「エピジェネティクス」の版間の差分

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===DNAメチル化と転写の制御===
===DNAメチル化と転写の制御===


 一般的にプロモーター領域のDNAメチル化と遺伝子発現の程度はよく逆相関することが知られている<ref name="ref5" />が、DNAメチル化と遺伝子発現制御の関係は単純ではない。遺伝子構造内部のgene body領域のDNAメチル化は、[[wikipedia:ja:スプライシング|スプライシング]]の制御などに関わっていると考えられている<ref><pubmed> 20613842 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22641018 </pubmed></ref>。また、メチル化されたCpG配列には、[[wikipedia:ja:メチル化CpG結合ドメインタンパク質|メチル化CpG結合ドメインタンパク質]](methyl-CpG-binding domain protein; MBD) が結合し転写を抑制する蛋白質複合体を引き寄せ、遺伝子発現の抑制が達成されると考えられている。しかしMBDの一種であり、[[レット症候群]]の責任遺伝子ある[[methyl-CpG binding protein 2]] ([[MeCP2]])では、転写の抑制および活性化双方の働きがあることが知られている<ref><pubmed> 18511691 </pubmed></ref>。  
 一般的にプロモーター領域のDNAメチル化と遺伝子発現の程度はよく逆相関することが知られている<ref name="ref5" />が、DNAメチル化と遺伝子発現制御の関係は単純ではない。遺伝子構造内部のgene body領域のDNAメチル化は、[[wikipedia:ja:スプライシング|スプライシング]]の制御などに関わっていると考えられている<ref><pubmed> 20613842 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22641018 </pubmed></ref>。また、メチル化されたCpG配列には、[[wikipedia:ja:メチル化CpG結合ドメインタンパク質|メチル化CpG結合ドメインタンパク質]](methyl-CpG-binding domain protein; MBD) が結合し転写を抑制する蛋白質複合体を引き寄せ、遺伝子発現の抑制が達成されると考えられている。しかしMBDの一種であり、[[レット症候群]]の責任遺伝子である[[methyl-CpG binding protein 2]] ([[MeCP2]])は、転写の抑制および活性化双方の働きを持つことが知られている<ref><pubmed> 18511691 </pubmed></ref>。  


===DNAメチル化と脱メチル化===
===DNAメチル化と脱メチル化===


 発生過程でのDNAメチル化パターンの構築に至っては、受精直後に維持メチラーゼ活性が抑制されたり特異的脱メチル酵素が働いたりすることによって、ゲノム全体で波状の脱メチル化がおこる。発生が進むと、メチル化されてないDNAの最初のメチル化は、DNMT3AやDNMT3Bによって新たにDNAメチル化状態のプロフィールが形成されていく<ref name="ref5" /><ref><pubmed> 23400093 </pubmed></ref>。  
 発生過程でのDNAメチル化パターンの構築においては、受精直後に維持メチラーゼ活性が抑制されたり特異的脱メチル酵素が働いたりすることによって、ゲノム全体で脱メチル化がおこる。発生が進むと、メチル化されてないDNAの最初のメチル化は、DNMT3AやDNMT3Bによって新たにDNAメチル化状態のプロフィールが形成されていく<ref name="ref5" /><ref><pubmed> 23400093 </pubmed></ref>。  


===DNAメチル化の解析方法===
===DNAメチル化の解析方法===