「遺伝子導入」の版間の差分
Junko kurahashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
細 →関連項目 |
||
| (2人の利用者による、間の6版が非表示) | |||
| 2行目: | 2行目: | ||
<font size="+1">[https://researchmap.jp/hirokazuhirai 平井宏和]</font><br> | <font size="+1">[https://researchmap.jp/hirokazuhirai 平井宏和]</font><br> | ||
''群馬大学 医学系研究科''<br> | ''群馬大学 医学系研究科''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2018年3月27日 原稿完成日:<br> | ||
担当編集委員:[https://researchmap.jp/ | 担当編集委員:[https://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎通介](慶應義塾大学 医学研究科)<br> | ||
</div> | </div> | ||
英語名:transgenesis | 英語名:transgenesis | ||
{{box|text= | {{box|text= 物理化学的、あるいは生物学的手法を用いて遺伝子を細胞の外から中へ入れること。細胞の中に入った遺伝子がRNAの場合は細胞質でタンパク質へ翻訳されたり、mRNAと相補的に結合して翻訳を阻害したりして、細胞機能に影響を及ぼす。導入された遺伝子がDNAの場合は核内へと移行し、そのまま、あるいは細胞の染色体に組み込まれたのちmRNAへと転写される。}} | ||
==目的== | ==目的== | ||
===過剰発現=== | ===過剰発現=== | ||
1980年代から90年代にかけて、多くの遺伝子がクローニングされた。神経科学領域では[[電位依存性イオンチャネル]]、[[アセチルコリン受容体]]、[[グルタミン酸受容体]]、[[GABA受容体]]、[[グリシン受容体]]など、重要な[[膜タンパク質]][[イオンチャネル]] | 1980年代から90年代にかけて、多くの遺伝子がクローニングされた。神経科学領域では[[電位依存性イオンチャネル]]、[[アセチルコリン受容体]]、[[グルタミン酸受容体]]、[[GABA受容体]]、[[グリシン受容体]]など、重要な[[膜タンパク質]][[イオンチャネル]]や神[[経伝達物質受容体]]の[[遺伝子クローニング]]の報告が相次いだ。これらcDNAを[[アフリカツメガエル]]やHEK293細胞などの[[培養細胞]]に導入すると、[[転写]][[翻訳]]されてタンパク質が発現する。遺伝子が導入されていない細胞をコントロールとして、遺伝子導入した細胞を様々なアプローチで解析することにより、発現タンパク質の性質や機能が解析された。 | ||
野生型のcDNAを導入することに加えて、様々な場所に[[変異]]を導入した遺伝子を導入し、発現したミュータントを野生型と比較することで、変異部位が果たす役割を解析することができる。また疾患の原因遺伝子に見られる変異を導入したミュータントを発現・解析することで、その変異と疾患の関連を調べることが可能となる。 | 野生型のcDNAを導入することに加えて、様々な場所に[[変異]]を導入した遺伝子を導入し、発現したミュータントを野生型と比較することで、変異部位が果たす役割を解析することができる。また疾患の原因遺伝子に見られる変異を導入したミュータントを発現・解析することで、その変異と疾患の関連を調べることが可能となる。 | ||
| 53行目: | 50行目: | ||
[[ソノポレーション]] | [[ソノポレーション]] | ||
すでに臨床で使用されている直径 1 – 10μmの超音波造影剤(マイクロバブル)へ超音波を照射することでバブルの圧壊(キャビテーション)が誘導される。そのときに生じるジェット流が一過性に開ける細胞の小孔から、外来遺伝子を細胞内に導入する方法<ref>'''谷山 | すでに臨床で使用されている直径 1 – 10μmの超音波造影剤(マイクロバブル)へ超音波を照射することでバブルの圧壊(キャビテーション)が誘導される。そのときに生じるジェット流が一過性に開ける細胞の小孔から、外来遺伝子を細胞内に導入する方法<ref>'''谷山 義、森下 竜'''<br>超音波を用いた核酸導入法の開発<br> Yakugaku zasshi : Journal of the Pharmaceutical Society of Japan: 126:1039-45:2006.</ref>。標的部位を正確に制御することが可能で、[[電気穿孔法]]よりも組織へのダメージが少ない。まだ完全に確立された手法はなく、試行錯誤が必要である。 | ||
=== ウイルスベクター === | === ウイルスベクター === | ||
細胞に吸着して自らのゲノムを細胞内に送り込むウイルスの性質を利用した遺伝子導入法。複製に関与する遺伝子領域および、カプシドなどの構造タンパク質のコード領域はもたず、代わりに目的とする外来遺伝子が組み込まれている。細胞に吸着して外来遺伝子を細胞内に送り込むが、ウイルス粒子の複製・増殖能はない。[[アデノウイルスベクター|アデノウイルス]]、[[レトロウイルスベクター|レトロウイルス]]、[[レンチウイルスベクター|レンチウイルス]]、[[狂犬病ウイルスベクター|狂犬病ウイルス]]、[[センダイウイルスベクター|センダイウイルス]]、[[アデノ随伴ウイルスベクター|アデノ随伴ウイルス]]など様々なウイルス由来のベクターが開発されている。 | |||
''詳細は[[ウイルスベクター]]の項目参照。'' | ''詳細は[[ウイルスベクター]]の項目参照。'' | ||
| 62行目: | 59行目: | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
* [[ウイルスベクター]] | * [[ウイルスベクター]] | ||
* [[ | * [[子宮内穿孔法]] | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references/> | <references/> | ||