「恐れ」の版間の差分

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 恐れを生じるかどうかは、刺激を受け取る個体の状態に影響を受ける。外的あるいは内的な状況を、その個体がどう認知し評価するかに依存する。同じ状況でも、自身にとって脅威で制御できないと認識すると恐れを感じるが、対処可能でたいしたことはないと評価した場合には恐れは生じない。さらに、恐れの感情は、社会的文化的な影響も受ける。その社会・文化に特有の恐れの状況があることが指摘されている。
 恐れを生じるかどうかは、刺激を受け取る個体の状態に影響を受ける。外的あるいは内的な状況を、その個体がどう認知し評価するかに依存する。同じ状況でも、自身にとって脅威で制御できないと認識すると恐れを感じるが、対処可能でたいしたことはないと評価した場合には恐れは生じない。さらに、恐れの感情は、社会的文化的な影響も受ける。その社会・文化に特有の恐れの状況があることが指摘されている。


 恐れは、感情の二次元モデル([[快―不快]]、[[覚醒]]度の高―低)<ref name=ref4><pubmed>10353204</pubmed></ref>[4]で表すと、[[不快]]で嫌悪性をもち、また、覚醒レベルが高い状態で、恐れを引き起こすものあるいは状況を避けようとする行動を生体に引き起こす誘因となる。
 恐れは、感情の二次元モデル([[快・不快]]、[[覚醒]]度の高―低)<ref name=ref4><pubmed>10353204</pubmed></ref>[4]で表すと、[[不快]]で嫌悪性をもち、また、覚醒レベルが高い状態で、恐れを引き起こすものあるいは状況を避けようとする行動を生体に引き起こす誘因となる。


