「境界性パーソナリティ障害」の版間の差分

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 その診断に該当するのは、次のようなケースである。ここには、境界性パーソナリティ障害に特徴的な感情・対人関係の不安定さ、衝動性が顕れている。
 その診断に該当するのは、次のようなケースである。ここには、境界性パーソナリティ障害に特徴的な感情・対人関係の不安定さ、衝動性が顕れている。


  症例 Aさん 27歳,女性
症例 Aさん 27歳,女性
  Aさんは、「怒ると止まらなくなる。自分でもそれが怖い」ということを主訴として母親と共に受診した。彼女の激しい怒りは、主に母と夫に向けられる。怒りは2-3時間で収束することが多いが、著しい興奮が持続すると、家具を壊したり、自らの四肢を包丁で刺したり、自分から110番をしてパトカーを呼んだりという行動に至る。その後,2児の母である彼女は、「自分のせいで子どもがちゃんと育たない」といった後悔や自己嫌悪に苛まれる。このような著しい気分の変動のせいで、「苦痛を忘れるため」に鎮痛剤の過量服薬を行うことがある。生活は不規則になりがちであるが、時折母親の支援を必要とするものの、家事をこなすことはできている。


  境界性パーソナリティ障害については、現在多くの臨床的実践が蓄積されつつあり、また、精神療法的研究などの臨床的研究、生物学的研究が活発に行われている<ref>'''Gunderson JG, Weinberg I, Choi-Kain L.'''<br>Borderline Personality Disorder. <br>''FOCUS''. 2013;11(2):129-145.</ref>。
 Aさんは、「怒ると止まらなくなる。自分でもそれが怖い」ということを主訴として母親と共に受診した。彼女の激しい怒りは、主に母と夫に向けられる。怒りは2-3時間で収束することが多いが、著しい興奮が持続すると、家具を壊したり、自らの四肢を包丁で刺したり、自分から110番をしてパトカーを呼んだりという行動に至る。その後,2児の母である彼女は、「自分のせいで子どもがちゃんと育たない」といった後悔や自己嫌悪に苛まれる。このような著しい気分の変動のせいで、「苦痛を忘れるため」に鎮痛剤の過量服薬を行うことがある。生活は不規則になりがちであるが、時折母親の支援を必要とするものの、家事をこなすことはできている。
 
 境界性パーソナリティ障害については、現在多くの臨床的実践が蓄積されつつあり、また、精神療法的研究などの臨床的研究、生物学的研究が活発に行われている<ref>'''Gunderson JG, Weinberg I, Choi-Kain L.'''<br>Borderline Personality Disorder. <br>''FOCUS''. 2013;11(2):129-145.</ref>。


==歴史的概観==
==歴史的概観==