 [NLGN、dystroglycan、neurexophilins、Leucine-rich repeat transmembrane neuronal proteins (LRRTMs)、Cbln]が同定されている(PMID: 7695896,11470830,8699246, 20064387,20064388,20537373, 21410790)。NLGNとの結合において、NRXNのスプライス変異体は、細胞間の認識や接着ならびにシナプス構築などの過程に重要な役割を有していることが示されており、現在までにSS4の挿入の有無が結合選択性に影響することが報告されている(ニューロリギン:DOI XXXX, 参照のこと)。


== 機能 ==
 βNRXN1(4-)(SS4非挿入体)は、splicing site B(SSB)の挿入の有無に関わらずNLGN1[NL1(-), NL1A, NL1B, NL1AB]ならびにNLGN2[NL2(-)とNL2A]と高親和性に結合するが、βNRXN1(4+)(SS4挿入体)のSSB挿入体NLGN1(NL1B, NL1AB)との結合親和性は低い(表1)(PMID: 16242404,18812509,16846852, 16624946)。一方、αNRXNはSS4の有無に関わらずNLGN1-SSB挿入体とは結合しないが(PMID: 16242404)、αNRXNのLNS6ドメインのみではNLGN1-SSB挿入体と結合する(PMID: 18812509)。LRRTMsは、α-,βNRXN(4-)とのみ結合する(PMID: 20519524)。Cbln1とCbln2はα-,βNRXN(4+)と結合するが、NRXN(4-)とは結合しない(PMID: 21410790)。
 
 Dystroglycanはα-、βNRXNとスプライス変異体依存的に結合する(PMID: 11470830)。また、neurexophilinはαNRXNとスプライス変異体非依存的に結合する(PMID: 8699246,9856994)。


===脳===
 細胞内ドメインを介した結合タンパク質:細胞内C末端領域のPDZドメインを介し、シナプトタグミン(synaptotagmin)(PMID: 8439414)やCASK(PMID: 8786425)などのシナプス前末端局在タンパク質と結合している。
 ニューレキシンは哺乳類脳では、4つの細胞外結合パートナー([[ニューロリギン]]、[[dystroglycan]]、[[neurexophilins]]、[[Leucine-rich repeat transmembrane neuronal proteins]](LRRTMs))が存在している。ニューロリギンはα-ニューレキシン、β-ニューレキシンの両者と[[Ca2+|Ca<sup>2+</sup>]]依存性に結合する<ref name=ref2 />。ニューロリギンとの結合には、α-ニューレキシンでは6番目のLNSドメインが、β-ニューレキシンでは唯一のLNSドメインが関与している<ref name=ref5><pubmed>18923512</pubmed></ref>。Dystroglycanは優先的にα-ニューレキシンとCa<sup>2+</sup>依存性に結合する。また、neurexophilinは特異的にα-ニューレキシンとCa<sup>2+</sup>非依存性に結合する<ref name=ref2 />。Leucine-rich repeat transmembrane neuronal proteinsは[[興奮性シナプス]]に局在しており、ニューレキシンと結合し、興奮性シナプスの形成に関与している<ref><pubmed>20064387</pubmed></ref>。


 β-ニューレキシンを過剰発現させた非神経細胞は、共培養した神経細胞において[[GABA]]作動性(抑制性)と[[グルタミン酸]]作動性(興奮性)神経ポストシナプスへの[[分化]]を誘導することから、β-ニューレキシンはシナプス形成の際の細胞と細胞の連結の調節因子として働いているようである<ref name=ref10><pubmed>21394644</pubmed></ref>。
== 発現 ==


