「ナトリウムチャネル」の版間の差分

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| Nav1.1 <br>(SCN1a) <br>  
| Nav1.1 <br>(SCN1a) <br>  
| 中枢神経(主に神経細胞の細胞体)、心筋<br>  
| 中枢神経(主に神経細胞の[[細胞体]])、心筋<br>  
| テトロドトキシン、サキシトキシン
| テトロドトキシン、[[サキシトキシン]]
| 2番染色体<br>  
| 2番染色体<br>  
| 全般性てんかん熱性痙攣プラス、乳児重症ミオクロニーてんかん<br>
| 全般性てんかん熱性痙攣プラス、[[乳児重症ミオクロニーてんかん]]<br>
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| Nav.1.2<br>(SCN2a)<br>  
| Nav.1.2<br>(SCN2a)<br>  
| 中枢神経(主に無髄、髄鞘化前の軸索)<br>  
| 中枢神経(主に[[無髄]]、[[髄鞘化]]前の軸索)<br>  
| テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| 2番染色体<br>  
| 2番染色体<br>  
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| Nav1.3<br>(SCN3a)<br>  
| Nav1.3<br>(SCN3a)<br>  
| 中枢神経(主に初期胚)、心筋<br>  
| 中枢神経(主に[[wikipedia:JA:|初期胚]])、心筋<br>  
| テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| 2番染色体<br>  
| 2番染色体<br>  
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| Nav1.4<br>(SCN4a)<br>  
| Nav1.4<br>(SCN4a)<br>  
| 骨格筋<br>  
| 骨格筋<br>  
| μ-コノトキシン、テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| μ-[[コノトキシン]]、テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| 17番染色体<br>  
| 17番染色体<br>  
| 高カリウム性周期性四肢麻痺、筋硬直症<br>
| [[高カリウム性周期性四肢麻痺]]、筋硬直症<br>
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| Nav1.5<br>(SCN5a)<br>  
| Nav1.5<br>(SCN5a)<br>  
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| テトロドトキシン抵抗性、サキシトキシン抵抗性<br>  
| テトロドトキシン抵抗性、サキシトキシン抵抗性<br>  
| 3番染色体<br>  
| 3番染色体<br>  
| 先天性QT延長症候群、[[wikipedia:ja:ブルガダ症候群|ブルガダ症候群]]<br>
| [[wikipedia:JA:|先天性QT延長症候群]]、[[ブルガダ症候群]]<br>
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| Nav1.6<br>(SCN8a<br>  
| Nav1.6<br>(SCN8a<br>  
| 脳、有髄および[[wikipedia:ja:後根神経節|後根神経節]]細胞<br>  
| 脳、有髄および[[後根神経節]]細胞<br>  
| <br>  
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| 12番染色体<br>  
| 12番染色体<br>  
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| Nav1.7<br>(SCN9a<br>  
| Nav1.7<br>(SCN9a<br>  
| 後根神経節細胞、交感神経、[[シュワン細胞]]<br>  
| 後根神経節細胞、[[交感神経]]、[[シュワン細胞]]<br>  
| テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| テトロドトキシン、サキシトキシン<br>  
| 2番染色体<br>  
| 2番染色体<br>  
| 無痛症、先端紅痛症<br>
| [[無痛症]]、[[先端紅痛症]]<br>
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| Nav1.8<br>(SCN10a)<br>  
| Nav1.8<br>(SCN10a)<br>  
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== βサブユニット  ==
== βサブユニット  ==


