「覚醒剤」の版間の差分

240 バイト追加 、 2012年7月12日 (木)
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
10行目: 10行目:


<!--Clinical data-->
<!--Clinical data-->
| tradename = Adderall
| tradename = Adderall
| Drugs.com = {{drugs.com|monograph|adderall}}
| Drugs.com = {{drugs.com|monograph|adderall}}
21行目: 22行目:


<!--Pharmacokinetic data-->
<!--Pharmacokinetic data-->
| bioavailability = nasal 75%; rectal 95–99%; intravenous 100%
| bioavailability = nasal 75%; rectal 95–99%; intravenous 100%
| protein_bound = 15–40%
| protein_bound = 15–40%
28行目: 30行目:


<!--Identifiers-->
<!--Identifiers-->
| CASNo_Ref = {{cascite|correct|CAS}}
| CASNo_Ref = {{cascite|correct|CAS}}
| CAS_number_Ref = {{cascite|correct|??}}
| CAS_number_Ref = {{cascite|correct|??}}
54行目: 57行目:


<!--Chemical data-->
<!--Chemical data-->
| C=9 | H=13 | N=1  
| C=9 | H=13 | N=1  
| molecular_weight = 135.2084
| molecular_weight = 135.2084
61行目: 65行目:
| Boiling_Point = 203°C
| Boiling_Point = 203°C
| solubility = {{nowrap|50–100 mg/mL (16C°)}}
| solubility = {{nowrap|50–100 mg/mL (16C°)}}
}}
}} {{Drugbox
{{Drugbox
| Verifiedfields = changed
| Verifiedfields = changed
| verifiedrevid = 477169898
| verifiedrevid = 477169898
111行目: 114行目:
| legal_status =  Class A<small>([[New Zealand|NZ]])</small><br>Schedule 5<small>([[South Africa|SA]])</small><br>Injectable:Class A, Oral: A<small>([[United Kingdom|UK]])</small>
| legal_status =  Class A<small>([[New Zealand|NZ]])</small><br>Schedule 5<small>([[South Africa|SA]])</small><br>Injectable:Class A, Oral: A<small>([[United Kingdom|UK]])</small>
| routes_of_administration= ''Medical'': Ingestion<br><br>''Recreational'': Ingestion, Intravenous, Insufflation, Inhalation, Suppository
| routes_of_administration= ''Medical'': Ingestion<br><br>''Recreational'': Ingestion, Intravenous, Insufflation, Inhalation, Suppository
}}
}}  
 
英:psychostimulant 独:Psychostimulanzien 仏:psychostimulant


 覚せい剤は、本邦の覚せい剤取締法(後述)では[[メタンフェタミン]]([[フェニルメチルアミノプロパン]])と[[アンフェタミン]]([[フェニルアミノプロパン]])をはじめとして、これらと同様の作用を持ち制令で指定されたもの、またはそれを含有する物と定義されている。本稿ではメタンフェタミンおよびアンフェタミンについて概説する。 メタンフェタミンは、我が国で[[エフェドリン]]から合成されたものであり、エフェドリンは咳止め効果のある[[wikipedia:ja:生薬|生薬]]の麻黄([[wikipedia:ja:マオウ|マオウ]]、[[wikipedia:ja:エフェドラ|エフェドラ]])の成分である。ここからエフェドリンが抽出され、他の化学物質と反応させ密造される。性状は白色、無臭の結晶で水に溶けやすい。 1941年に[[wikipedia:ja:ヒロポン|ヒロポン]]などの販売名で発売され、第二次世界大戦時には軍需工場の労働者が徹夜作業を行う際にヒロポンを服用した。戦後、大量の覚せい剤が民間に放出され、乱用された。本邦は第二次世界大戦後の第一次覚せい剤乱用期(1945~1958)ののち、第二次覚せい剤乱用期(1970~1995)、第三次覚せい剤乱用期(1995~現在)を経験している。  
 覚せい剤は、本邦の覚せい剤取締法(後述)では[[メタンフェタミン]]([[フェニルメチルアミノプロパン]])と[[アンフェタミン]]([[フェニルアミノプロパン]])をはじめとして、これらと同様の作用を持ち制令で指定されたもの、またはそれを含有する物と定義されている。本稿ではメタンフェタミンおよびアンフェタミンについて概説する。 メタンフェタミンは、我が国で[[エフェドリン]]から合成されたものであり、エフェドリンは咳止め効果のある[[wikipedia:ja:生薬|生薬]]の麻黄([[wikipedia:ja:マオウ|マオウ]]、[[wikipedia:ja:エフェドラ|エフェドラ]])の成分である。ここからエフェドリンが抽出され、他の化学物質と反応させ密造される。性状は白色、無臭の結晶で水に溶けやすい。 1941年に[[wikipedia:ja:ヒロポン|ヒロポン]]などの販売名で発売され、第二次世界大戦時には軍需工場の労働者が徹夜作業を行う際にヒロポンを服用した。戦後、大量の覚せい剤が民間に放出され、乱用された。本邦は第二次世界大戦後の第一次覚せい剤乱用期(1945~1958)ののち、第二次覚せい剤乱用期(1970~1995)、第三次覚せい剤乱用期(1995~現在)を経験している。  
133行目: 138行目:
 第二次覚せい剤乱用期の1983年に行われた覚せい剤中毒対策に関する専門家会議では、覚せい剤に関連した疾患として、1.覚せい剤急性中毒、2.覚せい剤依存症、3.覚せい剤精神病をあげている。  
 第二次覚せい剤乱用期の1983年に行われた覚せい剤中毒対策に関する専門家会議では、覚せい剤に関連した疾患として、1.覚せい剤急性中毒、2.覚せい剤依存症、3.覚せい剤精神病をあげている。  