 β-ニューレキシン[[ノックアウトマウス]]は未だに確立されていない。一方、α-ニューレキシンノックアウトマウスは生存可能であるが、周産期に呼吸器病によって死亡する。α-ニューレキシンノックアウトマウスは[[GABA]]作動性[[神経終末]]の数を減少させるが、グルタミン酸作動性神経終末には変化を示さない。さらに、α-ニューレキシンノックアウトマウスは[[Ca2+チャネル|Ca<sup>2+</sup>チャネル]]の機能低下が原因となり、神経伝達物質遊離の障害を示すことが報告されている。すなわち、α-ニューレキシンは[[抑制性シナプス]]構築に関与し、Ca<sup>2+</sup>チャネル機能を調節する役割を有している<ref name=ref10 />。
 NRXNは脳に高レベルで発現しており、海馬においては細胞種の違いによって異なるアイソフォームの発現が認められている(例えば、海馬CA1錐体細胞と歯状回顆粒細胞ではNRXN3αの発現が認められないのに対して、介在細胞ではNRXN3αが高発現している)(PMID: 7695896)。また、脳以外の臓器にも発現しており、NRXN1(α, β)と3(α, β)のmRNAは心臓、肺、腎臓、胎盤にも発現している(PMID: 21048075, 12379233)。また、血管においてもNRXNの発現が認められている(PMID: 19926856)。


 ニューレキシンは[[CASK]]と[[Mint]]、[[Veli]]から成る複合体を介して、[[シナプス小胞]]と結合している<ref name=ref10 />。
== 機能 ==


===血管===
===神経===
 β-ニューレキシンに対する[[wikipedia:jp:抗体|抗体]]の血管への付加は、[[ノルアドレナリン]]誘導血管収縮を減弱させており、[[wikipedia:jp:血管平滑筋|血管平滑筋]]のβ-ニューレキシンはCa<sup>2+</sup>チャネル調節因子として血管緊張調整に関与しているようである。また、この抗β-ニューレキシン抗体はFGF-2誘導血管新生を減弱させている。
[[image:図2興奮性シナプスにおけるNRXNとNLGNの結合模式図.jpg|thumb|300px|'''図2.興奮性シナプスにおけるNRXNとNLGNの結合模式図.jpg'''<br>NRXNとNLGNはシナプス前末端とシナプス後部間で結合している。NRXNとNLGNはそれぞれシナプス前末端とシナプス後部のシナプス局在分子と直接・間接的に結合している。]]
血管においてβ-ニューレキシンは、血管緊張や血管再構築に関与しているようである<ref name=ref10 />。


===腎臓===
 NRXNは主にシナプス前末端に局在し、シナプス後部に局在する結合タンパク質との相互作用によりグルタミン酸作動性(興奮性)およびGABA作動性(抑制性)シナプスの形成・成熟・機能を制御していると考えられている。NRXNを強制発現させた株化細胞と初代培養神経細胞を共培養することにより、NRXNがシナプス後部の分化に果たす役割が明らかになっている。非神経細胞へのβNRXN強制発現は、共培養した神経細胞上の抑制性、興奮性シナプス後部の分化を誘導する。一方、αNRXNの強制発現は抑制性シナプス後部の分化を誘導する(PMID: 15620359, 18006501, 15837930, 16846852)。βNRXN(4+)は、興奮性シナプス後部タンパク質であるNLGN 1/3/4とPSD95のクラスター形成能を低下させるが、抑制性シナプス後部タンパク質であるNLGN2とgephyrinのクラスター形成能には影響しない(PMID:16624946)。このことから、βNRXN のSS4挿入の有無は、興奮性・抑制性神経シナプスの構築の選別に影響すると考えられている。
 ニューレキシンは、[[wikipedia:jp:糸球体足細胞|糸球体足細胞]]によって得られる[[wikipedia:jp:スリット|スリット]]膜に発現しており、スリット膜の構成タンパク質である[[wikipedia:CD2AP|CD2AP]]と結合している。スリット膜は、[[wikipedia:jp:糸球体|糸球体]]におけるタンパク質通過防止機能を有しており、ニューレキシンはタンパク尿のバリアー機能に関与すると考えられている<ref name=ref3 />。


== スプライシング変異体 ==
 NRXNとNLGNをシナプス前・後細胞にそれぞれ強制発現させた機能解析により、αNRXN1とNLGN2は機能的抑制性シナプス形成に重要であるが、βNRXN1とNLGN2の組み合わせは重要ではないことが示唆されている(PMID: 23426688)。


