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バスケット細胞とは、海馬、大脳皮質、小脳皮質にあるGABA作動性介在細胞である。元々はネコやサルの大脳皮質で見つかり、軸索が標的細胞の細胞体をバスケット状に取り囲むことからバスケット細胞と命名された<ref name="ref1">'''Ramón y Cajal S'''<br>Histologie du Système Nerveux de l’Homme et des Vertébrés. <br>Tome II. Maloine, Paris, 1911, P997</ref>。ラットなどの齧歯類の脳では、バスケット状の軸索を持つ同様の神経細胞は見出せなかった。軸索の神経終末の多くが(15 - 40%)標的細胞の細胞体と樹状突起基部に存在するものをバスケット細胞とした。大脳皮質や海馬では錐体細胞、小脳においてはプルキンエ細胞にシナプスを主に形成する。バスケット細胞の樹状突起は、多極で複雑に広がっている。大脳皮質や海馬では、カルシウム結合タンパク質であるパルブアルブミンや、神経ペプチドの一種のコレシストキニンを発現している。 | |||
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=== 大脳皮質 === | === 大脳皮質 === | ||
[[Image:バスケット細胞1.jpg|thumb|300px|'''図1.大脳皮質のバスケット細胞'''<br>LBC,ラージバスケット、SBC,スモールバスケット、FS-BC, Fast-spiking型バスケット細胞。黒,樹状突起、赤,軸索。(生理学研究所・大脳神経回路論研究部門)。]] | [[Image:バスケット細胞1.jpg|thumb|300px|'''図1.大脳皮質のバスケット細胞'''<br>LBC,ラージバスケット、SBC,スモールバスケット、FS-BC, Fast-spiking型バスケット細胞。黒,樹状突起、赤,軸索。(生理学研究所・大脳神経回路論研究部門)。]] | ||
大脳皮質のバスケット細胞は、[[大型バスケット細胞]]と[[小型バスケット細胞]]に大きく分類される(図1)。 | |||
==== 大型バスケット細胞==== | ==== 大型バスケット細胞==== | ||
[[大型バスケット細胞]]の細胞体は、直径20- | [[大型バスケット細胞]]の細胞体は、直径20-30 μm程度の大きさがあり、[[棘突起]](spine)があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索は、水平・垂直方向に~1000μm程度まで広がっている。 | ||
==== 小型バスケット細胞==== | ==== 小型バスケット細胞==== | ||
小型バスケット細胞は、直径が~20 μm程度の小さな細胞体を持ち、棘突起があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索の走行は局所的に密度が高く、大脳皮質では一つの層に限局される。大型バスケット細胞とは異なり、軸索の走行は水平方向には300 μm程度に留まる。 | |||
また、最近では小型バスケット細胞のように局所的に密度が高い軸索走行と長距離を走行する軸索の両方を持つ[[ネストバスケット細胞]]<ref name="ref2"><pubmed>11884355</pubmed></ref>を加えて3種類に分類されこともある。 | |||
=== 海馬 === | === 海馬 === | ||
海馬の歯状回にあるバスケット細胞は、樹状突起の走行や細胞体の形状から | |||
# [[錐体バスケット細胞]] | |||
# [[紡錘状バスケット細胞|fusiform(紡錘状)バスケット細胞]] | |||
# [[水平バスケット細胞]] | |||
# [[Inverted fusiformバスケット細胞]] | |||
# [[分子層バスケット細胞|molecular layer(分子層)バスケット細胞]] | |||
の少なくとも5種類の細胞タイプに分類することができる<ref name="ref3"><pubmed>6619905</pubmed></ref>。 | |||
=== 化学物質の発現 === | === 化学物質の発現 === | ||
[[Image:バスケット細胞2.jpg|thumb|200px|'''図2.大脳皮質のdescendingバスケット細胞'''<br> | [[Image:バスケット細胞2.jpg|thumb|200px|'''図2.大脳皮質のdescendingバスケット細胞'''<br> | ||
<ref name=ref4 />より抜粋。]] | <ref name=ref4 />より抜粋。]] | ||
[[ | [[wj:ラット|ラット]]の大脳皮質においては、大型バスケット細胞やネストバスケット細胞の約50%はパルブアルブミン(parvalbumin)の[[mRNA]]を発現している。しかし、小型バスケット細胞は、5%程度しかパルブアルブミンを発現しておらず、70%程度の細胞でコレシストキニン(cholecystokinin)を発現している<ref name="ref2" />。また、下降性の軸索を持つdescending basket細胞という細胞も報告されているが(図2)、この細胞は[[血管作動性腸管ペプチド]] ([[vasoactive intestinal polypeptide]], [[VIP]])や[[副腎皮質刺激ホルモン放出因子]] ([[corticotropin releasing factor]], [[CRF]])を発現している<ref name="ref4"><pubmed>15044524</pubmed></ref>。 | ||
海馬においてもバスケット細胞は、パルブアルブミンやコレシストキニンを発現している。 | 海馬においてもバスケット細胞は、パルブアルブミンやコレシストキニンを発現している。 | ||
=== 発火特性 === | === 発火特性 === |