 恐れの身体情動反応と主観的感情は、他の情動・感情と同様に<ref name=ref5>'''戸田山和久 (2016).'''<br>恐怖の哲学<br>''NHK出版新書''</ref> <ref name=ref6>'''Cornelius, R. R.'''<br>The science of emotion.<br>''Prentice-Hall, Inc,'' 1996.<br>'''コーネリアス・ランドルフ・ランディ'''<br>感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか<br>''誠信書房''、1999</ref>[5] [6]、しかるべき中枢神経系の特定の状態である([[基本情動説]]([[Darwin説]])、[[感情中枢起源説]]([[Cannon-Bard説]]))とともに、末梢臓器の反応による修飾を受ける(感情末梢起源説(James-Lange説))。また、状況に対する認知的な評価に依存する側面をもつ(感情認知評価説)<ref name=ref7>'''Lazarus, R.'''<br>Stress and emotion: A new synthesis.<br>''New York: Springer Pub. Co.'' 1999. <br>'''リチャード S. ラザルス'''<br>ストレスと情動の心理学―ナラティブ研究の視点から <br>''実務教育出版''、2004</ref>[7]。生じている身体的反応の情報(内受容感覚(内臓感覚))とそのときの状況の評価と身体反応の原因の推論から意思決定が影響され、主観的感情である「恐れ」が形成されるとする考えもある(ソマティック・マーカー説(Damasio説)<ref name=ref8>'''Damasio, A.'''<br>The feeling of what happens: body and emotion in the making of consciousness.<br>''Harcourt Brace'', New York. 1999.<br>'''アントニオ・R・ダマシオ'''<br>無意識の脳 自己意識の脳 身体と情動と感情の神秘<br>''講談社'' 2003</ref>[8]、身体的評価仮説(Prinz説)<ref name=ref9>'''Prinz, J.'''<br>Gut reactions: A perceptual theory of emotion. <br>''Oxford University Press'', USA. 2006.</ref>[9])。また、恐れは、社会文化的な制約もうける(感情社会構成説)。一方、「恐れ」を含め、様々な感情は概念で形成されたもので、特定の神経回路により生じるというよりは、脳の広範な領域に分布する様々な経験依存性のシステムで生じるもので、共通した普遍的なものではないという考えも提唱されている(構成主義的情動理論<ref>'''Barrett, L.F. (2017)'''<br>How emotions are made. Brockman Inc., New York. <br>'''リサ・フェルドマン・バレット (2019).'''<br>情動はこうしてつくられる 紀伊国屋書店</ref>[10])。
 恐れの身体情動反応と主観的感情は、他の情動・感情と同様に<ref name=ref5>'''戸田山和久 (2016).'''<br>恐怖の哲学<br>''NHK出版新書''</ref> <ref name=ref6>'''Cornelius, R. R.'''<br>The science of emotion.<br>''Prentice-Hall, Inc,'' 1996.<br>'''コーネリアス・ランドルフ・ランディ'''<br>感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか<br>''誠信書房''、1999</ref>[5] [6]、しかるべき中枢神経系の特定の状態である([[基本情動説]]([[Darwin説]])、[[感情中枢起源説]]([[Cannon-Bard説]]))とともに、末梢臓器の反応による修飾を受ける([[感情末梢起源説]]([[James-Lange説]]))。また、状況に対する認知的な評価に依存する側面をもつ([[感情認知評価説]])<ref name=ref7>'''Lazarus, R.'''<br>Stress and emotion: A new synthesis.<br>''New York: Springer Pub. Co.'' 1999. <br>'''リチャード S. ラザルス'''<br>ストレスと情動の心理学―ナラティブ研究の視点から <br>''実務教育出版''、2004</ref>[7]。生じている身体的反応の情報([[内受容感覚]]([[内臓感覚]]))とそのときの状況の評価と身体反応の原因の推論から[[意思決定]]が影響され、主観的感情である「恐れ」が形成されるとする考えもある([[ソマティック・マーカー説]]([[Damasio説]])<ref name=ref8>'''Damasio, A.'''<br>The feeling of what happens: body and emotion in the making of consciousness.<br>''Harcourt Brace'', New York. 1999.<br>'''アントニオ・R・ダマシオ'''<br>無意識の脳 自己意識の脳 身体と情動と感情の神秘<br>''講談社'' 2003</ref>[8]、身体的評価仮説(Prinz説)<ref name=ref9>'''Prinz, J.'''<br>Gut reactions: A perceptual theory of emotion. <br>''Oxford University Press'', USA. 2006.</ref>[9])。また、恐れは、社会文化的な制約もうける([[感情社会構成説]])。一方、「恐れ」を含め、様々な感情は概念で形成されたもので、特定の神経回路により生じるというよりは、脳の広範な領域に分布する様々な経験依存性のシステムで生じるもので、共通した普遍的なものではないという考えも提唱されている([[構成主義的情動理論]]<ref>'''Barrett, L.F. (2017)'''<br>How emotions are made. Brockman Inc., New York. <br>'''リサ・フェルドマン・バレット (2019).'''<br>情動はこうしてつくられる 紀伊国屋書店</ref>[10])。


== 誘発する刺激 ==
== 誘発する刺激 ==
 恐怖刺激として、強度が強い感覚刺激(聴覚、視覚、嗅覚刺激)、新奇な刺激、進化の過程でその種にとり生得的な脅威となった刺激、痛み刺激があげられている。これらは基本的には学習を必須としない生得的な危険刺激である。さらに、学習によりこれらの生得的危険刺激がくることを予測させる刺激も恐れを誘発する<ref name=ref10>'''Gray, J A.'''<br>The psychology of fear and stress (2nd ed.). <br>Cambridge: ''Cambridge University Press''.1987</ref>[11]。
 恐怖刺激として、強度が強い感覚刺激([[聴覚]]、[[視覚]]、[[嗅覚]]刺激)、新奇な刺激、進化の過程でその種にとり生得的な脅威となった刺激、痛み刺激があげられている。これらは基本的には学習を必須としない生得的な危険刺激である。さらに、学習によりこれらの生得的危険刺激がくることを予測させる刺激も恐れを誘発する<ref name=ref10>'''Gray, J.A.'''<br>The psychology of fear and stress (2nd ed.). <br>Cambridge: ''Cambridge University Press''.1987</ref>[11]。