 α-ニューレキシンは[[選択的スプライシング]]部位を5つ、β-ニューレキシンは2つ有しており、1000以上のスプライス変異体が存在する<ref name=ref4 />。
 以上より、特異的なNRXNとNLGNの結合の組み合わせが興奮性、抑制性シナプスの仕分けに重要であると考えられている。また、NLGNノックアウトとノックインマウスの解析により、抑制性シナプス前細胞の種類に依存して抑制性シナプスの機能異常が見られることが明らかになっている(PMID: 19889999,23583622)。これは抑制性細胞の種類によって、発現又は機能しているNRXNアイソフォームが異なることを示唆している。


 これらの様々なスプライシング変異体は、細胞―細胞間の認識や[[接着]]ならびにシナプス構築などの過程に重要な役割を有していることが議論されており、現在までにsplice site 4 insert (S4)が結合選択性やシナプス機能を調節していることが報告されている。例えば、S4を有していないβ-ニューレキシン(-S4 β-ニューレキシン)は、splicing site B(SB)の有無に関わらずニューロリギン1(+SB and –SBニューロリギン1)とニューロリギン2(SBを有さない)と高親和性に結合するが、β-ニューレキシンへのS4の付加は、+SBニューロリギン1との結合親和性を低下させる。
 LRRTMはα-, βNRXN(4-)と結合し、興奮性シナプス形成を制御している(PMID: 20064387)。


 また、[[グルタミン酸]]作動性・[[GABA作動性]]神経シナプスの構築に関して、β-ニューレキシンへのsplice site 4 insertの付加(+S4 β-ニューレキシン)は、グルタミン酸作動性神経シナプス後部タンパク質であるニューロリギン1/3/4と[[PSD95]]のクラスタリング能を減少させるが、GABA作動性神経後シナプスタンパク質であるニューロリギン2とgephyrinのクラスタリング能には影響しない。また、ニューロリギン2(ほとんどがsplice site B insertを含んでいない:-Bニューロリギン)は+Bニューロリギンよりも[[VGAT]]のクラスタリングを促進する。このように、+S4 β-ニューレキシンと-Bニューロリギンは共にGABA作動性神経シナプスの分化を促進し、一方で、-S4 β-ニューレキシンと+Bニューロリギン1は共にグルタミン酸作動性神経シナプスの分化を促進している。
 αNRXNはCa2+チャネルと共にシナプス伝達物質放出機構を調節することが示唆されている(PMID: 12827191)。


 鶏[[交感神経]]では、+S4ニューレキシンと-S4ニューレキシンの転写産物の比率は、成長や培養実験における[[wikipedia:jp:成長因子|成長因子]]の付加に応じて変化する<ref name=ref2 />。
===血管===
 βNRXNに対する抗体の血管への付加は、血管新生を抑制する。また、ノルアドレナリン誘導血管収縮も減弱させており、血管平滑筋のβNRXNはCa2+チャネル調節因子として血管緊張調整に関与しているようである。(PMID: 19926856, 21394644)。αNRXNの細胞外ドメインの類似断片は、受容体型チロシンキナーゼTie2を介して血管新生を促進する(PMID:23485462)。


== ニューレキシン類似タンパク質(CASPRs) ==
===腎臓===
 NRXNは、糸球体足細胞によって得られるスリット膜に発現しており、スリット膜の構成タンパク質であるCD2APと結合している。スリット膜は、糸球体におけるタンパク質通過防止機能を有しており、NRXNはタンパク質尿のバリアー機能に関与すると考えられている(PMID: 21048075)。


