「ブレビカン」の版間の差分

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== 機能 ==
== 機能 ==
=== ペリニューロナルネット ===
=== ペリニューロナルネット ===
 ブレビカンは、脳内で最も豊富なコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの一つであり、ペリニューロナルネットの根本的な構成要素である('''図2''')<ref name=Fawcett2019><pubmed>31263252</pubmed></ref>[13]。ペリニューロナルネットには、細胞外マトリクス成分が濃縮されており、恒常的にシナプス可塑性を安定化させているという静的なイメージがあったが、Ricoらの研究によると、海馬のPVニューロンではブレビカンがカリウムチャネルの局在化とシナプスAMPA受容体のレベルを制御することでPVニューロンの性質を動的に調節し、その機能が空間的作業記憶と短期記憶に根本的に必要であることを報告した<ref name=Hazlett2024 /> [11]。2002年にFässlerらのグループがブレビカン欠損マウスを作製した<ref name=Brakebusch2002><pubmed>12370289</pubmed></ref>。ブレビカン欠損マウスは、[[海馬]]の[[長期増強]]([[LTP]])の維持に著しい障害を示した。
 ブレビカンは、脳内で最も豊富なコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの一つであり、ペリニューロナルネットの根本的な構成要素である('''図2''')<ref name=Fawcett2019><pubmed>31263252</pubmed></ref>。ペリニューロナルネットには、細胞外マトリクス成分が濃縮されており、恒常的にシナプス可塑性を安定化させているという静的なイメージがあったが、Ricoらの研究によると、海馬のPVニューロンではブレビカンがカリウムチャネルの局在化とシナプスAMPA受容体のレベルを制御することでPVニューロンの性質を動的に調節し、その機能が空間的作業記憶と短期記憶に根本的に必要であることを報告した<ref name=Hazlett2024 />。2002年にFässlerらのグループがブレビカン欠損マウスを作製した<ref name=Brakebusch2002><pubmed>12370289</pubmed></ref>。ブレビカン欠損マウスは、[[海馬]]の[[長期増強]]([[LTP]])の維持に著しい障害を示した。


 脳内のペリニューロナルネットは場所により成分も異なっており、さらに詳細な調査が必要である。
 脳内のペリニューロナルネットは場所により成分も異なっており、さらに詳細な調査が必要である。
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=== 発作性転倒症候群 ===
=== 発作性転倒症候群 ===
 [[wj:キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル|キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル]]犬にみられる[[発作性転倒症候群]]の原因遺伝子が[[ゲノムワイド関連解析]]を用いて第7染色体に同定され、ブレビカン遺伝子の15.7 kbの欠失と関連していることが判明した<ref name=Gill2012><pubmed>21821125</pubmed></ref>。米国での既往歴のない同犬種の大規模な集団を対象にした広範な検査では、保因動物が極めて一般的であることが判明した(12.9%)。遺伝子変異を有する動物の数を最小限に抑えることを目的とした選択的交配プログラムの実施を可能にする。なお、ヒトでは同様の疾患でのブレビカン変異報告はない。
 [[wj:キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル|キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル]]犬にみられる[[発作性転倒症候群]]の原因遺伝子が[[ゲノムワイド関連解析]]を用いて第7染色体に同定され、ブレビカン遺伝子の15.7 kbの欠失と関連していることが判明した<ref name=Gill2012><pubmed>21821125</pubmed></ref>。米国での既往歴のない同犬種の大規模な集団を対象にした広範な検査では、保因動物が極めて一般的であることが判明した(12.9%)。遺伝子変異を有する動物の数を最小限に抑えることを目的とした選択的交配プログラムの実施が試みられている。なお、ヒトでは同様の疾患でのブレビカン変異報告はない。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==