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<font size="+1">[http://yakkou.phar.kyushu-u.ac.jp/Member.html 津田 誠]</font><br>
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''九州大学大学院薬学研究院 医療薬科学部門 薬理学分野''<br>
''九州大学大学院薬学研究院 医療薬科学部門 薬理学分野''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年6月14日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年6月14日 原稿完成日:2015年12月7日、一部改訂:2021年6月3日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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英語名: purinergic receptor、purinoceptor 独:purinerge Rezeptoren 仏:récepteur purinergique
英語名: purinergic receptor、purinoceptor 独:purinerge Rezeptoren 仏:récepteur purinergique


{{box|text= プリン受容体は、アデノシンならびにATPなどヌクレオチド類をリガンドとする一群の細胞表面受容体である。アデノシンをリガンドとするP1受容体ファミリー、ATPをリガンドとするP2受容体ファミリーに分類される。P1受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)で、A<sub>1</sub>、A<sub>2A</sub>、A<sub>2B</sub>およびA<sub>3</sub>に分類される。P2受容体は、さらにリガンド依存性イオンチャネル型受容体であるP2XおよびGタンパク質共役型受容体であるP2Y受容体の2種類に分類される。それぞれの受容体を活性化するリガンドの種類や濃度、また発現組織分布や発現細胞種などが異なり、生体機能におけるサブタイプ固有の役割が徐々に明らかになってきている。}}
{{box|text= プリン受容体は、アデノシンならびにATPやUTPなど、プリン/ピリミジン、ヌクレオチド類をリガンドとする一群の細胞表面受容体である。アデノシンをリガンドとするP1受容体ファミリー、ATPをリガンドとするP2受容体ファミリーに分類される。P1受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)で、A<sub>1</sub>、A<sub>2A</sub>、A<sub>2B</sub>およびA<sub>3</sub>に分類される。P2受容体は、さらにリガンド依存性イオンチャネル型受容体であるP2XおよびGタンパク質共役型受容体であるP2Y受容体の2種類に分類される。それぞれの受容体を活性化するリガンドの種類や濃度、また発現組織分布や発現細胞種などが異なり、生体機能におけるサブタイプ固有の役割が徐々に明らかになってきている。}}


==プリン受容体とは==
==プリン受容体とは==
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 P2受容体は、細胞外のプリンヌクレオチド(ATP、ADP)、ピリミジンヌクレオチド(UTP、UDP)、糖ヌクレオチドなどを内因性リガンドとし、さらに[[P2X受容体|P2X]]および[[P2Y受容体]]の2種類に分類される。
 P2受容体は、細胞外のプリンヌクレオチド(ATP、ADP)、ピリミジンヌクレオチド(UTP、UDP)、糖ヌクレオチドなどを内因性リガンドとし、さらに[[P2X受容体|P2X]]および[[P2Y受容体]]の2種類に分類される。


 '''P2X受容体'''は、細胞膜を2回貫通するサブユニット(7種類:P2X<sub>1</sub>~P2X<sub>7</sub>)3分子がホモあるいはヘテロ三量体を形成し、一つのチャネル(P2X受容体)となる。P2X受容体は、Na<sup>+</sup>、Ca<sup>2+</sup>およびK<sup>+</sup>いずれも通す非選択的陽[[イオンチャネル]]である。P2X<sub>7</sub>以外のP2X受容体は、1~10 μM程度の細胞外ATPにより活性化される(P2X<sub>7</sub>受容体だけは活性化本体がATP4-と考えられているため、その活性化に非常に高濃度のATP(0.1~1 mM)が必要である)。P2X<sub>1</sub>とP2X<sub>3</sub>受容体はATP刺激により急速に不活性化し、繰り返し刺激により著明な脱感作を示すが、P2X<sub>2</sub>、P2X<sub>4</sub>、P2X<sub>5</sub>、P2X<sub>7</sub>受容体はそれらが軽度である。
 '''P2X受容体'''は、細胞膜を2回貫通するサブユニット(7種類:P2X1~P2X7)3分子がホモあるいはヘテロ三量体を形成し、一つのチャネル(P2X受容体)となる。P2X受容体は、Na<sup>+</sup>、Ca<sup>2+</sup>およびK<sup>+</sup>いずれも通す非選択的陽[[イオンチャネル]]である。P2X7以外のP2X受容体は、1~10 μM程度の細胞外ATPにより活性化される(P2X7受容体だけは活性化本体がATP4-と考えられているため、その活性化に非常に高濃度のATP(0.1~1 mM)が必要である)。P2X1とP2X3受容体はATP刺激により急速に不活性化し、繰り返し刺激により著明な脱感作を示すが、P2X2、P2X4、P2X5、P2X7受容体はそれらが軽度である。


 '''P2Y受容体'''は、7回膜貫通型のGPCRで、8種類(P2Y<sub>1</sub>、P2Y<sub>2</sub>、P2Y<sub>4</sub>、P2Y<sub>6</sub>、P2Y<sub>11</sub>〜P2Y<sub>14</sub>)に分類される。
 '''P2Y受容体'''は、7回膜貫通型のGPCRで、8種類(P2Y<sub>1</sub>、P2Y<sub>2</sub>、P2Y<sub>4</sub>、P2Y<sub>6</sub>、P2Y<sub>11</sub>〜P2Y<sub>14</sub>)に分類される。