 [[CASPR]]s([[contactin-associated proteins]])はα-ニューレキシンと類似の構造を有するが、α-ニューレキシンが含んでいない細胞外ドメインを有している。ニューレキシンの様に[[細胞接着分子]]として機能しているが、主に、神経細胞とグリア細胞の接着に関与している<ref name=ref10 />。
== NRXN類似タンパク質 ==
 CASPRs(contactin-associated proteins: NRXN4としても知られている)はαNRXNと類似の構造を有するが、αNRXNには無い細胞外ドメインを有している。NRXNの様に細胞接着分子として機能している(PMID: 9786343)。また、CASPR1はAMPA型グルタミン酸受容体の輸送を調節することが報告されている(PMID: 22223644)。また、CASPR2の遺伝子変異は自閉症と関連していると考えられている(PMID: 22365836)。


== 疾患との関連 ==
== 疾患との関連 ==
===自閉症===
 患者の中にはNRXN1と2に変異[missense mutation (PMID: 17034946), truncating mutation (PMID:21424692), SNP (PMID: 22405623)]を有するものがいる。


 ニューレキシン1遺伝子で7つの点変異と2つのdistinct translocation event、4つのdifferent large-scale deletionが[[自閉症]]患者において発見されている<ref name=ref5 />。
===統合失調症===
 
 NRXN1での変異 [truncating mutation (PMID: 21424692)、コピー数多型(PMID: 19880096、21477380)] が統合失調症患者で発見されている。
 ニューレキシン1遺伝子のニューレキシン1βではなく、ニューレキシン1αをコードしている配列における欠失が[[統合失調症]]患者において発見されている<ref name=ref5 />。また、nニューレキシン1の[[遺伝子多型]]と[[ニコチン依存症]]が関係していることが報告されている<ref><pubmed>20414139</pubmed></ref>。


 また、ニューレキシン2の短縮型変異が自閉症患者において発見されている<ref><pubmed>21424692</pubmed></ref>。
== 遺伝子改変マウス ==
===αNRXN1 knockoutマウス===
 統合失調症患者で認められるPrepulse inhibitionの低下を示す。海馬において興奮性シナプス伝達障害が認められるが、抑制性シナプス伝達障害はない(PMID: 19822762)。αNRXN1 ヘテロKOマウスは、新規環境に対する反応性の増加を示し、特に雄性マウスにおいてその行動が認められる(PMID: 22348092)。


 ニューレキシン3は[[依存]]のしやすさと関係していると考えられており、[[薬物依存]]や[[肥満]]のリスクとニューレキシン3の遺伝子多型が関わっている。さらに、ニューレキシン3の遺伝子多型は[[衝動性]]と関係しており、男性にのみこの関係性があることが報告されている<ref><pubmed>21676558</pubmed></ref>。
===αNRXN triple Knockoutマウス===
 呼吸器系に障害が認められる。KOマウスはGABA作動性神経終末の数を減少させるが、グルタミン酸作動性神経終末には変化を示さない。さらに、KOマウスはCa2+チャネルの機能低下が原因となり、神経伝達物質放出の障害を示すことが報告されている。(PMID: 12827191)


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references />
<references />

2013年7月9日 (火) 14:13時点における版

渡辺 拓也二井 健介
マサチューセッツ州立大学 メディカルスクール
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年6月4日 原稿完成日:2013年6月xx日
担当編集委員:林 康紀(独立行政法人理化学研究所)

