9,444
回編集
細編集の要約なし |
編集の要約なし |
||
1行目: | 1行目: | ||
<div align="right"> | |||
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0019143 藤山 文乃]</font>(執筆者)<br> | |||
''同志社大学 脳科学研究科''<br> | |||
<font size="+1">赤沢 年一</font>(執筆協力)<br> | |||
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年8月15日 原稿完成日:2012年9月20日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/ichirofujita 藤田 一郎](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br><br> | |||
</div> | |||
英:cerebral ventricle | 英:cerebral ventricle | ||
4行目: | 12行目: | ||
[[Image:meninges.png|thumb|300px|'''図2.脳室と脳脊髄液'''<br />文献<ref name=terashima /> p181より改変して転載]] | [[Image:meninges.png|thumb|300px|'''図2.脳室と脳脊髄液'''<br />文献<ref name=terashima /> p181より改変して転載]] | ||
{{box|text= | |||
[[脳脊髄液]]が産生される脳内の腔。ヒトの場合、左右一対の[[側脳室]]と、正中に[[第三脳室]]、[[第四脳室]]が一つずつの、計四つの脳室がある(図1)。これらは相互に連絡があり、[[くも膜下腔]]へと接続されることで、脳脊髄液は脳室内を循環する。 | [[脳脊髄液]]が産生される脳内の腔。ヒトの場合、左右一対の[[側脳室]]と、正中に[[第三脳室]]、[[第四脳室]]が一つずつの、計四つの脳室がある(図1)。これらは相互に連絡があり、[[くも膜下腔]]へと接続されることで、脳脊髄液は脳室内を循環する。 | ||
}} | |||
== 側脳室== | == 側脳室== | ||
12行目: | 22行目: | ||
神戸大学医学部寺島俊雄教授 恵与<br />文献<ref name=terashima /> p184より許可を得て転載]] | 神戸大学医学部寺島俊雄教授 恵与<br />文献<ref name=terashima /> p184より許可を得て転載]] | ||
側脳室(lateral | 側脳室(lateral ventricle)とは、左右の大脳半球の内部に対称性に存在する一対の空間(脳室)である。側脳室の脈絡叢で作られた脳脊[[髄液]]は、内側の[[室間孔]]([[モンロー孔]]、Monro foramen)を通じて第三脳室に入り、第三脳室の脈絡叢で作られた分とともに[[中脳水道]]から第四脳室に向かう。 | ||
== 第三脳室== | == 第三脳室== | ||
36行目: | 46行目: | ||
== 血液脳関門と脳室周囲器官 == | == 血液脳関門と脳室周囲器官 == | ||
[[Image:terminal2PVN-scale.jpg|thumb|300px|''' | [[Image:terminal2PVN-scale.jpg|thumb|300px|'''図4.[[脳弓下器官]]から室傍核への投射終末(ラット)'''<br>スケールは 100μm。ビオチン・デキストランのDAB反応。暗視野顕微鏡像。 | ||
<br>佐賀大学医学部河野史教授 恵与]] | <br>佐賀大学医学部河野史教授 恵与]] | ||
[[Image:terminal2OVLT-scale.jpg|thumb|300px|'''図5.脳弓下器官から終板器官への投射終末(ラット)'''<br />スケールは 100μm。ビオチン・デキストランのDAB反応。暗視野顕微鏡像。 | [[Image:terminal2OVLT-scale.jpg|thumb|300px|'''図5.脳弓下器官から終板器官への投射終末(ラット)'''<br />スケールは 100μm。ビオチン・デキストランのDAB反応。暗視野顕微鏡像。 | ||
<br>佐賀大学医学部河野史教授 恵与]] | <br>佐賀大学医学部河野史教授 恵与]] | ||
脳室内および脳組織を満たす[[脳脊髄液]]と、[[wikipedia:ja:血液|血液]]の間では物質交換を制限する機構があり、[[血液脳関門]] | 脳室内および脳組織を満たす[[脳脊髄液]]と、[[wikipedia:ja:血液|血液]]の間では物質交換を制限する機構があり、[[血液脳関門]]([[Blood-Brain Barrier|blood-brain barrier]], [[BBB]])と呼ばれる。脳室の周囲には脳室周囲器官という神経内[[分泌]]系や自律神経の中枢が存在するが、血液脳関門は脳室周囲器官には存在しない。これは、これらの組織が分泌する[[wikipedia:ja:ホルモン|ホルモン]]などの物質を全身に運ぶ必要があるためである。[[視床下部]]には[[終板器官]] (organum vasculosum of the lamina terminalis, OVLT)、[[脳弓#脳弓下器官|脳弓下器官]] (subfornical organ, SFO)、[[視索前野]] (preoptic area)がありお互いにネットワークを作りながら機能している。例えば[[室傍核]](paraventricular nucleus:PVN)は第三脳室に面しており、[[バゾプレッシン]]や[[オキシトシン]]を産生する[[神経分泌ニューロン]]の[[軸索]]を[[下垂体後葉]]に投射し, [[神経内分泌]]系の調節を担っている | ||
<ref name="ref1"><pubmed> 3031348 </pubmed></ref> | <ref name="ref1"><pubmed> 3031348 </pubmed></ref> | ||
<ref name="ref2"><pubmed> 8511332 </pubmed></ref>。 | <ref name="ref2"><pubmed> 8511332 </pubmed></ref>。 | ||
53行目: | 63行目: | ||
<references/> | <references/> | ||