#覚せい剤急性中毒<br>覚せい剤の使用後1時間以内に出現する中枢神経系の異常興奮による精神神経症状、交感神経刺激作用などによる身体的中毒症状、さらに薬効の消退に伴って出現し数日間持続する反跳現象などから構成される。意識障害と激しい精神運動性興奮を主とする急性症候群の発現を見ることもある。
#覚せい剤急性中毒<br>覚せい剤の使用後1時間以内に出現する中枢神経系の異常興奮による精神神経症状、交感神経刺激作用などによる身体的中毒症状、さらに薬効の消退に伴って出現し数日間持続する反跳現象などから構成される。意識障害と激しい精神運動性興奮を主とする急性症候群の発現を見ることもある。  
#覚せい剤依存症<br>覚せい剤依存徴候および関連した精神身体症状を有するが、明確な幻覚妄想を伴わない状態。
#覚せい剤依存症<br>覚せい剤依存徴候および関連した精神身体症状を有するが、明確な幻覚妄想を伴わない状態。  
#覚せい剤精神病<br>覚せい剤依存徴候を有するかまたは有していたものに生じた幻覚妄想状態を主とする精神病状態である。  
#覚せい剤精神病<br>覚せい剤依存徴候を有するかまたは有していたものに生じた幻覚妄想状態を主とする精神病状態である。
 
 休薬後には以下の経過類型を示す。


 休薬後には以下の経過類型を示す。
#早期消退型:休薬後1カ月以内に症状が消退するもの  
#早期消退型:休薬後1カ月以内に症状が消退するもの  
#遷延・持続型:休薬後も1カ月以上にわたって病状が持続するもの。
#遷延・持続型:休薬後も1カ月以上にわたって病状が持続するもの。


 なかには6ヶ月以上の長期にわたって症状の小康と増悪を繰り返すものなどある。
 なかには6ヶ月以上の長期にわたって症状の小康と増悪を繰り返すものなどある。  


== 標的分作用メカニズム  ==
== 標的分作用メカニズム  ==
168行目: 174行目:


 [[wikipedia:ja:警察白書|警察白書]]の統計資料によると、平成22年の覚せい剤事犯の検挙件数は16900件(人員は11993名)であった。検挙件数のうち、使用で検挙される件数は密輸出入、所持、譲渡などと比べるとはるかに多く、全体の62.9%を占めている。警察庁の「平成22年中の薬物・銃器情勢」によると、覚せい剤事犯の検挙人員は、薬物事犯全体の検挙人員14529名のうち82.5%を占めている。検挙人員のうち、暴力団構成員等が52.7%を占めているほか、他の薬物事犯と比較して再犯者の構成比率が高いこと(59.3%)や30歳代以上の検挙人員が多いこと等が特徴として挙げられる。年齢別検挙人員の構成比率では、40歳代以上は増加傾向の一方で、20歳代以下の未成年は年々減少している(平成22年は1.9%)。押収量は305.5kgであった。末端密売価格については、前年に引き続き値下がり傾向で推移しており、平均で1gあたり8万円程度と認められる。  
 [[wikipedia:ja:警察白書|警察白書]]の統計資料によると、平成22年の覚せい剤事犯の検挙件数は16900件(人員は11993名)であった。検挙件数のうち、使用で検挙される件数は密輸出入、所持、譲渡などと比べるとはるかに多く、全体の62.9%を占めている。警察庁の「平成22年中の薬物・銃器情勢」によると、覚せい剤事犯の検挙人員は、薬物事犯全体の検挙人員14529名のうち82.5%を占めている。検挙人員のうち、暴力団構成員等が52.7%を占めているほか、他の薬物事犯と比較して再犯者の構成比率が高いこと(59.3%)や30歳代以上の検挙人員が多いこと等が特徴として挙げられる。年齢別検挙人員の構成比率では、40歳代以上は増加傾向の一方で、20歳代以下の未成年は年々減少している(平成22年は1.9%)。押収量は305.5kgであった。末端密売価格については、前年に引き続き値下がり傾向で推移しており、平均で1gあたり8万円程度と認められる。  
== 関連項目 ==
*[[薬物依存]]
*[[ドーパミン]]
*[[ドーパミントランスポーター]]
*[[小胞モノアミントランスポーター]]


== 参考文献  ==
== 参考文献  ==