 「進化の過程でその種にとり生得的な脅威となった刺激」とは、進化の過程でその刺激に対し恐れを抱くことで危険を回避でき生存に有利となった刺激のことをいう。捕食者を表す(予知させる)刺激(匂い、形態、迫ってくる影、発声など)、同種の社会的強者の個体からの攻撃や威嚇の信号(発声、姿勢、表情)あるいは社会的強者が近くにいることを示すもの(匂い、視覚刺激)、同種個体の出す警戒信号(匂い、発声、表情、身振り)、霊長類にとってのヘビの視覚刺激、高所などがある。
「進化の過程でその種にとり生得的な脅威となった刺激」とは、進化の過程でその刺激に対し恐れを抱くことで危険を回避でき生存に有利となった刺激のことをいう。捕食者を表す(予知させる)刺激(匂い、形態、迫ってくる影、発声など)、同種の社会的強者の個体からの攻撃や威嚇の信号(発声、姿勢、表情)あるいは社会的強者が近くにいることを示すもの(匂い、視覚刺激)、同種個体の出す警戒信号(匂い、発声、表情、身振り)、[[霊長類]]にとっての[[wj:ヘビ|ヘビ]]の視覚刺激、高所などがある。


 学習を必要とする恐怖刺激としては、恐怖条件づけ学習によるものがある。条件付け学習においては、それ自身では嫌悪性のない刺激(例えば、音刺激、光刺激、実験箱といった環境刺激)と、それ自身で恐れを引き起こす刺激である痛み刺激(例えば、足掌部への電気刺激(フットショック)とを組み合わせて与える。前者が条件刺激、後者の痛み刺激が無条件刺激となる。この二つを組み合わせて与えることにより、条件刺激が来れば無条件刺激がくるということを学習つけることができる。すると、条件刺激である音、光、環境刺激をくわえるだけで、恐怖反応が引き起こされるようになる。条件刺激として、音や光刺激を用いる場合を手がかり条件付け(cue conditioning)、条件刺激として環境刺激を用いる場合は文脈条件付け(contextual conditioning)と呼ばれている。
 学習を必要とする恐怖刺激としては、[[恐怖条件づけ学習]]によるものがある。条件付け学習においては、それ自身では嫌悪性のない刺激(例えば、音刺激、光刺激、実験箱といった環境刺激)と、それ自身で恐れを引き起こす刺激である痛み刺激(例えば、足掌部への電気刺激(フットショック)とを組み合わせて与える。前者が[[条件刺激]]、後者の痛み刺激が[[無条件刺激]]となる。この二つを組み合わせて与えることにより、条件刺激が来れば無条件刺激がくるということを学習つけることができる。すると、条件刺激である音、光、環境刺激をくわえるだけで、恐怖反応が引き起こされるようになる。条件刺激として、音や光刺激を用いる場合を[[手がかり条件づけ]](cue conditioning)、条件刺激として環境刺激を用いる場合は[[文脈条件づけ]](contextual conditioning)と呼ばれている。


== 反応 ==
== 反応 ==
 恐怖刺激があると、その時に行っていた行動を停止し、目の前の脅威となるものから逃げる行動([[逃避行動]])、あるいは、筋肉を緊張させる「[[すくみ行動]]」をとる。切羽詰まりどうしようもない状況であれば脅威の対象物に対し闘争する場合もある。また、同種の強者からの脅威といった社会的な脅威の場合、[[服従]]の姿勢、[[宥め行動]]をとる場合もある。短く強い音を加えると、[[驚愕反射]]が観察されるが、この驚愕反射は恐怖刺激があると亢進することが示されている。恐怖刺激により意識を消失することもある<ref name=ref12><pubmed>15337864</pubmed></ref>[12]。動物で外敵に襲われたときに[[擬死反応]]を示すことが報告されている。例えば、[[マウス]]は、捕食動物の匂い、[[チアゾリン]]類分子(thiazoline-related fear odors)によって、体温低下、心拍数低下、すくみ行動といった擬死反応を示す。擬死反応は天敵に出会ったときの生存確率を上げると考えられている。また、チアゾリン類分子は[[低酸素]]状況といった危機状況で生命保護作用をもつと報告されている<ref name=ref13><pubmed> 33824316 </pubmed></ref>[13]。


