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担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0080380 上口 裕之](国立研究法人理化学研究所脳科学総合研究センター)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0080380 上口 裕之](国立研究法人理化学研究所脳科学総合研究センター)<br> | ||
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英語名:morpholino | 英語名:morpholino | ||
{{box|text= モルフォリノとは、RNA、DNAのリボース、デオキシリボースの代わりにモルフォリン環を持つオリゴヌクレオチドであり、一般的なアンチセンスの問題点(安定性、特異性、細胞毒性など)を克服した第3世代のアンチセンスである。}} | {{box|text= モルフォリノとは、RNA、DNAのリボース、デオキシリボースの代わりにモルフォリン環を持つオリゴヌクレオチドであり、一般的なアンチセンスの問題点(安定性、特異性、細胞毒性など)を克服した第3世代のアンチセンスである。}} | ||
[[ファイル:Morpholino.png|250px|サムネイル|右|'''図. モルフォリノ(左)と通常(右)のRNAの比較'''<br>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:MorpholinoHeteroduplex.png Wikipedia]より翻訳]] | [[ファイル:Morpholino.png|250px|サムネイル|右|'''図. モルフォリノ(左)と通常(右)のRNAの比較'''<br>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:MorpholinoHeteroduplex.png Wikipedia]より翻訳]] | ||
モルフォリノオリゴヌクレオチド(単にモルフォリノともいう Morpholino oligonucleotide)は、RNA, [[DNA]]のリボース、デオキシリボースの代わりにモルフォリン環を持つオリゴヌクレオチドであり(図)、一般的なアンチセンスの問題点(安定性、特異性、細胞毒性など)を克服した第3世代のアンチセンスである<ref name=ref8><pubmed>17493584</pubmed></ref>。遺伝子の機能解析に利用されており、特に、[[アフリカツメガエル]]、[[ゼブラフィッシュ]]、ウニなどを用いた発生学分野の研究において頻繁に利用されている。 | |||
一方、2015年、モルフォリノオリゴヌクレオチドは標的遺伝子以外の遺伝子機能も抑制する可能性が高いことが報告された(オフターゲット効果)<ref name=ref9><pubmed>25533206</pubmed></ref> | 一方、2015年、モルフォリノオリゴヌクレオチドは標的遺伝子以外の遺伝子機能も抑制する可能性が高いことが報告された(オフターゲット効果)<ref name=ref9><pubmed>25533206</pubmed></ref>。ゼブラフィッシュにおいてモルフォリノオリゴヌクレオチドによる表現型と突然変異体の表現型を体系的に調べた結果、70%以上の遺伝子に関して表現型が一致しなかった。このことから、モルフォリノオリゴヌクレオチドの使用には、突然変異体の表現型観察なども用いた慎重な解析が必要とされている<ref name=ref9 /> <ref name=ref10><pubmed>25584794</pubmed></ref>。 | ||
==関連項目== | ==関連項目== |
2015年5月15日 (金) 09:12時点における版
千原 崇裕、三浦 正幸
東京大学大学院薬学系研究科 遺伝学教室
DOI:10.14931/bsd.5880 原稿受付日:2015年5月7日 原稿完成日:2015年X月XX日
担当編集委員:上口 裕之(国立研究法人理化学研究所脳科学総合研究センター)
英語名:morpholino
モルフォリノとは、RNA、DNAのリボース、デオキシリボースの代わりにモルフォリン環を持つオリゴヌクレオチドであり、一般的なアンチセンスの問題点(安定性、特異性、細胞毒性など)を克服した第3世代のアンチセンスである。
モルフォリノオリゴヌクレオチド(単にモルフォリノともいう Morpholino oligonucleotide)は、RNA, DNAのリボース、デオキシリボースの代わりにモルフォリン環を持つオリゴヌクレオチドであり(図)、一般的なアンチセンスの問題点(安定性、特異性、細胞毒性など)を克服した第3世代のアンチセンスである[1]。遺伝子の機能解析に利用されており、特に、アフリカツメガエル、ゼブラフィッシュ、ウニなどを用いた発生学分野の研究において頻繁に利用されている。
一方、2015年、モルフォリノオリゴヌクレオチドは標的遺伝子以外の遺伝子機能も抑制する可能性が高いことが報告された(オフターゲット効果)[2]。ゼブラフィッシュにおいてモルフォリノオリゴヌクレオチドによる表現型と突然変異体の表現型を体系的に調べた結果、70%以上の遺伝子に関して表現型が一致しなかった。このことから、モルフォリノオリゴヌクレオチドの使用には、突然変異体の表現型観察なども用いた慎重な解析が必要とされている[2] [3]。
関連項目
参考文献
- ↑
Morcos, P.A. (2007).
Achieving targeted and quantifiable alteration of mRNA splicing with Morpholino oligos. Biochemical and biophysical research communications, 358(2), 521-7. [PubMed:17493584] [WorldCat] [DOI] - ↑ 2.0 2.1
Kok, F.O., Shin, M., Ni, C.W., Gupta, A., Grosse, A.S., van Impel, A., ..., & Lawson, N.D. (2015).
Reverse genetic screening reveals poor correlation between morpholino-induced and mutant phenotypes in zebrafish. Developmental cell, 32(1), 97-108. [PubMed:25533206] [PMC] [WorldCat] [DOI] - ↑
Stainier, D.Y., Kontarakis, Z., & Rossi, A. (2015).
Making sense of anti-sense data. Developmental cell, 32(1), 7-8. [PubMed:25584794] [WorldCat] [DOI]