「外傷後ストレス障害」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
16行目: 16行目:


 尚、PTSDは他の精神障害とは異なり、診断基準に外傷的出来事への曝露が含まれている。症状が診断基準を満たしても、出来事がA基準を満たさなければ、DSM‐Ⅳ‐TRでは適応障害と診断すると教示されている。その一方で、出来事がA基準を満たしていても、出現した症状が他の精神障害の診断基準を満たしたときはその診断を下す、もしくはPTSDと併記しなければならない。  
 尚、PTSDは他の精神障害とは異なり、診断基準に外傷的出来事への曝露が含まれている。症状が診断基準を満たしても、出来事がA基準を満たさなければ、DSM‐Ⅳ‐TRでは適応障害と診断すると教示されている。その一方で、出来事がA基準を満たしていても、出現した症状が他の精神障害の診断基準を満たしたときはその診断を下す、もしくはPTSDと併記しなければならない。  


'''表1.PTSDの診断基準(DSM-IV-TR)'''
'''表1.PTSDの診断基準(DSM-IV-TR)'''
92行目: 91行目:
|-
|-
|}
|}
<br>


=== 症状評価方法  ===
=== 症状評価方法  ===
109行目: 106行目:


#Clinician-Administered PTSD Scale (CAPS):PTSD臨床診断面接尺度<br> CAPSはアメリカのNational Center for PTSDの研究グループによって開発された構造化診断面接法<ref><pubmed>7712061</ref>で、最も精度の高い診断法として世界的に広く用いられている。一定のトレーニングを受けた面接者がDSM-Ⅳで示される17症状について既定の質問を行い、症状の頻度と強度の両方をアンカーポイントにそって評価するものである。日本語版は飛鳥井らが作成し、その信頼性と妥当性が検証<ref>'''飛鳥井望、廣幡小百合、加藤寛ほか'''<br>CAPS(PTSD臨床診断面接尺度)日本語版の尺度特性<br>''トラウマティック・ストレス1'':47-53,2003</ref>されている。心理検査として診療報酬点数450点が認められている。
#Clinician-Administered PTSD Scale (CAPS):PTSD臨床診断面接尺度<br> CAPSはアメリカのNational Center for PTSDの研究グループによって開発された構造化診断面接法<ref><pubmed>7712061</ref>で、最も精度の高い診断法として世界的に広く用いられている。一定のトレーニングを受けた面接者がDSM-Ⅳで示される17症状について既定の質問を行い、症状の頻度と強度の両方をアンカーポイントにそって評価するものである。日本語版は飛鳥井らが作成し、その信頼性と妥当性が検証<ref>'''飛鳥井望、廣幡小百合、加藤寛ほか'''<br>CAPS(PTSD臨床診断面接尺度)日本語版の尺度特性<br>''トラウマティック・ストレス1'':47-53,2003</ref>されている。心理検査として診療報酬点数450点が認められている。
#Structured Clinical Interview for DSM-Ⅳ(SCID): DSM-Ⅳのための構造化臨床面接<br> 高橋らによって日本語版が出版されている<ref>'''(翻訳)高橋三郎、北村俊則、岡野禎治'''<br>精神科診断面接マニュアル SCID:使用の手引き・テスト用紙 第2版<br>''日本評論社'':2010</ref>。SCIDはDSM-ⅣのPTSD17症状の有無のみを問う形式のため、評価者の臨床経験により、評価がばらつく恐れがある。
#Structured Clinical Interview for DSM-Ⅳ(SCID): DSM-Ⅳのための構造化臨床面接<br> 高橋らによって日本語版が出版されている<ref>'''(翻訳)高橋三郎、北村俊則、岡野禎治'''<br>精神科診断面接マニュアル SCID:使用の手引き・テスト用紙 第2版<br>''日本評論社'':2010</ref>。SCIDはDSM-ⅣのPTSD17症状の有無のみを問う形式のため、評価者の臨床経験により、評価がばらつく恐れがある。
#MINI International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I):精神疾患簡易構造化面接法<br> Sheehanらによって開発されたスクリーニング目的に短時間で施行可能な包括的構造化面接である。大坪らが日本語版を作成している<ref>'''(翻訳)大坪天平、宮岡等、上島国利'''<br>M.I.N.I._精神疾患簡易構造化面接法<br>''星和書店'':2000</ref>。SCIDと同じく症状項目の有無のみを問う形式である。
#MINI International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I):精神疾患簡易構造化面接法<br> Sheehanらによって開発されたスクリーニング目的に短時間で施行可能な包括的構造化面接である。大坪らが日本語版を作成している<ref>'''(翻訳)大坪天平、宮岡等、上島国利'''<br>M.I.N.I._精神疾患簡易構造化面接法<br>''星和書店'':2000</ref>。SCIDと同じく症状項目の有無のみを問う形式である。