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[https://doi.org/10.1007/BF01671719 [PDF<nowiki>]</nowiki>]</ref>[2]および英国のBatten and Gibb <ref name=Batten1909>Batten FE, Gibb HP. (1909). Myotonia atrophica. Brain 32:187-205. [https://doi.org/10.1093/brain/32.2.187 PDF]</ref>[3]が別々に、まとまった記述を行ったのが最初である。欧州(特に大陸諸国)では発見者の名前をとり、Steinert病と今でも呼ばれる。なお、日本では長らく、筋緊張性ジストロフィーと呼ばれていたが、用語使用の適正化の点から現在は筋強直性ジストロフィーが正式名称となっている。 | [https://doi.org/10.1007/BF01671719 [PDF<nowiki>]</nowiki>]</ref>[2]および英国のBatten and Gibb <ref name=Batten1909>Batten FE, Gibb HP. (1909). Myotonia atrophica. Brain 32:187-205. [https://doi.org/10.1093/brain/32.2.187 PDF]</ref>[3]が別々に、まとまった記述を行ったのが最初である。欧州(特に大陸諸国)では発見者の名前をとり、Steinert病と今でも呼ばれる。なお、日本では長らく、筋緊張性ジストロフィーと呼ばれていたが、用語使用の適正化の点から現在は筋強直性ジストロフィーが正式名称となっている。 | ||
1992年に、多くのリピート病とほぼ時を同じくして原因遺伝子が同定され、CTG繰り返し配列(リピート)の伸長によるリピート病であることが明らかにされた<ref name=Fu1992><pubmed>1546326</pubmed></ref><ref name=Mahadevan1992><pubmed>1546325</pubmed></ref><ref name=Brook1992><pubmed>1568252</pubmed></ref>[4][5][6]。リピート病のうち、ハンチントン病や多くの脊髄小脳変性症では伸長CAGは翻訳領域に存在することからポリグルタミン毒性が仮説提唱された。しかしながら、本症の繰り返し配列は非翻訳領域に存在し、その産物であるタンパクの異常をきたさないことから、セントラルドグマで説明がつかず、病態がしばらく不明であった。2001年のDM2の原因遺伝子同定や<ref name=Liquori2001><pubmed>11486088</pubmed></ref>[7]、Thorntonらによるモデルマウスの作出により<ref name= | 1992年に、多くのリピート病とほぼ時を同じくして原因遺伝子が同定され、CTG繰り返し配列(リピート)の伸長によるリピート病であることが明らかにされた<ref name=Fu1992><pubmed>1546326</pubmed></ref><ref name=Mahadevan1992><pubmed>1546325</pubmed></ref><ref name=Brook1992><pubmed>1568252</pubmed></ref>[4][5][6]。リピート病のうち、ハンチントン病や多くの脊髄小脳変性症では伸長CAGは翻訳領域に存在することからポリグルタミン毒性が仮説提唱された。しかしながら、本症の繰り返し配列は非翻訳領域に存在し、その産物であるタンパクの異常をきたさないことから、セントラルドグマで説明がつかず、病態がしばらく不明であった。2001年のDM2の原因遺伝子同定や<ref name=Liquori2001><pubmed>11486088</pubmed></ref>[7]、Thorntonらによるモデルマウスの作出により<ref name=Mankodi2000><pubmed>10976074</pubmed></ref>[8]、伸長した繰り返し配列を含むRNAが病態の主因であるというRNA gain of function説が提唱され<ref name=Mankodi2000><pubmed>10976074</pubmed></ref>[9]、その後に同定されたC9ORF72 FTD/ALSをはじめとする非翻訳領域リピート病の病態解明の先鞭をつけた<ref name=Ranum2004><pubmed>15065017</pubmed></ref>[10]。 | ||
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==== 骨格筋 ==== | ==== 骨格筋 ==== | ||
'''筋強直''' | '''筋強直''':収縮した筋の弛緩が遅くなる現象である。強く握った指がすぐに開けない、把握ミオトニーや、診察用のハンマーで叩くと収縮が持続する叩打ミオトニーが特徴的である(ビデオ [http://plaza.umin.ac.jp/~DM-CTG/video.html 専門家が提供する筋強直性ジストロフィーの臨床情報])。針筋電図を行うと、興奮性が増大しており、急降下爆撃音やバイクのカラふかし音とよばれる、特徴的な筋線維の発火が認められる。筋強直は、本症以外に先天性ミオトニーや先天性パラミオトニーなどでもみられる。 | ||
'''筋萎縮''' | '''筋萎縮''':筋疾患では体幹に近くのいわゆる近位筋から障害されることが多いが、DM1(DM2については[[筋硬直性ジストロフィー#DM2の症状|下記]]参照)ではそうではなく、咬筋・側頭筋 (斧様顔貌) 、眼輪筋・口輪筋(兎眼、口笛困難)、胸鎖乳突筋(頭部挙上困難)、腹筋(臥床からの起き上がり困難)、手指筋(ピンチ力低下)、前脛骨筋 (下垂足)などの障害がよく認められる。 | ||
==== 心臓 ==== | ==== 心臓 ==== | ||
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==== 内分泌代謝 ==== | ==== 内分泌代謝 ==== | ||
インスリン抵抗性による糖尿病が良く知られている。脂質異常や肝機能障害、脂肪肝なども多い。 | |||