動画 タイトルを御願い致します
説明を御願い致します。
Neurexin 1
ニューレキシンLNSドメイン(PDB1c4r​に基づく)。
Identifiers
Symbols NRXN1; Hs.22998; PTHSL2; SCZD17
External IDs OMIM600565 HomoloGene21005 GeneCards: NRXN1 Gene
RNA expression pattern
PBB GE NRXN1 209914 s at tn.png
PBB GE NRXN1 209915 s at tn.png
PBB GE NRXN1 216096 s at tn.png
More reference expression data
Orthologs
Species Human Mouse
Entrez 9378 18189
Ensembl ENSG00000179915 ENSMUSG00000024109
UniProt P58400 Q9CS84
RefSeq (mRNA) NM_001135659 NM_020252
RefSeq (protein) NP_001129131 NP_064648
Location (UCSC) Chr 2:
50.15 – 51.26 Mb
Chr 17:
90.03 – 91.09 Mb
PubMed search [1] [2]
Neurexin 2
Identifiers
Symbols NRXN2; FLJ40892; KIAA0921
External IDs OMIM600566 MGI1096362 HomoloGene86984 GeneCards: NRXN2 Gene
RNA expression pattern
PBB GE NRXN2 209982 s at tn.png
PBB GE NRXN2 209983 s at tn.png
More reference expression data
Orthologs
Species Human Mouse
Entrez 9379 18190
Ensembl ENSG00000110076 ENSMUSG00000033768
UniProt P58401 E9PUM9
RefSeq (mRNA) NM_015080 NM_001205234
RefSeq (protein) NP_055895 NP_001192163
Location (UCSC) Chr 11:
64.37 – 64.49 Mb
Chr 19:
6.42 – 6.54 Mb
PubMed search [3] [4]
Neurexin 3
Identifiers
Symbols NRXN3; C14orf60
External IDs OMIM600567 MGI1096389 HomoloGene88711 GeneCards: NRXN3 Gene
RNA expression pattern
PBB GE NRXN3 205795 at tn.png
PBB GE NRXN3 215021 s at tn.png
PBB GE NRXN3 215020 at tn.png
More reference expression data
Orthologs
Species Human Mouse
Entrez 9369 18191
Ensembl ENSG00000021645 ENSMUSG00000066392
UniProt Q9HDB5 n/a
RefSeq (mRNA) NM_001105250 NM_172544
RefSeq (protein) NP_001098720 NP_766132
Location (UCSC) Chr 14:
78.71 – 80.33 Mb
Chr 12:
89.31 – 90.74 Mb
PubMed search [5] [6]

英語名:neurexin 英略称:NRXN

 ニューレキシンはシナプス前末端(presynapse,presynaptic terminal)に存在する1回膜貫通型タンパク質であり、シナプス後部(postsynapse)の膜タンパク質であるニューロリギン(Neuroligin: NLGN)とシナプス間隙で結合し、シナプス構築や神経伝達物質の放出機構などに関わっている[1]。多くのスプライス変異体が存在し、グルタミン酸作動性・GABA作動性神経シナプスの構築の選別に影響すると考えられている[2] [3]。また、自閉症や統合失調症の発症に関与していると考えられている[4] [5] [6] [7] [8] [9]

推奨英文総説[10] [11]

主な結合タンパク質であるニューロリギンも参照のこと。

歴史

 ニューレキシンが最初にクロゴケグモの毒成分であるα-latrotoxin受容体として発見され、その後、他のニューレキシンが同定された[12]

構造

図1.NRXNのドメイン構造
矢印:選択的スプライシング部位 SP:シグナルペプチド、TM:膜貫通領域、CHO: carbohydrate-attachment sequence

 哺乳類ではNRXNは3つの遺伝子(NRXN1、2、3)から成り、プロモーターの違いから、長鎖のαNRXN(上流プロモーター)、短鎖のβNRXN(下流プロモーター)の2つのアイソフォームに転写される。従って、3つのαNRXN(1α、2α、3α)と3つのβNRXN(1β、2β、3β)からなる。さらに、αNRXNは選択的スプライシング部位を5つ[alternative splice site (SS)1から5]、βNRXNは2つ(SS4と5)有しており、3000以上のスプライス変異体が存在する(PMID: 16794786, 18923512, 20510934, 12036300)。NRXNの選択的スプライシングは神経活動によって、調節されている(PMID: 22196734)。αNRXNは細胞外側に6つのLNSドメイン[laminin, Neurexin, sex-hormone binding protein (LNS)ドメインまたはLaminin G ドメイン]とLNSドメインを隔てる3つのEGF様ドメイン(epidermal growth factor-like ドメイン)を有している。一方、βNRXNのLNSドメインは一つである。両NRXNの細胞内C末端領域にはPDZドメイン[postsynaptic density (PSD) -95/ discs large/ zona-occludens-1ドメイン]を有する(PMID: 17275284, 16794786)(図1)。βNRXN の細胞外構造およびβNRXNとNLGN複合体の3次元構造が明らかとなっている[13]、(動画)。

