「エンドサイトーシス」の版間の差分

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==== クラスリン非依存的エンドサイトーシスに関与するタンパク質 ====
==== クラスリン非依存的エンドサイトーシスに関与するタンパク質 ====


クラスリン非依存的エンドサイトーシスに関与するタンパク質は、クラスリン依存的エンドサイトーシスで働くタンパク質と一部異なっている。以下に、クラスリン非依存的エンドサイトーシスにおいて中心的な役割を果たすタンパク質群を挙げる。
 クラスリン非依存的エンドサイトーシスに関与するタンパク質は、クラスリン依存的エンドサイトーシスで働くタンパク質と一部異なっている。以下に、クラスリン非依存的エンドサイトーシスにおいて中心的な役割を果たすタンパク質群を挙げる。


===== Caveolin =====
===== Caveolin =====
「カベオラ」と呼ばれるフラスコ状の膜陥入構造を介して、クラスリン被覆を伴わないエンドサイトーシスが起こる。この過程には、膜内在タンパク質であるカベオリン (caveolin)が関与しており、カベオリンがオリゴマー化することによって細胞膜ドメインが形成され、そこでエンドサイトーシスが起こる。
「カベオラ」と呼ばれるフラスコ状の膜陥入構造を介して、クラスリン被覆を伴わないエンドサイトーシスが起こる。この過程には、膜内在タンパク質であるカベオリン (caveolin)が関与しており、カベオリンがオリゴマー化することによって細胞膜ドメインが形成され、そこでエンドサイトーシスが起こる。


===== Actin・CDC42・Formins =====
===== アクチン・CDC42・フォルミン =====
クラスリン非依存的エンドサイトーシスでは、細胞膜を裏打ちするアクチン (Actin)の重合が形質膜の陥入および小胞の形成を促進する。シナプス小胞のエンドサイトーシスにおいても、アクチン重合の重要性が指摘されている<ref name=Delvendahl2016><pubmed>27146271</pubmed></ref><ref name=Soykan2017><pubmed>28231467</pubmed></ref>。CDC42 (Cell Division Cycle 42)は、Rhoファミリーに属する低分子量GTP結合タンパク質 (Rho GTPase)であり、クラスリン非依存的エンドサイトーシスにおけるアクチン重合の重要な制御因子である。ForminsはRho GTPaseのエフェクターとして機能する
 クラスリン非依存的エンドサイトーシスでは、細胞膜を裏打ちするアクチン (Actin)の重合が形質膜の陥入および小胞の形成を促進する。シナプス小胞のエンドサイトーシスにおいても、アクチン重合の重要性が指摘されている<ref name=Delvendahl2016><pubmed>27146271</pubmed></ref><ref name=Soykan2017><pubmed>28231467</pubmed></ref>。CDC42 (Cell Division Cycle 42)は、Rhoファミリーに属する低分子量GTP結合タンパク質 (Rho GTPase)であり、クラスリン非依存的エンドサイトーシスにおけるアクチン重合の重要な制御因子である。フォルミンはRho GTPaseのエフェクターとして機能する


===== AP-3 =====
===== AP-3 =====
AP-3はクラスリン非依存的エンドサイトーシスで作られた小胞に含まれる積荷分子の選択を制御している。ヘルマンスキー・パドラック症候群(Hermansky-Pudlak syndrome)や、その病態モデルであるmochaマウスでは、AP-3のサブユニットの欠失により、細胞内小胞輸送が障害される。特に中枢神経系では、シナプス小胞タンパク質のソーティング異常によるドーパミン放出の低下などに起因する神経機能障害が報告されている<ref name=Jain2023><pubmed>37812725</pubmed></ref><ref name=Silm2019><pubmed>31003725</pubmed></ref>。
 クラスリン非依存的エンドサイトーシスで作られた小胞に含まれる積荷分子の選択を制御している。ヘルマンスキー・パドラック症候群(Hermansky-Pudlak syndrome)や、その病態モデルであるmochaマウスでは、AP-3の&delta;サブユニットの欠失により、細胞内小胞輸送が障害される。特に中枢神経系では、シナプス小胞タンパク質のソーティング異常によるドーパミン放出の低下などに起因する神経機能障害が報告されている<ref name=Jain2023><pubmed>37812725</pubmed></ref><ref name=Silm2019><pubmed>31003725</pubmed></ref>。


===== ダイナミン =====
===== ダイナミン =====