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=== がん疼痛におけるオピオイド投与の有効性 === | === がん疼痛におけるオピオイド投与の有効性 === | ||
近年「がんの患者に早期から疼痛緩和ケアを導入すると、生存期間が延長する」という注目すべき研究結果が発表された<ref name="ref11"><pubmed>20818875</pubmed></ref>。がん疼痛は、がんによる知覚神経終末の刺激を伴う侵害受容性疼痛とがんによる神経の圧迫や浸潤に伴って引き起こされる神経障害性疼痛に大別され、それらが複合的に生じる。がん性疼痛治療のなかでオピオイドはもっとも重要な薬剤であり、他の鎮痛薬と同じように「痛み」に対して使用を躊躇することがあってはならない。がん疼痛の治療にあたっては、基本的にWHOの[[三段階がん疼痛治療指針]]に従って行うべきである。WHOの三段階がん疼痛治療指針は、痛みの強さによって選択するという原則があることを忘れてはならない。がん疼痛の治療にあたっては、痛みの強さや治療による痛みの消長について患者が感じていることに積極的に耳を傾けることが重要である。患者の訴えと医療側の考えに大きな差があるときは、処方内容をどう改訂したかを患者に知らせ、その結果の除痛状態を必ず患者に聞くことを心がける。 | |||
一方、このがん疼痛の約30%に認められる神経障害性疼痛は、モルヒネをはじめとするオピオイド鎮痛薬が効きにくいことが多く、臨床上問題となる。一方、モルヒネは神経障害性疼痛下においても、脊髄腔内投与では十分な鎮痛効果をもたらす可能性が高い。 | 一方、このがん疼痛の約30%に認められる神経障害性疼痛は、モルヒネをはじめとするオピオイド鎮痛薬が効きにくいことが多く、臨床上問題となる。一方、モルヒネは神経障害性疼痛下においても、脊髄腔内投与では十分な鎮痛効果をもたらす可能性が高い。 | ||
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=== 副作用 === | === 副作用 === | ||
==== 嘔気・嘔吐 ==== | ==== 嘔気・嘔吐 ==== | ||
延髄[[第四脳室]]底にある[[化学受容器引き金帯]] | 延髄[[第四脳室]]底にある[[化学受容器引き金帯]](CTZ)には[[ドパミン受容体]]が存在する。オピオイドはこの受容体を活性化させ(おそらくドパミン遊離作用による間接的修飾)、化学受容器引き金帯を直接刺激し、その刺激が延髄にある[[嘔吐中枢]](VC)に伝わり、嘔気・嘔吐を起こす。また、[[前庭器]]を刺激して過敏にさせ、これが 化学受容器引き金帯を間接的に刺激し、嘔吐中枢 に伝達されて嘔気・嘔吐を起こす。さらに、オピオイドが[[wj:胃前庭部|胃前庭部]]を緊張させるため、その運動性が低下して胃内容物の停留が起こる。この停留による胃内圧増大が[[求心性神経]]を介して 化学受容器引き金帯、嘔吐中枢を刺激し、嘔気・嘔吐を起こす。 | ||
==== 便秘 ==== | ==== 便秘 ==== |