'' 詳細は[[P2X受容体]]、[[P2Y受容体]]のページ参照。''
'' 詳細は[[P2X受容体]]、[[P2Y受容体]]のページ参照。''
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|+表1. プリン受容体の分類
|+表1. プリン受容体の分類
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|| '''[[P2Y受容体]]'''  ||P2Y<sub>1−14</sub>受容体||[[ヌクレオチド]]
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* [[wj:アデノシン三リン酸|ATP]]
* [[wj:アデノシン三リン酸|ATP]]
* [[wj:アデノシン二リン酸|ADP]]
* [[wj:アデノシン二リン酸|ADP]]

2021年6月3日 (木) 18:06時点における最新版

津田 誠
九州大学大学院薬学研究院 医療薬科学部門 薬理学分野
DOI:10.14931/bsd.3956 原稿受付日:2013年6月14日 原稿完成日:2015年12月7日、一部改訂:2021年6月3日
担当編集委員:林 康紀(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)

英語名: purinergic receptor、purinoceptor 独:purinerge Rezeptoren 仏:récepteur purinergique

 プリン受容体は、アデノシンならびにATPやUTPなど、プリン/ピリミジン、ヌクレオチド類をリガンドとする一群の細胞表面受容体である。アデノシンをリガンドとするP1受容体ファミリー、ATPをリガンドとするP2受容体ファミリーに分類される。P1受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)で、A1、A2A、A2BおよびA3に分類される。P2受容体は、さらにリガンド依存性イオンチャネル型受容体であるP2XおよびGタンパク質共役型受容体であるP2Y受容体の2種類に分類される。それぞれの受容体を活性化するリガンドの種類や濃度、また発現組織分布や発現細胞種などが異なり、生体機能におけるサブタイプ固有の役割が徐々に明らかになってきている。

プリン受容体とは

 プリン受容体は、P1およびP2受容体ファミリーに分類され、P1はアデノシン受容体(adenosine receptor)、P2はATP受容体(ATP receptor)ともいわれる[1] [2]。それぞれの受容体を活性化するリガンドの種類や濃度、また発現組織分布や発現細胞種などが異なり、生体機能におけるサブタイプ固有の役割が徐々に明らかになってきている[1] [2]

 なお、本項におけるP1およびP2受容体の表記は、IUPHARでのデータベース掲載名に従った[3][4][5]

P1受容体

 P1受容体は、内因性リガンドがアデノシンであるGタンパク質共役型受容体(GPCR)で、A1、A2A、A2BおよびA3に分類される。

 詳細はP1受容体のページ参照。

P2受容体

 P2受容体は、細胞外のプリンヌクレオチド(ATP、ADP)、ピリミジンヌクレオチド(UTP、UDP)、糖ヌクレオチドなどを内因性リガンドとし、さらにP2XおよびP2Y受容体の2種類に分類される。

 P2X受容体は、細胞膜を2回貫通するサブユニット(7種類:P2X1~P2X7)3分子がホモあるいはヘテロ三量体を形成し、一つのチャネル(P2X受容体)となる。P2X受容体は、Na+、Ca2+およびK+いずれも通す非選択的陽イオンチャネルである。P2X7以外のP2X受容体は、1~10 μM程度の細胞外ATPにより活性化される(P2X7受容体だけは活性化本体がATP4-と考えられているため、その活性化に非常に高濃度のATP(0.1~1 mM)が必要である)。P2X1とP2X3受容体はATP刺激により急速に不活性化し、繰り返し刺激により著明な脱感作を示すが、P2X2、P2X4、P2X5、P2X7受容体はそれらが軽度である。

 P2Y受容体は、7回膜貫通型のGPCRで、8種類(P2Y1、P2Y2、P2Y4、P2Y6、P2Y11〜P2Y14)に分類される。

 詳細はP2X受容体P2Y受容体のページ参照。

表1. プリン受容体の分類
名称 下位分類 リガンド 作用機構
P1受容体 A1、A2A、A2B,A3受容体 アデノシン Gタンパク質共役型受容体
P2受容体 P2X受容体 P2X1−7受容体 ATP リガンド依存性イオンチャンネル
P2Y受容体 P2Y1, 2, 4, 6, 11−14受容体 ヌクレオチド Gタンパク質共役型受容体

編集部にてWikipediaより翻訳、改変。

関連項目

参考文献

  1. 1.0 1.1 Burnstock, G. (2007).
    Physiology and pathophysiology of purinergic neurotransmission. Physiological reviews, 87(2), 659-797. [PubMed:17429044] [WorldCat] [DOI]
  2. 2.0 2.1 Burnstock, G. (2008).
    Purinergic signalling and disorders of the central nervous system. Nature reviews. Drug discovery, 7(7), 575-90. [PubMed:18591979] [WorldCat] [DOI]
  3. 国際薬理学連合 Guide to Pharmacology P1受容体
  4. 国際薬理学連合 Guide to Pharmacology P2X受容体
  5. 国際薬理学連合 Guide to Pharmacology P2Y受容体