 βサブユニットは1回膜貫通型のサブユニットで、β1からβ4まで4種類存在する。これまでの研究によりαサブユニットだけでも、電位依存的にナトリウムチャネルを透過させる機能を保持していることが分かっているが、βサブユニットはαサブユニットと共に存在することで、ナトリウムチャネルの機能を変える。またすべてのβサブユニットは細胞外側に細胞接着に関わる分子に見られるイムノグロブリンドメインを持っている。そのため一部のβサブユニットは、チャネルの機能を補完するだけでなく、種々の細胞接着因子と結合し、細胞運動や[[wikipedia:ja:細胞接着|細胞接着]][[wikipedia:neurite|神経突起]]の伸長に重要な役割を担っていることが知られている。またβ4は細胞内側からのblocking particleとして作用し、resurgent電流の形成に関わることが示唆されている。  
 βサブユニットは1回膜貫通型のサブユニットで、β1からβ4まで4種類存在する。これまでの研究によりαサブユニットだけでも、電位依存的にナトリウムチャネルを透過させる機能を保持していることが分かっているが、βサブユニットはαサブユニットと共に存在することで、ナトリウムチャネルの機能を変える。またすべてのβサブユニットは細胞外側に[[細胞接着]]に関わる分子に見られる[[免疫グロブリンドメイン]]を持っている。そのため一部のβサブユニットは、チャネルの機能を補完するだけでなく、種々の細胞接着因子と結合し、細胞運動や細胞接着、神経突起の伸長に重要な役割を担っていることが知られている。またβ4は細胞内側からのblocking particleとして作用し、resurgent電流の形成に関わることが示唆されている。  


== 薬剤による機能の修飾  ==
== 薬剤による機能の修飾  ==


 Navチャネルに特異的に結合し、その性質を変える種々の薬剤が知られている(表参照)。最も早く発見されたのは、フグ毒として知られているテトロドトキシンで、ナトリウムチャネルのポアドメインに結合して、イオン透過を阻害する。β-サソリ毒はナトリウムチャネルの電位センサー部分に結合し、不活性化を阻害する。また、アコニチニン、グラヤノトキシン、ベラトリジン、バトラコトキシンは[[wikipedia:ja:細胞膜|細胞膜]]を透過し、細胞の内側からナトリウムチャネルに結合して、ナトリウムチャネルが開いている時間を長くする作用がある。また局所[[wikipedia:ja:麻酔|麻酔薬]]として知られているリドカインは不活性化状態を安定化し電流量を減らす作用がある。
 Navチャネルに特異的に結合し、その性質を変える種々の薬剤が知られている(表参照)。最も早く発見されたのは、フグ毒として知られているテトロドトキシンで、ナトリウムチャネルのポアドメインに結合して、イオン透過を阻害する。[[β-サソリ毒]]はナトリウムチャネルの電位センサー部分に結合し、不活性化を阻害する。また、[[アコニチニン]]、[[グラヤノトキシン]]、[[ベラトリジン]]、[[バトラコトキシン]]は[[wikipedia:ja:細胞膜|細胞膜]]を透過し、細胞の内側からナトリウムチャネルに結合して、ナトリウムチャネルが開いている時間を長くする作用がある。また[[局所麻酔薬]]として知られている[[リドカイン]]は不活性化状態を安定化し電流量を減らす作用がある。


== 転写の制御  ==
== 転写の制御  ==


 Nav1.2遺伝子の転写調節には転写抑制因子REST/NRSFが関わっている。通常、神経細胞由来の培養細胞(PC12 cell)では、神経細胞成長因子(neural growth factor) により神経突起の形成が誘導される。しかしながらREST/NRSFを発現させると、神経突起の形成が見られなくなり、ナトリウム電流も計測されない<ref><pubmed> 11516394 </pubmed></ref>。神経細胞以外の細胞ではREST/NRSFが発現し、他の多くの神経細胞特異的に発現する遺伝子の転写を抑制するとともに、Nav1.2の転写を抑制していると考えられている。
 Nav1.2遺伝子の転写調節には[[転写抑制因子]][[REST]]/NRSFが関わっている。通常、神経細胞由来の培養細胞(PC12 cell)では、[[神経細胞成長因子]](nerve growth factor) により[[神経突起]]の形成が誘導される。しかしながらREST/NRSFを発現させると、神経突起の形成が見られなくなり、ナトリウム電流も計測されない<ref><pubmed> 11516394 </pubmed></ref>。神経細胞以外の細胞ではREST/NRSFが発現し、他の多くの神経細胞特異的に発現する遺伝子の転写を抑制するとともに、Nav1.2の転写を抑制していると考えられている。