 恐怖刺激があると、その時に行っていた行動を停止し、目の前の脅威となるものから逃げる行動(逃避行動)、あるいは、筋肉を緊張させる「すくみ行動」をとる。切羽詰まりどうしようもない状況であれば脅威の対象物に対し闘争する場合もある。また、同種の強者からの脅威といった社会的な脅威の場合、服従の姿勢、宥め行動をとる場合もある。短く強い音を加えると、驚愕反射が観察されるが、この驚愕反射は恐怖刺激があると亢進することが示されている。恐怖刺激により意識を消失することもある<ref name=ref12><pubmed>15337864</pubmed></ref>[12]。動物で外敵に襲われたときに擬死反応を示すことが報告されている。例えば、マウスは、捕食動物の匂い、チアゾリン類分子(thiazoline-related fear odors)によって、体温低下、心拍数低下、すくみ行動といった擬死反応を示す。擬死反応は天敵に出会ったときの生存確率を上げると考えられている。また、チアゾリン類分子は低酸素状況といった危機状況で生命保護作用をもつと報告されている<ref name=ref13><pubmed> 33824316 </pubmed></ref>[13]
 恐怖刺激を加えると、行動系に反応が誘発されるだけでなく、[[自律神経系]]([[交感神経系]]亢進、[[発汗]]、[[脱糞]]、[[排尿]])、[[神経内分泌]]系([[視床下部]]-[[下垂体前葉]]-[[副腎皮質]]系の賦活化([[ACTH]]放出、[[副腎皮質ホルモン]]放出)、[[副腎髄質]]系の賦活化(アドレナリン放出)、[[プロラクチン]]放出、[[オキシトシン]]放出<ref name=ref14><pubmed>22353547</pubmed></ref>[14])に恐怖反応が誘発され、[[鎮痛]]も観察される。
 
 恐怖刺激を加えると、行動系に反応が誘発されるだけでなく、自律神経系(交感神経系亢進、発汗、脱糞、排尿)、神経内分泌系(視床下部-下垂体前葉-副腎皮質系の賦活化(ACTH放出、副腎皮質ホルモン放出)、副腎髄質系の賦活化(アドレナリン放出)、プロラクチン放出、オキシトシン放出<ref name=ref14><pubmed>22353547</pubmed></ref>[14])に恐怖反応が誘発され、鎮痛も観察される。


 このように恐れに対する反応は、闘争や逃走に備えるための身体反応で覚醒レベルの上昇を反映し、恐れに選択的というよりは非選択的なものが多い。
 このように恐れに対する反応は、闘争や逃走に備えるための身体反応で覚醒レベルの上昇を反映し、恐れに選択的というよりは非選択的なものが多い。


