「DISC1」の版間の差分

3 バイト追加 、 2014年3月26日 (水)
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 上記の細胞内局在のうち、中心体や微小管、[[成長円錐]]への局在は、神経細胞の増殖や移動、[[樹状突起]]形成、[[軸索]]伸長といった、DISC1の神経発生過程での機能を示唆する。実際に、発達段階でのDISC1の機能阻害により、神経細胞の増殖の低下/早熟な神経への[[分化]]<ref name=ref20 /><ref name=ref25 />、大脳新皮質<ref name=ref6 /><ref><pubmed> 20807500 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22099458 </pubmed></ref>と海馬<ref><pubmed> 19502360 </pubmed></ref><ref><pubmed> 21540240 </pubmed></ref>の神経細胞移動の遅れ、樹状突起形成の障害<ref><pubmed> 20188653 </pubmed></ref>、軸索伸長の障害<ref name=ref32 /><ref name=ref13 /><ref name=ref34 /><ref name=ref35 />が起きることが報告されている。ただし、成体での海馬[[歯状回]]における、新生神経細胞については、DISC1の機能阻害により、むしろ神経細胞の過剰な移動が生じる<ref name=ref47><pubmed> 17825401 </pubmed></ref><ref name=ref28 /><ref name=ref27 />。この過剰な移動は神経細胞層への組み込み(integration)の阻害を反映する可能性もある<ref name=ref47 />。
 上記の細胞内局在のうち、中心体や微小管、[[成長円錐]]への局在は、神経細胞の増殖や移動、[[樹状突起]]形成、[[軸索]]伸長といった、DISC1の神経発生過程での機能を示唆する。実際に、発達段階でのDISC1の機能阻害により、神経細胞の増殖の低下/早熟な神経への[[分化]]<ref name=ref20 /><ref name=ref25 />、大脳新皮質<ref name=ref6 /><ref><pubmed> 20807500 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22099458 </pubmed></ref>と海馬<ref><pubmed> 19502360 </pubmed></ref><ref><pubmed> 21540240 </pubmed></ref>の神経細胞移動の遅れ、樹状突起形成の障害<ref><pubmed> 20188653 </pubmed></ref>、軸索伸長の障害<ref name=ref32 /><ref name=ref13 /><ref name=ref34 /><ref name=ref35 />が起きることが報告されている。ただし、成体での海馬[[歯状回]]における、新生神経細胞については、DISC1の機能阻害により、むしろ神経細胞の過剰な移動が生じる<ref name=ref47><pubmed> 17825401 </pubmed></ref><ref name=ref28 /><ref name=ref27 />。この過剰な移動は神経細胞層への組み込み(integration)の阻害を反映する可能性もある<ref name=ref47 />。


 また、シナプスへの局在やシナプス関連分子との結合から、DISC1はシナプスの維持や制御に関わると考えられている。DISC1の機能阻害により、短期的には樹状突起[[スパイン]]の数と大きさが増加し、長期的にはスパインが小さくなる<ref name=ref30 />。この際、DISC1は、カリリン-7([[Rac1]]の[[GDP/GTP exchange factor]]、[[GEF]])と結合して[[NMDAグルタミン酸受容体]]の活性化によって起きるRac1の活性化を調節してシナプスを制御する。DISC1はTNIKとの結合によってもシナプスの維持に関わると考えられている<ref name=ref31 />。
 また、シナプスへの局在やシナプス関連分子との結合から、DISC1はシナプスの維持や制御に関わると考えられている。DISC1の機能阻害により、短期的には樹状突起[[スパイン]]の数と大きさが増加し、長期的にはスパインが小さくなる<ref name=ref30 />。この際、DISC1は、カリリン-7([[Rac1]]の[[GDP/GTP exchange factor]]、[[GEF]])と結合して[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の活性化によって起きるRac1の活性化を調節してシナプスを制御する。DISC1はTNIKとの結合によってもシナプスの維持に関わると考えられている<ref name=ref31 />。


== DISC1の修飾と機能への影響 ==
== DISC1の修飾と機能への影響 ==