== リン酸化による制御  ==
== リン酸化による制御  ==
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=== プロテインキナーゼAによるリン酸化  ===
=== プロテインキナーゼAによるリン酸化  ===


 [[wikipedia:ja:ラット|ラット]]の神経系のナトリウムチャネルでは、リピートIとIIの間の細胞内側のリンカー部分に、[[wikipedia:ja:プロテインキナーゼ|プロテインキナーゼA(PKA)]]により[[wikipedia:ja:リン酸化|リン酸化]]を受けるコンセンサス配列が存在し、実際にリン酸化されていることが示されている。リン酸化によりチャネルの開口確率が減り、電流が減少する。また、ホスファターゼ2A、およびカルシニューリンが、この部位を脱リン酸化することも知られている。
 [[wikipedia:ja:ラット|ラット]]の神経系のナトリウムチャネルでは、リピートIとIIの間の細胞内側のリンカー部分に、[[プロテインキナーゼA]](PKA)により[[リン酸化]]を受けるコンセンサス配列が存在し、実際にリン酸化されていることが示されている。リン酸化によりチャネルの開口確率が減り、電流が減少する。また、[[タンパク質脱リン酸化酵素2A]]、および[[カルシニューリン]]が、この部位を脱リン酸化することも知られている。


=== プロテインキナーゼCによるリン酸化  ===
=== プロテインキナーゼCによるリン酸化  ===


 リピートIIIとリピートIVの間の細胞内側リンカー部分は、速い不活性化に重要であるが、この部位は[[wikipedia:ja:プロテインキナーゼ|プロテインキナーゼC(PKC)]]によるリン酸化サイトでもある。リン酸化をされると不活性化が遅くなるのと同時に、同じ電位で比べたときに最大電流量が半分程度までに減少する。[[wikipedia:ja:海馬|海馬]]の培養神経細胞では[[wikipedia:ja:アセチルコリン受容体|ムスカリン性アセリルコリン受容体]]を刺激すると、ナトリウムチャネルがPKCを介してリン酸化されることが示されている<ref><pubmed> 8630240 </pubmed></ref>。  
 リピートIIIとリピートIVの間の細胞内側リンカー部分は、速い不活性化に重要であるが、この部位は[[プロテインキナーゼC]](PKC)によるリン酸化サイトでもある。リン酸化をされると不活性化が遅くなるのと同時に、同じ電位で比べたときに最大電流量が半分程度までに減少する。[[wikipedia:ja:海馬|海馬]]の培養神経細胞では[[wikipedia:ja:アセチルコリン受容体|ムスカリン性アセリルコリン受容体]]を刺激すると、ナトリウムチャネルがPKCを介してリン酸化されることが示されている<ref><pubmed> 8630240 </pubmed></ref>。  


