44
回編集
Makotosato (トーク | 投稿記録) 細 (参考文献の挿入) |
Makotosato (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
36行目: | 36行目: | ||
発生過程の脳では数多くの遺伝子が発現し、特に異なる転写因子の発現の組み合わせにより区画化(コンパートメント)が行われている。ここでは発生過程の脳で発現し、脳の区画化に関わる代表的な転写因子の機能について述べる。 | 発生過程の脳では数多くの遺伝子が発現し、特に異なる転写因子の発現の組み合わせにより区画化(コンパートメント)が行われている。ここでは発生過程の脳で発現し、脳の区画化に関わる代表的な転写因子の機能について述べる。 | ||
終脳の形成においてOtx遺伝子とEmx遺伝子が協働して機能している<ref><pubmed>11061430</pubmed></ref>。これらの遺伝子は[[転写因子]]であり、[[ショウジョウバエ]]の相同遺伝子(orthodenticleやempty spiracle)と高い類似性を保っている。これらの遺伝子の機能は、ショウジョウバエの頭部形成や、脊椎動物の前脳と中脳の形成に関与している。Otx2<sup>+/-</sup> | 終脳の形成においてOtx遺伝子とEmx遺伝子が協働して機能している<ref><pubmed>11061430</pubmed></ref>。これらの遺伝子は[[転写因子]]であり、[[ショウジョウバエ]]の相同遺伝子(orthodenticleやempty spiracle)と高い類似性を保っている。これらの遺伝子の機能は、ショウジョウバエの頭部形成や、脊椎動物の前脳と中脳の形成に関与している。Otx2<sup>+/-</sup>Emx2<sup>-/-</sup> 変異マウスの解析では、脳背側部および間脳領域(視床上部、視床)の欠損が認められ、両遺伝子が前脳形成に重要な役割を果たしている事が示されている<ref><pubmed>11493561</pubmed></ref>。 | ||
前脳の発生が進むと背側側に大脳皮質と腹側側に[[基底核原基]]が形成され、終脳と成る。終脳の大脳皮質には[[興奮性神経細胞]]([[グルタミン酸]]作動性)と[[抑制性神経細胞]]([[GABA]]作動性)が存在している。前者は大脳皮質の脳室帯にて生まれ、法線方向(脳室から脳表面)に移動し、後者は基底核原基で生まれ、大脳皮質内には接線方向に移入して、大脳皮質を構成している<ref><pubmed>12042877</pubmed></ref>。近年、これらの興奮性神経細胞や抑制性神経細胞の分化を制御する転写因子や分泌因子が同定されている<ref><pubmed>16883309</pubmed></ref><ref><pubmed>17514196</pubmed></ref>。また興奮性神経細胞や抑制性神経細胞の細胞移動に関しても解明が進んでいる<ref><pubmed>11988760</pubmed></ref><ref><pubmed>17588709</pubmed></ref><ref><pubmed>19357392</pubmed></ref><ref><pubmed>19428236</pubmed></ref>。 | 前脳の発生が進むと背側側に大脳皮質と腹側側に[[基底核原基]]が形成され、終脳と成る。終脳の大脳皮質には[[興奮性神経細胞]]([[グルタミン酸]]作動性)と[[抑制性神経細胞]]([[GABA]]作動性)が存在している。前者は大脳皮質の脳室帯にて生まれ、法線方向(脳室から脳表面)に移動し、後者は基底核原基で生まれ、大脳皮質内には接線方向に移入して、大脳皮質を構成している<ref><pubmed>12042877</pubmed></ref>。近年、これらの興奮性神経細胞や抑制性神経細胞の分化を制御する転写因子や分泌因子が同定されている<ref><pubmed>16883309</pubmed></ref><ref><pubmed>17514196</pubmed></ref>。また興奮性神経細胞や抑制性神経細胞の細胞移動に関しても解明が進んでいる<ref><pubmed>11988760</pubmed></ref><ref><pubmed>17588709</pubmed></ref><ref><pubmed>19357392</pubmed></ref><ref><pubmed>19428236</pubmed></ref>。 |
回編集