「低親和性神経成長因子受容体」の版間の差分

編集の要約なし
107行目: 107行目:
 p75の発現は[[胎生期]]に限局しており、生後は発現が減少する。しかし、成体でも損傷や[[虚血]]、[[てんかん]]発作後などの病理的な条件下では発現が上昇する <ref name=ref15721744><pubmed> 15721744 </pubmed></ref>。
 p75の発現は[[胎生期]]に限局しており、生後は発現が減少する。しかし、成体でも損傷や[[虚血]]、[[てんかん]]発作後などの病理的な条件下では発現が上昇する <ref name=ref15721744><pubmed> 15721744 </pubmed></ref>。


 [[アルツハイマー病]]は[[タウ]]タンパク質の異常リン酸化や、β[[アミロイド]]の凝集を特徴とする疾患である。アルツハイマー病の大脳皮質神経細胞では、p75の発現が確認されている <ref><pubmed> 1309947 </pubmed></ref>。[[Aβ]] がp75と結合すると、JNK経路が活性化され、アポトーシスが誘導される。内在性にp75を発現している[[神経堤]]由来の[[wikipedia:ja:メラニン細胞|メラニン細胞]]は、Aβの存在下、アポトーシスを起こす。
 [[アルツハイマー病]]は[[タウ]]タンパク質の異常リン酸化や、[[βアミロイド]]の凝集を特徴とする疾患である。アルツハイマー病の大脳皮質神経細胞では、p75の発現が確認されている <ref><pubmed> 1309947 </pubmed></ref>。βアミロイドがp75と結合すると、JNK経路が活性化され、アポトーシスが誘導される。内在性にp75を発現している[[神経堤]]由来の[[wikipedia:ja:メラニン細胞|メラニン細胞]]は、βアミロイドの存在下、アポトーシスを起こす。


 [[筋萎縮性側索硬化症]] ([[amyotrophic lateral sclerosis]], [[ALS]])患者では、頸髄運動神経でp75の発現上昇が報告されている。また、ALSモデルマウスである[[SOD1]]変異マウスでは、腰髄運動神経におけるp75の発現が上昇している <ref><pubmed> 11771768 </pubmed></ref>。このマウスは、生後4ヶ月で死亡する。
 [[筋萎縮性側索硬化症]] ([[amyotrophic lateral sclerosis]], [[ALS]])患者では、頸髄運動神経でp75の発現上昇が報告されている。また、ALSモデルマウスである[[SOD1]]変異マウスでは、腰髄運動神経におけるp75の発現が上昇している <ref><pubmed> 11771768 </pubmed></ref>。このマウスは、生後4ヶ月で死亡する。
113行目: 113行目:
 [[ピロカルピン]]投与によるてんかんモデル動物では、[[海馬]]、[[梨状葉]]、[[内嗅皮質]]において、p75の発現上昇と、これに関連した神経細胞死が確認されている。
 [[ピロカルピン]]投与によるてんかんモデル動物では、[[海馬]]、[[梨状葉]]、[[内嗅皮質]]において、p75の発現上昇と、これに関連した神経細胞死が確認されている。


 [[皮質脊髄路]]の神経細胞において、軸索切断3日後、p75の発現が上昇する。これは、細胞死が起こるタイミングと一致する。NT-3抗体の投与により細胞死が抑制されることから、内在性のNT-3によるp75の活性化が細胞死を誘導することが示されている。  
 [[皮質脊髄路]]の神経細胞において、軸索切断3日後、p75の発現が上昇する。これは、細胞死が起こるタイミングと一致する。NT-3抗体の投与により細胞死が抑制されることから、内在性のNT-3によるp75の活性化が細胞死を誘導することが示されている。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==