「SNARE複合体」の版間の差分

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 SNAREタンパク質は概して[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]100~300位からなる小さなタンパク質で、分子内に約60アミノ酸からなるSNAREモチーフを持っている。SNAREモチーフには[[heptad repeat]]と呼ばれる7アミノ酸の繰り返し構造がある(図2)。Heptad repeatを構成する7つのアミノ酸残基をa~gとした時、aとdの位置には[[ロイシン]]、[[イソロイシン]]、[[バリン]]などの[[wikipedia:ja:疎水性アミノ酸|疎水性アミノ酸]]が、他の部位には主に[[wikipedia:ja:親水性アミノ酸|親水性アミノ酸]]が配置されている。Heptad repeatを持つポリペプチド鎖が[[wikipedia:ja:ヘリックス|ヘリックス]]構造を取ると、へリックスの片側に疎水性残基が帯状に連なるため、heptad repeatを持つ他のへリックスと疎水性面を介して会合しコイルドコイル複合体を作る。
 SNAREタンパク質は概して[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]100~300位からなる小さなタンパク質で、分子内に約60アミノ酸からなるSNAREモチーフを持っている。SNAREモチーフには[[heptad repeat]]と呼ばれる7アミノ酸の繰り返し構造がある(図2)。Heptad repeatを構成する7つのアミノ酸残基をa~gとした時、aとdの位置には[[ロイシン]]、[[イソロイシン]]、[[バリン]]などの[[wikipedia:ja:疎水性アミノ酸|疎水性アミノ酸]]が、他の部位には主に[[wikipedia:ja:親水性アミノ酸|親水性アミノ酸]]が配置されている。Heptad repeatを持つポリペプチド鎖が[[wikipedia:ja:ヘリックス|ヘリックス]]構造を取ると、へリックスの片側に疎水性残基が帯状に連なるため、heptad repeatを持つ他のへリックスと疎水性面を介して会合しコイルドコイル複合体を作る。


 シナプス膜での開口放出に関わるSNAREタンパク質であるシンタキシン1はイソロイシン202 –Tyr257、シナプトブレビン2はロイシン32 –Lys87、SNAP-25はThr29 –フェニルアラニン84およびロイシン150 –Ser205の2か所にSNAREモチーフが存在し、それぞれheptad repeat が8回繰り返されている。SNAREタンパク質はSNAREモチーフを介して会合し、4本のへリックスからなるヘテロ複合体であるSNARE複合体を形成する<ref name=ref5 />(図3)。
 シナプス膜での開口放出に関わるSNAREタンパク質であるシンタキシン1はイソロイシン202 –チロシン257、シナプトブレビン2はロイシン32 –リシン87、SNAP-25はトレオニン29 –フェニルアラニン84およびロイシン150 –セリン205の2か所にSNAREモチーフが存在し、それぞれheptad repeat が8回繰り返されている。SNAREタンパク質はSNAREモチーフを介して会合し、4本のへリックスからなるヘテロ複合体であるSNARE複合体を形成する<ref name=ref5 />(図3)。


 SNAREモチーフではaおよびdの位置にくるアミノ酸側鎖は複合体の内側に向いており、疎水性結合で結ばれたレイヤー面を構成する(図4)。SNAREモチーフではaとdの位置にロイシン、イソロイシン、バリン以外の残基も見られ、[[フェニルアラニン]]のようにかさばる残基がくる場合には、同じレイヤー面の他のへリックスでは[[アラニン]]になる。SNAREモチーフではモチーフの中央付近にある4つ目のheptad repeatのd位は正電荷をもつ[[アルギニン]]か親水性の[[グルタミン]]であるという顕著な特徴を持っており、これらの残基を含む面を0レイヤーと呼んでいる。0レイヤーにアルギニン(R)を供出するSNAREをR-SNAREと呼び、グルタミン(Q)を供出するSNAREをQ-SNAREと呼んでいる。シナプス膜ではシナプトブレビン2がR-SNAREで、シンタキシン1とSNAP-25の二つのSNAREモチーフがQ-SNAREである。SNARE複合体ではSNAREモチーフを持つ4つのへリックスのN末端が同じ方向に向くように配置されている(図3)。
 SNAREモチーフではaおよびdの位置にくるアミノ酸側鎖は複合体の内側に向いており、疎水性結合で結ばれたレイヤー面を構成する(図4)。SNAREモチーフではaとdの位置にロイシン、イソロイシン、バリン以外の残基も見られ、[[フェニルアラニン]]のようにかさばる残基がくる場合には、同じレイヤー面の他のへリックスでは[[アラニン]]になる。SNAREモチーフではモチーフの中央付近にある4つ目のheptad repeatのd位は正電荷をもつ[[アルギニン]]か親水性の[[グルタミン]]であるという顕著な特徴を持っており、これらの残基を含む面を0レイヤーと呼んでいる。0レイヤーにアルギニン(R)を供出するSNAREをR-SNAREと呼び、グルタミン(Q)を供出するSNAREをQ-SNAREと呼んでいる。シナプス膜ではシナプトブレビン2がR-SNAREで、シンタキシン1とSNAP-25の二つのSNAREモチーフがQ-SNAREである。SNARE複合体ではSNAREモチーフを持つ4つのへリックスのN末端が同じ方向に向くように配置されている(図3)。