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英語名:Tourette’s disorder 独:Tourette-Syndrom 仏: maladie de Tourette, syndrome de Tourette | 英語名:Tourette’s disorder 独:Tourette-Syndrom 仏: maladie de Tourette, syndrome de Tourette | ||
同義語:ジル・ド・ラ・トゥレット症候群、トゥレット症候群 | |||
多様性の運動チックと1つ以上の音声チックを有して、何らかのチックを認める期間が1年以上に及ぶ場合に、トゥレット障害と診断される。しばしば、[[強迫性障害]]([[obsessive-compulsive disorder]]: [[OCD]])及び[[注意・欠如多動性障害]]([[attention-deficit/hyperactivity disorder]]: [[ADHD]])など様々な精神神経疾患を併発する。4~11歳頃に発症することが多く、10~15歳頃に最悪時を迎えるが、成人期初めまでに消失や軽快に転じる場合が多い。[[皮質-線条体-視床-皮質回路]]([[cortico-striato-thalamo-cortical circuit]]: [[CSTC回路]])、特にドーパミン系の異常が想定されてる。薬物療法、[[認知行動療法]]が治療に用いられる。 | |||
(抄録は編集部で重要そうな内容を拾って作成致しました。ご確認下さい) | |||
== | ==トゥレット障害とは== | ||
突発的、急速、反復性、非律動性、常同的な運動あるいは発声をチックという<ref>'''金生由紀子'''<br>トゥレット障害<br> ''日本小児科学会雑誌'' 2010, 114(11): 1673-80. </ref>。多様性の運動チックと1つ以上の音声チックを有して、何らかのチックを認める期間が1年以上に及ぶ場合に、トゥレット障害と診断される。詳細な症例報告をしたフランス人医師の名にちなんでジル・ド・ラ・トゥレット症候群(Gilles de la Tourette syndrome)と呼ばれてきた。それを縮めてトゥレット症候群(Tourette syndrome: TS)ということもある。重症な[[チック]]障害であると強調されてきたが、重症度には大きな幅がある。 | |||
チックには、[[運動チック]]と[[音声チック]]があり、それぞれが単純チックと複雑チックに分けられる。複雑チックは、典型的な単純チックよりややゆっくりで意味があるように見える。単純運動チックには、瞬き、顔しかめ、首ふり、肩すくめなどがある。単純音声チックには、咳払い、鼻鳴らし、叫び声などがある。特異的な複雑音声チックに、社会的に受け入れられない言葉を発してしまう[[コプロラリア]]([[coprolalia]]、[[汚言症]])、他者の発した言葉を繰り返す[[エコラリア]]([[echolalia]]、[[反響言語]])が含まれる。また、チックという運動症状で定義される症候群であるが、併発しやすい精神神経疾患がある。チックの種類や重症度、併発症の有無や重症度によって、トゥレット障害を有する一人一人はかなり多様である。 | |||
チックは、不随意運動とされてきたが、部分的には随意的抑制が可能であることから、“半随意”と考えられるようになっている。チックには、やらずにはいられないという抵抗しがたい感覚をしばしば伴い、この感覚は、[[前駆衝動]]([[premonitory urges]])と呼ばれる。チックは、種類、部位、回数、強さなどがしばしば変動する。変動は自然の経過で生じることもあれば、心理的な影響によることもある。 | |||
チックは、不随意運動とされてきたが、部分的には随意的抑制が可能であることから、“半随意”と考えられるようになっている。チックには、やらずにはいられないという抵抗しがたい感覚をしばしば伴い、この感覚は、[[前駆衝動]]([[premonitory urges]] | |||
== 診断 == | == 診断 == | ||
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薬物療法は主な標的症状がチックか併発症かで大別される。チックに対する薬物の中心は[[抗精神病薬]]である。 | 薬物療法は主な標的症状がチックか併発症かで大別される。チックに対する薬物の中心は[[抗精神病薬]]である。 | ||
アメリカトゥレット協会医療アドバイス委員会がエビデンスを加味してまとめた薬物療法のガイドラインによると、我が国で使用できる薬物の中で、チックに対して十分にエビデンスのある抗精神病薬は、[[ハロペリドール]、[[ピモジド]]、[[リスペリドン]]であり、チックに対していくらかのエビデンスがある抗精神病薬は、[[フルフェナジン]]、[[チアプリド]]である。 | アメリカトゥレット協会医療アドバイス委員会がエビデンスを加味してまとめた薬物療法のガイドラインによると、我が国で使用できる薬物の中で、チックに対して十分にエビデンスのある抗精神病薬は、[[ハロペリドール]]、[[ピモジド]]、[[リスペリドン]]であり、チックに対していくらかのエビデンスがある抗精神病薬は、[[フルフェナジン]]、[[チアプリド]]である。 | ||
ヨーロッパのチック障害の臨床ガイドラインでは、[[スルピリド]]、[[オランザピン]]もいくらかエビデンスがあるとされている。最近では、これらに加えて、[[アリピプラゾール]]の有効性を示す報告が複数あり、鎮静などの副作用が少ないこともあり、注目されている。 | ヨーロッパのチック障害の臨床ガイドラインでは、[[スルピリド]]、[[オランザピン]]もいくらかエビデンスがあるとされている。最近では、これらに加えて、[[アリピプラゾール]]の有効性を示す報告が複数あり、鎮静などの副作用が少ないこともあり、注目されている。 | ||
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ハビットリバーサルは、チックに気づくことによってコントロールしやすくなることを目指すが、チックを気にしすぎてかえって悪化しないように配慮を要する。チックをすべてなくそうとしないことを確認しつつ、最も改善したいチックを定めて、よりましな随意的な行動や良いイメージに置き換えることを促す。 | ハビットリバーサルは、チックに気づくことによってコントロールしやすくなることを目指すが、チックを気にしすぎてかえって悪化しないように配慮を要する。チックをすべてなくそうとしないことを確認しつつ、最も改善したいチックを定めて、よりましな随意的な行動や良いイメージに置き換えることを促す。 | ||
==関連項目== | |||
(ございましたらご指摘下さい) | |||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |