「反応時間」の版間の差分

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例えば、赤光か緑光が提示され、赤ならば右、緑ならば左のボタンをできるだけ速く押す(2肢強制選択課題; 2AFC task)。
例えば、赤光か緑光が提示され、赤ならば右、緑ならば左のボタンをできるだけ速く押す(2肢強制選択課題; 2AFC task)。


====Go/No-Go反応時間、弁別反応時間(discriminative reaction time)====
====Go/No-Go反応時間(Go/No-Go reaction time)====


弁別反応時間(discriminative reaction time)とも。
既知の複数の刺激のいずれかが提示され、そのうち特定の刺激の場合のみ、決められた1種類の反応をするときの反応時間。
既知の複数の刺激のいずれかが提示され、そのうち特定の刺激の場合のみ、決められた1種類の反応をするときの反応時間。
例えば、赤光か緑光が提示され、赤ならばボタンを押し、緑ならば何もしない。
例えば、赤光か緑光が提示され、赤ならばボタンを押し、緑ならば何もしない。
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===分布の非対称性===
===分布の非対称性===


[[ファイル:RTdistributions.png|thumb|320px|'''図2.''' 反応時間の分布と変数変換]]
[[ファイル:RTdistributions.png|thumb|320px|'''図2.''' 反応時間の分布と変数変換。
1名の被験者による視覚選択反応時間(正答試行のみ)の分布の例。
中段は同じデータを対数変換したもの、下段は逆数変換したものを示す。
変数変換により、分布の非対称性が減じている。
]]


反応時間の分布は、種々の時間長データと同様、正の歪度を示す非対称形になる(図2)。
反応時間の分布は、種々の時間長データと同様、正の歪度を示す非対称形になる(図2)。
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これは長い時間を正確に予測するのが難しいためだと考えられる。
これは長い時間を正確に予測するのが難しいためだと考えられる。
FPが変動する場合には、用いられるFPのうち短いFPで反応時間が長くなることがある
FPが変動する場合には、用いられるFPのうち短いFPで反応時間が長くなることがある
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<ref name=Drazin1961><pubmed>13724295</pubmed></ref>
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いずれにせよ、FPの操作は予期や構えに関係するため、その影響は複雑である。
いずれにせよ、FPの操作は予期や構えに関係するため、その影響は複雑である。
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<ref><pubmed>4160389</pubmed></ref>
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近年では[[fMRI]]でも類似の検討がされている
近年では[[fMRI]]でも類似の検討が試みられている
<ref><pubmed>9724802</pubmed></ref>
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の方が反応時間は短い。
の方が反応時間は短い。


===刺激・反応適合性===
===刺激-反応適合性===


[[ファイル:RTcompatibility.png|frame|'''図3.''' 空間的刺激・反応適合性(spatial S-R compatibility)の例]]
[[ファイル:RTcompatibility.png|frame|'''図3.''' 空間的刺激-反応適合性(spatial S-R compatibility)の例。
右のランプが点灯したら右のボタンを押す場合(適合条件)では、右のランプが点灯したら左のボタンを押す場合(非適合条件)
よりも、反応時間が短くなる。
]]


刺激の特性と反応の特性が適合的なときは、非適合的なときより反応が速く正確になる。
刺激の特性と反応の特性が適合的なときは、非適合的なときより反応が速く正確になる。
例えば高い音に対して「高い」、低い音に対して「低い」と答えるのは、
例えば高い音に対して「高い」、低い音に対して「低い」と答えるのは、
高い音に対して「低い」、低い音に対して「高い」と答えるより容易である。
高い音に対して「低い」、低い音に対して「高い」と答えるより容易である。
このような違いを、刺激と反応の適合性(stimulus-response compatibility)の効果と呼ぶ
このような違いを、刺激-反応適合性(stimulus-response compatibility)の効果と呼ぶ
<ref name=FittsSeeger1953><pubmed>13084867</pubmed></ref>
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<ref name=ProctorReeve1990>
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一方、選択反応時間は学習効果により短くなることも報告されている。
一方、選択反応時間は学習効果により短くなることも報告されている。
特に選択肢数が多いと効果が大きいようだが、2肢でも効果は見られる。
特に選択肢数が多いと効果が大きいようだが、2肢でも効果は見られる
<ref name=Welford1980ch3 />
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<ref name=SteinbachEtal1991><pubmed>1852216</pubmed></ref>
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予め十分な練習を実施したり、適切な休憩を設けたりすることで、実験中の反応時間を安定させることができる。
予め十分な練習を実施したり、適切な休憩を設けたりすることで、実験中の反応時間を安定させることができる。
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===年齢===
===年齢===


課題にもよるが、反応時間は20代前後に最も短くなる
多くの課題で、反応時間は20代に最も短くなる
<ref name=Welford1980ch9 />
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<ref name=WilliamsEtal2005><pubmed>15656766</pubmed></ref>
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