== RNA editing  ==
== RNA editing  ==


 [[wikipedia:ja:ショウジョウバエ|ショウジョウバエ]]のNavチャネルには、[[wikipedia:RNA editing|RNA editing]]が存在していることが知られている<ref><pubmed> 10414281 </pubmed></ref>。ショウジョウバエのナトリウムチャネルをコードしている[[wikipedia:ja:遺伝子座|遺伝子座]](''para'')には、少なくとも10か所の[[wikipedia:ja:選択的スプライシング|選択的スプライシング]]を受けるサイトが知られている。ここから転写されるアイソフォームの多くは、[[wikipedia:ja:アデノシン|アデノシン]]が[[wikipedia:ja:イノシン|イノシン]]に“編集”されるRNA editingを受けている。これまでのところナトリウムチャネルのRNA editingは、[[wikipedia:ja:昆虫|昆虫]]でのみ報告されており、哺乳類を含め他の生物種では見られていない。  
 [[ショウジョウバエ]]のNavチャネルには、[[RNA編集]]が存在していることが知られている<ref><pubmed> 10414281 </pubmed></ref>。ショウジョウバエのナトリウムチャネルをコードしている[[wikipedia:ja:遺伝子座|遺伝子座]](''para'')には、少なくとも10か所の[[選択的スプライシング]]を受けるサイトが知られている。ここから転写されるアイソフォームの多くは、[[wikipedia:ja:アデノシン|アデノシン]]が[[wikipedia:ja:イノシン|イノシン]]に“編集”されるRNA editingを受けている。これまでのところナトリウムチャネルのRNA editingは、[[wikipedia:ja:昆虫|昆虫]]でのみ報告されており、哺乳類を含め他の生物種では見られていない。  


== チャネル病  ==
== チャネル病  ==


 Navチャネルは活動電位の形成に本質的な役割を担っており、変異が生じると重篤な病気の原因となる。骨格筋に発現しているNav1.4のαサブユニットにおけるある種の変異は、家族性の[[wikipedia:ja:周期性四肢麻痺|周期性四肢麻痺]]や[[wikipedia:Myotonia congenita|筋強直症]]を引き起こす。高カリウム性の周期性四肢麻痺では、Nav1.4の不活性化が不完全になり、持続的にナトリウム電流が流れる。そのため膜の再分極が浅くなり、Navチャネルの不活性化が解除されなくなる。その結果、活動電位が伝搬しなくなり筋の麻痺が生じる<ref><pubmed> 1849724 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 8382500 </pubmed></ref>。  
 Navチャネルは活動電位の形成に本質的な役割を担っており、変異が生じると重篤な病気の原因となる。骨格筋に発現しているNav1.4のαサブユニットにおけるある種の変異は、家族性の[[周期性四肢麻痺]]や[[筋強直症]]を引き起こす。高カリウム性の周期性四肢麻痺では、Nav1.4の不活性化が不完全になり、持続的にナトリウム電流が流れる。そのため膜の再分極が浅くなり、Navチャネルの不活性化が解除されなくなる。その結果、活動電位が伝搬しなくなり筋の麻痺が生じる<ref><pubmed> 1849724 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 8382500 </pubmed></ref>。  


 また心筋に発現しているNav1.5の変異は、[[wikipedia:Long QT syndrome|先天性QT延長症候群(LQT)]]、特発性の[[wikipedia:ja:心室細動|心室細動]]等の[[wikipedia:ja:不整脈|不整脈]]を引き起こす。LQTを引き起こす変異は複数存在するが、その多くはチャネルの不活性化が不完全になる変異である<ref><pubmed> 8917568 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 7651517 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 8620612 </pubmed></ref>。このため持続的にナトリウム電流が流れ膜の再分極が遅れるため、QT間隔が伸長する。LQTの患者のうちNav1.5に変異を持つのは約10%である。  
 また心筋に発現しているNav1.5の変異は、[[先天性QT延長症候群]](LQT)、特発性の[[wikipedia:ja:心室細動|心室細動]]等の[[wikipedia:ja:不整脈|不整脈]]を引き起こす。LQTを引き起こす変異は複数存在するが、その多くはチャネルの不活性化が不完全になる変異である<ref><pubmed> 8917568 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 7651517 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 8620612 </pubmed></ref>。このため持続的にナトリウム電流が流れ膜の再分極が遅れるため、QT間隔が伸長する。LQTの患者のうちNav1.5に変異を持つのは約10%である。  


