「電気けいれん療法」の版間の差分

21行目: 21行目:


 その後、統合失調症患者への薬剤誘発けいれんによる治療が試みられ、けいれん誘発物質として初期には[[カンフル]]([[樟脳]])やカルジオゾールがよく用いられた。なお、当時の統合失調症概念は幅広く、近年Baranらは、これらの統合失調症の薬剤誘発によるけいれん療法が行われた23症例の報告について、現在の診断基準から診断の見直しを行ったところ、[[統合失調感情障害]]、精神病性の特徴を持つ[[気分障害]]などが含まれており、統合失調症よりもそれらの疾患に有効性が高かった可能性が推察されている<ref name=ref2><pubmed>22230354</pubmed></ref>。
 その後、統合失調症患者への薬剤誘発けいれんによる治療が試みられ、けいれん誘発物質として初期には[[カンフル]]([[樟脳]])やカルジオゾールがよく用いられた。なお、当時の統合失調症概念は幅広く、近年Baranらは、これらの統合失調症の薬剤誘発によるけいれん療法が行われた23症例の報告について、現在の診断基準から診断の見直しを行ったところ、[[統合失調感情障害]]、精神病性の特徴を持つ[[気分障害]]などが含まれており、統合失調症よりもそれらの疾患に有効性が高かった可能性が推察されている<ref name=ref2><pubmed>22230354</pubmed></ref>。
 
 
 精神症状に対し治療効果のある確実なけいれんを誘発するために、けいれんを惹起する薬剤ではなく電気刺激による脳への通電を用いる方法は、1938年にイタリアの[[wj:ウーゴ・チェルレッティ|Cerletti]]らによりはじめて報告された。彼らは通電することにより動物にけいれんが誘発されることからアイデアを得て、統合失調症患者に対して電気による脳への通電を行うことでけいれんを誘発したところ、10~20回の通電治療の後で精神症状に有効であることを確認し、これにより精神疾患治療としてのECTが見出された<ref name=ref3><pubmed>15432756</pubmed></ref>。
 精神症状に対し治療効果のある確実なけいれんを誘発するために、けいれんを惹起する薬剤ではなく電気刺激による脳への通電を用いる方法は、1938年にイタリアの[[wj:ウーゴ・チェルレッティ|Cerletti]]らによりはじめて報告された。彼らは通電することにより動物にけいれんが誘発されることからアイデアを得て、統合失調症患者に対して電気による脳への通電を行うことでけいれんを誘発したところ、10~20回の通電治療の後で精神症状に有効であることを確認し、これにより精神疾患治療としてのECTが見出された<ref name=ref3><pubmed>15432756</pubmed></ref>。