「DISC1」の版間の差分

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== 構造 ==
== 構造 ==
 ''DISC1''からは、複数のアイソフォームが翻訳され、ヒトの脳では、多種類以上の異なったスプライスバリアントが発現する<ref><pubmed> 19805229 </pubmed></ref>。そのうち主なアイソフォームとしては、13個のエクソンから、854アミノ酸からなるタンパク質が翻訳される。この全長のDISC1タンパク質は100 kDa前後の分子量を持ち、N 末領域とC末領域に大きく分けられる<ref><pubmed> 10814723 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22116789 </pubmed></ref>。N末領域は、1〜350番目のアミノ酸残基からなり、他の分子との相同性が低い。C末領域は、350〜854番目のアミノ酸残基からなり、複数のαへリックス構造やコイルドーコイル構造(coiled-coil)を持つ[[ファイル:Kkubo_fig_2.jpg|thumb|right|300px|DISC1の構造の模式図と代表的な結合分子]]。
 ''DISC1''からは、複数のアイソフォームが翻訳され、ヒトの脳では、多種類以上の異なったスプライスバリアントが発現する<ref><pubmed> 19805229 </pubmed></ref>。そのうち主なアイソフォームとしては、13個のエクソンから、854アミノ酸からなるタンパク質が翻訳される。この全長のDISC1タンパク質は100 kDa前後の分子量を持ち、N 末領域とC末領域に大きく分けられる<ref><pubmed> 10814723 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22116789 </pubmed></ref>。N末領域は、1〜350番目のアミノ酸残基からなり、他の分子との相同性が低い。C末領域は、350〜854番目のアミノ酸残基からなり、複数のαへリックス構造やコイルドーコイル構造(coiled-coil)を持つ。


 DISC1発見の契機となった、スコットランドの家系での染色体転座では、DISC1の597番目と598番目のアミノ酸の間で切断が起きる。この結果、C末を欠いた597番目のアミノ酸までのDISC1タンパク質が発現してドミナントネガティブ(dominant negative)体として働く可能性<ref><pubmed> 17035248 </pubmed></ref>や、C末を欠いたDISC1タンパク質は分解されて結果としてハプロインサフィシャンシー(Haploinsufficiency)となる可能性が考えられている<ref><pubmed> 16293762 </pubmed></ref>。最近、1番染色体と11番染色体の融合タンパク質DISC1 Fusion Partner 1 (DISC1FP1)/DISC1-Boymaw fusion proteinが生成される可能性も指摘されている<ref><pubmed> 20351725 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22095064 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22547224 </pubmed></ref>。
 DISC1発見の契機となった、スコットランドの家系での染色体転座では、DISC1の597番目と598番目のアミノ酸の間で切断が起きる。この結果、C末を欠いた597番目のアミノ酸までのDISC1タンパク質が発現してドミナントネガティブ(dominant negative)体として働く可能性<ref><pubmed> 17035248 </pubmed></ref>や、C末を欠いたDISC1タンパク質は分解されて結果としてハプロインサフィシャンシー(Haploinsufficiency)となる可能性が考えられている<ref><pubmed> 16293762 </pubmed></ref>。最近、1番染色体と11番染色体の融合タンパク質DISC1 Fusion Partner 1 (DISC1FP1)/DISC1-Boymaw fusion proteinが生成される可能性も指摘されている<ref><pubmed> 20351725 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22095064 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22547224 </pubmed></ref>。
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== DISC1タンパク質に結合する分子 ==
== DISC1タンパク質に結合する分子 ==
 DISC1は足場(scaffold)タンパク質、もしくは、ハブ(hub)タンパク質として機能すると考えられ、多くの結合分子(DISC1 interactome)が知られている<ref><pubmed> 17043677 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22015021 </pubmed></ref>。これらの結合分子の探索がDISC1の機能の解明に大きな役割を果たしてきた。主な分子名を下に挙げる(分子名の後の数字は、報告されたDISC1上の結合部位[アミノ酸残基])。
 DISC1は足場(scaffold)タンパク質、もしくは、ハブ(hub)タンパク質として機能すると考えられ、多くの結合分子(DISC1 interactome)が知られている<ref><pubmed> 17043677 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22015021 </pubmed></ref>。これらの結合分子の探索がDISC1の機能の解明に大きな役割を果たしてきた。主な分子名を下に挙げる(分子名の後の数字は、報告されたDISC1上の結合部位[アミノ酸残基])[[ファイル:Kkubo_fig_2.jpg|thumb|right|400px|DISC1の構造の模式図と代表的な結合分子]]。


Nuclear distribution element-like 1 (NDEL1/NUDEL) [802-835] <ref><pubmed> 12812986 </pubmed></ref><ref><pubmed> 12506198 </pubmed></ref><ref><pubmed> 14962739 </pubmed></ref><ref><pubmed> 17035248 </pubmed></ref>
Nuclear distribution element-like 1 (NDEL1/NUDEL) [802-835] <ref><pubmed> 12812986 </pubmed></ref><ref><pubmed> 12506198 </pubmed></ref><ref><pubmed> 14962739 </pubmed></ref><ref><pubmed> 17035248 </pubmed></ref>
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