「カタトニア」の版間の差分

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===カールバウムのカタトニア===
===カールバウムのカタトニア===
(1)
 カールバウムは、従来弛緩性メランコリーと呼ばれていた状態(無言、無動、一点凝視、カタレプシー、蠟屈症などを示す)に注目し、その経過を入念に観察し、1874年“Die Katatonie oder das Spannungsirresein”を記し、カタトニアの概念を、以下のように定義した<ref name=ref1>'''Kahlbaum KL'''<br>Die Katatnonie oder das Spannugsirresein. <br>Berline: Verlag August Hirshwald, 1987 <br>(渡辺哲夫訳 緊張病 星和書店 1979)</ref>。
 
 カールバウムは、従来弛緩性メランコリーと呼ばれていた状態(無言、無動、一点凝視、カタレプシー、蠟屈症などを示す)に注目し、その経過を入念に観察し、1874年“Die Katatonie oder das Spannungsirresein”を記し、カタトニアの概念を、以下のように定義した。


 “カタトニアは循環性に変遷する経過をたどる大脳疾患である。精神的な症状として、メランコリー、マニー、昏迷、錯乱そして最終的な精神荒廃という一連の病像を順次呈するが、その際、精神病像全体のなかでひとつ、あるいはいくつかの病像が欠けることもある。そして、本疾患においては、精神的な諸症状と並んで、痙攣という一般的な特性を伴った運動性神経系における諸事象が本質的な症状として出現してくる”
 “カタトニアは循環性に変遷する経過をたどる大脳疾患である。精神的な症状として、メランコリー、マニー、昏迷、錯乱そして最終的な精神荒廃という一連の病像を順次呈するが、その際、精神病像全体のなかでひとつ、あるいはいくつかの病像が欠けることもある。そして、本疾患においては、精神的な諸症状と並んで、痙攣という一般的な特性を伴った運動性神経系における諸事象が本質的な症状として出現してくる”
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|+ 表1.カタトニア評価尺度(6)
|+ 表1.カタトニア評価尺度<ref name=ref6><pubmed>8686483</pubmed></ref>
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|+ 表2.カタトニアの診察(6)
|+ 表2.カタトニアの診察<ref name=ref6><pubmed>8686483</pubmed></ref>
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*ここで書かれている方法はカタトニア評価尺度を完成させるために使われる。
*ここで書かれている方法はカタトニア評価尺度を完成させるために使われる。
*評価は、診察中に観察された行動の基づき行われる。ただし、“自閉”と“自律神経異常”の項目は観察された行動かカルテ記載に基づき行われる。
*評価は、診察中に観察された行動の基づき行われる。ただし、“自閉”と“自律神経異常”の項目は観察された行動かカルテ記載に基づき行われる。
*明確にみられた場合のみ評価し、もしはっきりしない場合は“0”と評価する。
*明確にみられた場合のみ評価し、もしはっきりしない場合は“0”と評価する。
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|手順1. 会話しようとしている患者を観察する。<br>
|手順1. 会話しようとしている患者を観察する。<br>
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*本文では、カールバウムが着目した広い概念での緊張病についてカタトニアと記載し、早発性痴呆(統合失調症)の緊張型と区別して用いた。
*本文では、カールバウムが着目した広い概念での緊張病についてカタトニアと記載し、早発性痴呆(統合失調症)の緊張型と区別して用いた。


**本文では、割愛したが、ウェルニッケ-クライスト-レオンハルト学派の緊張病及び否定形精神病概念も、カタトニア理解においては重要なものであると思われる(7)。
**本文では、割愛したが、ウェルニッケ-クライスト-レオンハルト学派の緊張病及び否定形精神病概念も、カタトニア理解においては重要なものであると思われる<ref name=ref7>'''Karl Leonhard, Helmut Beckmann,C.H. Cahn'''<br>Classification of Endogenous Psychoses and their Differentiated Etiology. <br>New York City, US: Springer.,1999<br>(福田哲雄, 林拓二,岩波明訳 内因性精神病の分類 医学書院 2002)</ref>。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references />
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