 中枢神経系で発現しているNav1.1の変異は[[てんかん]]の原因になる。これまで、[[wikipedia:Generalized epilepsy with febrile seizures plus|全般てんかん熱性痙攣プラス(generalized epilepsy with febrile seizures plus, GEFS+)]]および[[wikipedia:SMEI|乳児重症ミオクロニーてんかん(severe myoclonic epilepsy of infant, SMEI)]]を引き起こすNav1.1の変異が多数例、報告されている。不活性化が不完全になり持続的にナトリウム電流が流れるような変異や、不活性化がより高い電位で起こるような変異が報告されている。またGEFS+を引き起こす変異はβ1サブユニットにも見だされ、この変異を持ったβサブユニットは、αサブユニットの機能の調整をすることができない<ref><pubmed> 12486163 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 9697698 </pubmed></ref>。 侵害受容に関わる[[wikipedia:sensory neuron|一次知覚ニューロン]]に発現しているNav1.7の変異は、[[wikipedia:ja:先天性無痛無汗症|先天性の無痛症(congenital insensitivity to pain, CIP)]]や[[wikipedia:erythromelalgia|先端紅痛症(erythromelalgia, IEM)]]、[[wikipedia:paroxysmal extreme pain disorder|発作性の神経痛(paroxysmal extreme pain disorder, PEPD)]]に関わっている。これまで知られているCIPを引き起こす変異はすべてNav1.7をコードする遺伝子の途中に[[wikipedia:ja:終止コドン|終止コドン]]が挿入され、チャネルとしての機能を喪失することが分かっている<ref name="refa"><pubmed> 20101409 </pubmed></ref>。またIEMでは遺伝子の変異により、低い電位でナトリウムチャネルが開口するため、[[閾値]]が低くなり活動電位が生じやすくなる17。PEPDの患者では速い不活性化に関わっているリピートIIIとIVの間に変異が見つかっている。この変異を持ったナトリウムチャネルは速い不活性化が起こる膜電位が高い電位にシフトする。そのため低い膜電位でも電気的に興奮しやすくなり、PEPDの症状が現れると考えられている<ref name="refa" />。  
 中枢神経系で発現しているNav1.1の変異は[[てんかん]]の原因になる。これまで、[[wikipedia:Generalized epilepsy with febrile seizures plus|全般てんかん熱性痙攣プラス]](generalized epilepsy with febrile seizures plus, GEFS+)および[[wikipedia:SMEI|乳児重症ミオクロニーてんかん]](severe myoclonic epilepsy of infant, SMEI)を引き起こすNav1.1の変異が多数例、報告されている。不活性化が不完全になり持続的にナトリウム電流が流れるような変異や、不活性化がより高い電位で起こるような変異が報告されている。またGEFS+を引き起こす変異はβ1サブユニットにも見だされ、この変異を持ったβサブユニットは、αサブユニットの機能の調整をすることができない<ref><pubmed> 12486163 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 9697698 </pubmed></ref>。 [[侵害受容]]に関わる[[wikipedia:sensory neuron|一次知覚ニューロン]]に発現しているNav1.7の変異は、[[先天性無痛症]](congenital insensitivity to pain, CIP)や[[先端紅痛症]](erythromelalgia, IEM)、[[発作性神経痛]](paroxysmal extreme pain disorder, PEPD)に関わっている。これまで知られているCIPを引き起こす変異はすべてNav1.7をコードする遺伝子の途中に[[wikipedia:ja:終止コドン|終止コドン]]が挿入され、チャネルとしての機能を喪失することが分かっている<ref name="refa"><pubmed> 20101409 </pubmed></ref>。またIEMでは遺伝子の変異により、低い電位でナトリウムチャネルが開口するため、[[閾値]]が低くなり活動電位が生じやすくなる17。PEPDの患者では速い不活性化に関わっているリピートIIIとIVの間に変異が見つかっている。この変異を持ったナトリウムチャネルは速い不活性化が起こる膜電位が高い電位にシフトする。そのため低い[[膜電位]]でも電気的に興奮しやすくなり、PEPDの症状が現れると考えられている<ref name="refa" />。  


== 関連項目  ==
== 関連項目  ==