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英語名:visual fixation | 英語名:visual fixation、fixation、steady fixation | ||
同義語:注視 | |||
鮮明な[[視覚]]を得るために視覚空間内の目標に視線を固定すること。[[眼球運動]]系、視覚系でよく用いられる術語。 | |||
== | ==固視とは== | ||
われわれの眼の[[網膜]]には[[視野]]内のさまざまな物体の像が映し出されている。一方、網膜の視力は一様でなく網膜中心部のある一カ所([[網膜中心窩]])で際立って高い。また、鮮明な視覚を得るためには像が網膜上でほぼ静止する必要がある。従って、目標をよく見るためにはその像を中心窩に移動させ、そこに固定する必要がある。像の中心窩への移動を担うのが[[サッケード眼球運動]]([[サッケード]])であり、その後の像の固定を実現するのが[[固視の仕組み]] (fixation system)である。別の言葉で言えば、サッケードにより視線が対象に移動し、固視により視線が対象に固定されるということになる。 | |||
術語としては「固視」が正しいが、「[[注視]]」と言った方がわかりやすいことが多い。但し、[[注視麻痺]]というような場合の「注視」には目標への視線移動という意味が含まれている。 | |||
== 神経機構 == | == 神経機構 == | ||
固視に関与する脳部位としては、[[上丘]]吻側部の[[fixation zone]] がよく知られている。固視に一致したニューロン活動がみられ、下流の[[サッケード生成回路]]を抑制する。[[前頭葉]]の[[前頭眼野]]にもfixation zoneに相当する領域があり、サッケードの発現を抑制すると考えられている。固視が維持されるためには、眼球位置の指令信号を生み出す[[神経積分器]]の働きが重要である。神経積分器は狭義には[[脳幹]]の神経機構であるが、その正常な動作には[[小脳]]が必要である。 | |||
== 追跡眼球運動との関係 == | == 追跡眼球運動との関係 == | ||
固視は、[[追跡眼球運動]] | 固視は、[[追跡眼球運動]] [[smooth pursuit eye movement]]の特殊なケース(つまり速度ゼロの smooth pursuit)とみなせるだろうか。それとも[[追跡眼球運動]]とは別に、独立したfixation system が存在するのだろうか。この問題は長年議論されているが、未だ結論が出ていない。 | ||
== マイクロサッケード == | == マイクロサッケード == |