 ショウジョウバエや線虫、ミツバチ、アメフラシなどの無脊椎動物においてもαNRXN遺伝子が同定されている(PMID: 1203630, 18974885, 21555073)。また、線虫ではβNRXNも同定されている(PMID: 21055481)。

結合タンパク質

 細胞外ドメインを介した結合タンパク質:これまでに5つのタンパク質 [NLGN、dystroglycan、neurexophilins、Leucine-rich repeat transmembrane neuronal proteins (LRRTMs)、Cbln]が同定されている(PMID: 7695896,11470830,8699246, 20064387,20064388,20537373, 21410790)。NLGNとの結合において、NRXNのスプライス変異体は、細胞間の認識や接着ならびにシナプス構築などの過程に重要な役割を有していることが示されており、現在までにSS4の挿入の有無が結合選択性に影響することが報告されている(ニューロリギン:DOI XXXX, 参照のこと)。

 βNRXN1(4-)(SS4非挿入体)は、splicing site B(SSB)の挿入の有無に関わらずNLGN1[NL1(-), NL1A, NL1B, NL1AB]ならびにNLGN2[NL2(-)とNL2A]と高親和性に結合するが、βNRXN1(4+)(SS4挿入体)のSSB挿入体NLGN1(NL1B, NL1AB)との結合親和性は低い(表1)(PMID: 16242404,18812509,16846852, 16624946)。一方、αNRXNはSS4の有無に関わらずNLGN1-SSB挿入体とは結合しないが(PMID: 16242404)、αNRXNのLNS6ドメインのみではNLGN1-SSB挿入体と結合する(PMID: 18812509)。LRRTMsは、α-,βNRXN(4-)とのみ結合する(PMID: 20519524)。Cbln1とCbln2はα-,βNRXN(4+)と結合するが、NRXN(4-)とは結合しない(PMID: 21410790)。

 Dystroglycanはα-、βNRXNとスプライス変異体依存的に結合する(PMID: 11470830)。また、neurexophilinはαNRXNとスプライス変異体非依存的に結合する(PMID: 8699246,9856994)。

 細胞内ドメインを介した結合タンパク質:細胞内C末端領域のPDZドメインを介し、シナプトタグミン(synaptotagmin)(PMID: 8439414)やCASK(PMID: 8786425)などのシナプス前末端局在タンパク質と結合している。

発現

 NRXNは脳に高レベルで発現しており、海馬においては細胞種の違いによって異なるアイソフォームの発現が認められている(例えば、海馬CA1錐体細胞と歯状回顆粒細胞ではNRXN3αの発現が認められないのに対して、介在細胞ではNRXN3αが高発現している)(PMID: 7695896)。また、脳以外の臓器にも発現しており、NRXN1(α, β)と3(α, β)のmRNAは心臓、肺、腎臓、胎盤にも発現している(PMID: 21048075, 12379233)。また、血管においてもNRXNの発現が認められている(PMID: 19926856)。

機能

神経

図2.興奮性シナプスにおけるNRXNとNLGNの結合模式図.jpg
NRXNとNLGNはシナプス前末端とシナプス後部間で結合している。NRXNとNLGNはそれぞれシナプス前末端とシナプス後部のシナプス局在分子と直接・間接的に結合している。