表1 DM1の多臓器障害 日本神経学会診療ガイドラインより一部改変<ref name=筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会2020><pubmed>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会 (2020).<br>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン2020. 東京: 南江堂</pubmed></ref>[14] | 表1 DM1の多臓器障害 日本神経学会診療ガイドラインより一部改変<ref name=筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会2020><pubmed>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会 (2020).<br>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン2020. 東京: 南江堂</pubmed></ref>[14] | ||
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転写された異常mRNAは、相補的なC-Gで結合しヘアピン構造をとり、核内に蓄積しRNA凝集体(ribonuclear foci)を形成する(図1)。核内に蓄積した異常mRNAが、CUGあるいはCCUGに結合能のあるMBNLやCELF(CUG-BP)といったRNA結合蛋白の量的・質的変化を生じさせる<ref name=Miller2000><pubmed>10970838</pubmed></ref>[22]。その結果、RNA結合蛋白の本来の機能のひとつである様々なpre-mRNAの選択的スプライシングに異常が生じ、全身の様々な臓器で多彩な症状を呈することがわかってきた<ref name=Kanadia2003><pubmed>14671308</pubmed></ref>[23]。 | 転写された異常mRNAは、相補的なC-Gで結合しヘアピン構造をとり、核内に蓄積しRNA凝集体(ribonuclear foci)を形成する(図1)。核内に蓄積した異常mRNAが、CUGあるいはCCUGに結合能のあるMBNLやCELF(CUG-BP)といったRNA結合蛋白の量的・質的変化を生じさせる<ref name=Miller2000><pubmed>10970838</pubmed></ref>[22]。その結果、RNA結合蛋白の本来の機能のひとつである様々なpre-mRNAの選択的スプライシングに異常が生じ、全身の様々な臓器で多彩な症状を呈することがわかってきた<ref name=Kanadia2003><pubmed>14671308</pubmed></ref>[23]。 | ||
症状に関係が深いスプライシング異常としては、筋強直と骨格筋型塩化物イオンチャネル<ref name= | 症状に関係が深いスプライシング異常としては、筋強直と骨格筋型塩化物イオンチャネル<ref name=Charlet2002><pubmed>12150906</pubmed></ref><ref name=Mankodi2002><pubmed>12150905</pubmed></ref>[24][25]、不整脈と心筋型ナトリウムチャネル<ref name=Freyermuth2016><pubmed>27063795</pubmed></ref>[26]、カリウムチャネル、耐糖能障害とインスリン受容体<ref name=Savkur2001><pubmed>11528389</pubmed></ref>[27]などがある。 | ||
進行性の筋萎縮については、原因となりうる異常が多数ある。骨格筋型電位依存性カルシウムチャネル(CACNA1S) <ref name=Tang2012><pubmed>22140091</pubmed></ref> | 進行性の筋萎縮については、原因となりうる異常が多数ある。骨格筋型電位依存性カルシウムチャネル(CACNA1S) <ref name=Tang2012><pubmed>22140091</pubmed></ref> | ||
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=== サポートグループ・ガイドライン === | === サポートグループ・ガイドライン === | ||
サポートグループ・患者会としては日本筋ジストロフィー協会www.jmda.or. | サポートグループ・患者会としては日本筋ジストロフィー協会www.jmda.or.jpや[https://dm-family.net 筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family)]がある。 | ||
患者向け書籍がHarperにより出版され、邦訳もある<ref name=ピーター・ハーパー2015><pubmed>ピーター・ハーパー. 筋強直性ジストロフィー 患者と家族のためのガイドブック. 東京: 診断と治療社; 2015.</pubmed></ref>[49]。医療者向け診療ガイドラインも関連学会の協力のもと日本神経学会で作成されている<ref name=筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会2020><pubmed>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会 (2020).<br>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン2020. 東京: 南江堂</pubmed></ref>[14]。 | 患者向け書籍がHarperにより出版され、邦訳もある<ref name=ピーター・ハーパー2015><pubmed>ピーター・ハーパー. 筋強直性ジストロフィー 患者と家族のためのガイドブック. 東京: 診断と治療社; 2015.</pubmed></ref>[49]。医療者向け診療ガイドラインも関連学会の協力のもと日本神経学会で作成されている<ref name=筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会2020><pubmed>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン編集委員会 (2020).<br>筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン2020. 東京: 南江堂</pubmed></ref>[14]。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
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