「副嗅覚系」の版間の差分

サイズ変更なし 、 2015年7月13日 (月)
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 ラット・マウスの感覚上皮は鋤鼻受容細胞が何重にもなって存在しているのにくらべて、ヤギでは、その数が少ない。従って感覚上皮の厚さが薄く、非感覚上皮との区別がつけにくい。しかしながら、一つ一つの細胞の形態には両者の間では大きな差はなく、ヤギの鋤鼻受容細胞も双極型をしており鋤鼻腔に接した面にたくさんの微絨毛を持っている。
 ラット・マウスの感覚上皮は鋤鼻受容細胞が何重にもなって存在しているのにくらべて、ヤギでは、その数が少ない。従って感覚上皮の厚さが薄く、非感覚上皮との区別がつけにくい。しかしながら、一つ一つの細胞の形態には両者の間では大きな差はなく、ヤギの鋤鼻受容細胞も双極型をしており鋤鼻腔に接した面にたくさんの微絨毛を持っている。


 いろんな哺乳類で鋤鼻器をしらべた結果、ほとんどの哺乳類([[ウシ]]:[[偶蹄目]]、ウマ:[[奇蹄目]]、イヌ・ネコ:[[食肉目]]、[[コウモリ]]:[[翼手目]]、[[スンクス]]:[[食中目]]、[[マーモセット]]:[[霊長目]])はヤギのものと似ていた<ref name=ref4>'''瀧上周、森裕司、市川眞澄'''<br>哺乳類のフェロモン受容・情報処理機構に関する比較形態学的研究<br>''日本味と匂学会誌'' 2002, 9; 3-17</ref>。これまで、鋤鼻器の形態は実験動物のラット・マウスで調べられていた。したがって、鋤鼻器はラット・マウスのものが一般的だと思われていたが、逆にこれらが特殊であることが明らかになった。
 いろんな哺乳類で鋤鼻器をしらべた結果、ほとんどの哺乳類([[ウシ]]:[[偶蹄目]]、ウマ:[[奇蹄目]]、イヌ・ネコ:[[食肉目]]、[[コウモリ]]:[[翼手目]]、[[スンクス]]:[[食虫目]]、[[マーモセット]]:[[霊長目]])はヤギのものと似ていた<ref name=ref4>'''瀧上周、森裕司、市川眞澄'''<br>哺乳類のフェロモン受容・情報処理機構に関する比較形態学的研究<br>''日本味と匂学会誌'' 2002, 9; 3-17</ref>。これまで、鋤鼻器の形態は実験動物のラット・マウスで調べられていた。したがって、鋤鼻器はラット・マウスのものが一般的だと思われていたが、逆にこれらが特殊であることが明らかになった。


 フェロモン受容体についても調べられており、ヤギの鋤鼻器には、V1R-Gi2型鋤鼻受容細胞のみが存在し、V2R-Go型鋤鼻受容細胞はみつからない<ref name=ref5><pubmed> 11923183 </pubmed></ref>。また、鋤鼻器の形態がヤギ型の上記、ウシ、ウマ、イヌ・ネコ、コウモリ、スンクス、マーモセットの鋤鼻器でもヤギ同様で、Gタンパク質もGi2型のみで、Go型の鋤鼻受容細胞は存在しない<ref name=ref6><pubmed> 15150143 </pubmed></ref>。
 フェロモン受容体についても調べられており、ヤギの鋤鼻器には、V1R-Gi2型鋤鼻受容細胞のみが存在し、V2R-Go型鋤鼻受容細胞はみつからない<ref name=ref5><pubmed> 11923183 </pubmed></ref>。また、鋤鼻器の形態がヤギ型の上記、ウシ、ウマ、イヌ・ネコ、コウモリ、スンクス、マーモセットの鋤鼻器でもヤギ同様で、Gタンパク質もGi2型のみで、Go型の鋤鼻受容細胞は存在しない<ref name=ref6><pubmed> 15150143 </pubmed></ref>。