 NRXNは主にシナプス前末端に局在し、シナプス後部に局在する結合タンパク質との相互作用によりグルタミン酸作動性(興奮性)およびGABA作動性(抑制性)シナプスの形成・成熟・機能を制御していると考えられている。NRXNを強制発現させた株化細胞と初代培養神経細胞を共培養することにより、NRXNがシナプス後部の分化に果たす役割が明らかになっている。非神経細胞へのβNRXN強制発現は、共培養した神経細胞上の抑制性、興奮性シナプス後部の分化を誘導する。一方、αNRXNの強制発現は抑制性シナプス後部の分化を誘導する(PMID: 15620359, 18006501, 15837930, 16846852)。βNRXN(4+)は、興奮性シナプス後部タンパク質であるNLGN 1/3/4とPSD95のクラスター形成能を低下させるが、抑制性シナプス後部タンパク質であるNLGN2とgephyrinのクラスター形成能には影響しない(PMID:16624946)。このことから、βNRXN のSS4挿入の有無は、興奮性・抑制性神経シナプスの構築の選別に影響すると考えられている。

 NRXNとNLGNをシナプス前・後細胞にそれぞれ強制発現させた機能解析により、αNRXN1とNLGN2は機能的抑制性シナプス形成に重要であるが、βNRXN1とNLGN2の組み合わせは重要ではないことが示唆されている(PMID: 23426688)。

 以上より、特異的なNRXNとNLGNの結合の組み合わせが興奮性、抑制性シナプスの仕分けに重要であると考えられている。また、NLGNノックアウトとノックインマウスの解析により、抑制性シナプス前細胞の種類に依存して抑制性シナプスの機能異常が見られることが明らかになっている(PMID: 19889999,23583622)。これは抑制性細胞の種類によって、発現又は機能しているNRXNアイソフォームが異なることを示唆している。

 LRRTMはα-, βNRXN(4-)と結合し、興奮性シナプス形成を制御している(PMID: 20064387)。

 αNRXNはCa2+チャネルと共にシナプス伝達物質放出機構を調節することが示唆されている(PMID: 12827191)。

血管

 βNRXNに対する抗体の血管への付加は、血管新生を抑制する。また、ノルアドレナリン誘導血管収縮も減弱させており、血管平滑筋のβNRXNはCa2+チャネル調節因子として血管緊張調整に関与しているようである。(PMID: 19926856, 21394644)。αNRXNの細胞外ドメインの類似断片は、受容体型チロシンキナーゼTie2を介して血管新生を促進する(PMID:23485462)。

腎臓

 NRXNは、糸球体足細胞によって得られるスリット膜に発現しており、スリット膜の構成タンパク質であるCD2APと結合している。スリット膜は、糸球体におけるタンパク質通過防止機能を有しており、NRXNはタンパク質尿のバリアー機能に関与すると考えられている(PMID: 21048075)。

NRXN類似タンパク質

 CASPRs(contactin-associated proteins: NRXN4としても知られている)はαNRXNと類似の構造を有するが、αNRXNには無い細胞外ドメインを有している。NRXNの様に細胞接着分子として機能している(PMID: 9786343)。また、CASPR1はAMPA型グルタミン酸受容体の輸送を調節することが報告されている(PMID: 22223644)。また、CASPR2の遺伝子変異は自閉症と関連していると考えられている(PMID: 22365836)。

疾患との関連

自閉症

 患者の中にはNRXN1と2に変異[missense mutation (PMID: 17034946), truncating mutation (PMID:21424692), SNP (PMID: 22405623)]を有するものがいる。

統合失調症

 NRXN1での変異 [truncating mutation (PMID: 21424692)、コピー数多型(PMID: 19880096、21477380)] が統合失調症患者で発見されている。

遺伝子改変マウス

αNRXN1 knockoutマウス

 統合失調症患者で認められるPrepulse inhibitionの低下を示す。海馬において興奮性シナプス伝達障害が認められるが、抑制性シナプス伝達障害はない(PMID: 19822762)。αNRXN1 ヘテロKOマウスは、新規環境に対する反応性の増加を示し、特に雄性マウスにおいてその行動が認められる(PMID: 22348092)。

αNRXN triple Knockoutマウス

 呼吸器系に障害が認められる。KOマウスはGABA作動性神経終末の数を減少させるが、グルタミン酸作動性神経終末には変化を示さない。さらに、KOマウスはCa2+チャネルの機能低下が原因となり、神経伝達物質放出の障害を示すことが報告されている。(PMID: 12827191)

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