「プロモーター」の版間の差分

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== 調節エレメント ==
== 調節エレメント ==
 転写調節因子が認識して結合する特異的配列を示すDNA領域のことを調節エレメントと呼び、この調節エレメントを介してプロモーターからの転写がコントロールされている<ref name=ref1 /><ref name=ref7 />)。調節エレメントはコアプロモーター近傍に存在するのみではなく、プロモーター領域の上流や下流に存在しており、転写開始点から離れた調節エレメントからの遠隔制御も行われている<ref name=ref1 /><ref name=ref7 />)。プロモーターから距離があり、アクティベーターが結合する領域を[[エンハンサー]]、一方、リプレッサーが結合する領域をサイレンサーと呼ぶ<ref name=ref1>7)。また、情報伝達経路の下流に存在する転写調節因子が結合する調節配列を応答エレメントと呼ぶ。activity-regulated cytoskeleton-associated protein (Arc) 遺伝子では、転写開始点から約7kpbも上流に強力な応答エレメントを有するエンハンサーが存在することが示されている<ref name=ref8><pubmed> 19116276 </pubmed></ref>。
 転写調節因子が認識して結合する特異的配列を示すDNA領域のことを調節エレメントと呼び、この調節エレメントを介してプロモーターからの転写がコントロールされている<ref name=ref1 /><ref name=ref7 />)。調節エレメントはコアプロモーター近傍に存在するのみではなく、プロモーター領域の上流や下流に存在しており、転写開始点から離れた調節エレメントからの遠隔制御も行われている<ref name=ref1 /><ref name=ref7 />)。プロモーターから距離があり、アクティベーターが結合する領域を[[エンハンサー]]、一方、リプレッサーが結合する領域をサイレンサーと呼ぶ<ref name=ref1 /><ref name=ref7 />。また、情報伝達経路の下流に存在する転写調節因子が結合する調節配列を応答エレメントと呼ぶ。activity-regulated cytoskeleton-associated protein (Arc) 遺伝子では、転写開始点から約7kpbも上流に強力な応答エレメントを有するエンハンサーが存在することが示されている<ref name=ref8><pubmed> 19116276 </pubmed></ref>。


  例えば、[[cAMP]]情報伝達経路の下流に存在する応答エレメントはcAMP応答配列(cAMP responsive element; CRE)である<ref name=ref9><pubmed> 9530494 </pubmed></ref><ref name=ref10><pubmed> 11483993 </pubmed></ref>。細胞内cAMPの濃度上昇に伴い活性化された[[Aキナーゼ]](Protein kinase A; [[PKA]])により転写調節因子CRE結合タンパク質([[CREB]])がリン酸化を受け、リン酸化型CREBがCREを介して転写活性化を誘導する<ref name=ref9 /><ref name=ref10 />。また、この転写活性化には、リン酸化型CREBのみが相互作用するコアクティベーターCREB結合タンパク質(CBP)が必須である<ref name=ref11><pubmed> 8413673 </pubmed></ref>。また、応答エレメントには、カルシウムイオン情報伝達経路下流に存在するものや<ref name=ref12><pubmed> 9581763 </pubmed></ref>、[[エストロゲン]]、[[アンドロゲン]]、[[糖質コルチコイド]]、[[ビタミンD]]、レチノイン酸などをそれぞれ特異的リガンドとする[[核内受容体]]群が結合するものなどが存在する<ref name=ref13><pubmed> 16923397 </pubmed></ref>。
  例えば、[[cAMP]]情報伝達経路の下流に存在する応答エレメントはcAMP応答配列(cAMP responsive element; CRE)である<ref name=ref9><pubmed> 9530494 </pubmed></ref><ref name=ref10><pubmed> 11483993 </pubmed></ref>。細胞内cAMPの濃度上昇に伴い活性化された[[Aキナーゼ]](Protein kinase A; [[PKA]])により転写調節因子CRE結合タンパク質([[CREB]])がリン酸化を受け、リン酸化型CREBがCREを介して転写活性化を誘導する<ref name=ref9 /><ref name=ref10 />。また、この転写活性化には、リン酸化型CREBのみが相互作用するコアクティベーターCREB結合タンパク質(CBP)が必須である<ref name=ref11><pubmed> 8413673 </pubmed></ref>。また、応答エレメントには、カルシウムイオン情報伝達経路下流に存在するものや<ref name=ref12><pubmed> 9581763 </pubmed></ref>、[[エストロゲン]]、[[アンドロゲン]]、[[糖質コルチコイド]]、[[ビタミンD]]、レチノイン酸などをそれぞれ特異的リガンドとする[[核内受容体]]群が結合するものなどが存在する<ref name=ref13><pubmed> 16923397 </pubmed></ref>。