 一方、恐れに特有の身体反応があるという主張もある。文化、人種によらずヒトは、恐れのとき、眉毛を中央に寄せて上げ、上眼瞼をひき上げ下眼瞼を緊張させ眼を大きく見開き、唇を水平方向に引き延ばすという共通した恐怖表情を示す<ref name=ref15>'''Ekman, P.'''<br>Emotions revealed: understanding faces and feelings.<br>''Phoenix'' (an Imprint of The Orion Publishing Group Ltd), 2004<br>'''ポール・エクマン(菅 靖彦 訳) (2006).'''<br>顔は口ほどに嘘をつく<br>''河出書房新社''</ref>[15]。また、この表情を見て、その表情をしているヒトが恐れていることをヒトは理解できる。自律神経系には、交感神経系の亢進の症状(心拍数増加、皮膚蒼白、立毛、散瞳、体温上昇(褐色脂肪活性化))とともに、末梢血管抵抗の低下<ref name=ref16><pubmed>20371374</pubmed></ref>[16]、顔面蒼白、冷や汗<ref name=ref17>'''Kreibig, S.D. (2014).'''<br>The Autonomic Nervous System and Emotion.<br>''Emotion Review''. 6(2):100-112.</ref>[17]といった恐れに特異的なパターンがあると報告されている。恐れを含め基本情動に対応した特異的な身体感覚マップがあるという報告もある<ref name=ref18><pubmed> 24379370 </pubmed></ref>。さらに、身体反応は条件恐怖刺激では体温上昇・心拍数増加が生じ、天敵臭では体温低下、心拍数低下が生じるというように、用いる恐怖刺激により身体反応が異なることも示されている<ref name=ref19><pubmed> 17989651 </pubmed></ref>[19]。
 一方、恐れに特有の身体反応があるという主張もある。文化、人種によらずヒトは、恐れのとき、[[wj:眉毛|眉毛]]を中央に寄せて上げ、[[上眼瞼]]をひき上げ[[下眼瞼]]を緊張させ[[眼]]を大きく見開き、[[wj:唇|唇]]を水平方向に引き延ばすという共通した[[恐怖表情]]を示す<ref name=ref15>'''Ekman, P.'''<br>Emotions revealed: understanding faces and feelings.<br>''Phoenix'' (an Imprint of The Orion Publishing Group Ltd), 2004<br>'''ポール・エクマン(菅 靖彦 訳) (2006).'''<br>顔は口ほどに嘘をつく<br>''河出書房新社''</ref>[15]。また、この表情を見て、その表情をしている[[ヒト]]が恐れていることをヒトは理解できる。自律神経系には、交感神経系の亢進の症状([[心拍数]]増加、皮膚蒼白、[[立毛]]、[[散瞳]]、[[体温上昇]]([[褐色脂肪]]活性化))とともに、末梢血管抵抗の低下<ref name=ref16><pubmed>20371374</pubmed></ref>[16]、顔面蒼白、冷や汗<ref name=ref17>'''Kreibig, S.D. (2014).'''<br>The Autonomic Nervous System and Emotion.<br>''Emotion Review''. 6(2):100-112.</ref>[17]といった恐れに特異的なパターンがあると報告されている。恐れを含め基本情動に対応した特異的な身体感覚マップがあるという報告もある<ref name=ref18><pubmed> 24379370 </pubmed></ref>。さらに、身体反応は条件恐怖刺激では体温上昇・心拍数増加が生じ、天敵臭では体温低下、心拍数低下が生じるというように、用いる恐怖刺激により身体反応が異なることも示されている<ref name=ref19><pubmed> 17989651 </pubmed></ref>[19]。


 他の情動と同様、恐れの感情は、認知、記憶に影響を与える。恐れを惹起する刺激があると、注意がその刺激に集中し(注意集中効果)、その周辺に対して注意が向かなくなる(注意制限効果)。また、恐れの感情があると、未来に対する予測がより悲観的になること<ref name=ref20><pubmed>11474720</pubmed></ref>[20]、 仲間との友好的な関係を形成維持したいという親和動機が強まり仲間と一緒にいることを選択することが示されている。
 他の情動と同様、恐れの感情は、[[認知]]、[[記憶]]に影響を与える。恐れを惹起する刺激があると、[[注意]]がその刺激に集中し([[注意集中効果]])、その周辺に対して注意が向かなくなる([[注意制限効果]])。また、恐れの感情があると、未来に対する予測がより悲観的になること<ref name=ref20><pubmed>11474720</pubmed></ref>[20]、 仲間との友好的な関係を形成維持したいという[[親和動機]]が強まり仲間と一緒にいることを選択することが示されている。


 恐れに対する反応は、基本的には、脅威となる刺激や状況から、生体を防衛・維持する機能があると考えられる。
 恐れに対する反応は、基本的には、脅威となる刺激や状況から、生体を防衛・維持する機能があると考えられる。