「モノアシルグリセロールリパーゼ」の版間の差分

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 脂肪細胞など細胞内にTGを貯蔵している細胞においては、空腹時などにはTGが分解されDGを経てMGが蓄積する。MGLはそれをさらに脂肪酸とグリセロールにまで分解する。
 脂肪細胞など細胞内にTGを貯蔵している細胞においては、空腹時などにはTGが分解されDGを経てMGが蓄積する。MGLはそれをさらに脂肪酸とグリセロールにまで分解する。


[[ファイル:Shosaku MGL Fig4.png|サムネイル|'''図4. 2-AGによるシナプス伝達調節''']]
==== エンドカンナビノイド2-AGの分解 ====
==== エンドカンナビノイド2-AGの分解 ====
 神経活動により細胞内Ca2+濃度上昇やGq/11共役型受容体の活性化が起こると、それぞれ単独または両者の相乗効果により2-AGが生成され細胞外に放出される<ref name=Hashimotodani2005><pubmed>15664177</pubmed></ref>('''図4''')。生合成に関与する酵素であるホスホリパーゼCβ(PLCβ)やジアシルグリセロールリパーゼα(DGLα)はシナプス後側にあり、2-AGはシナプス後ニューロンより放出される。放出された2-AGはシナプス前終末のCB1受容体に結合し神経伝達物質の放出を抑制する。このような2-AGによるシナプス伝達調節機構は脳の多くの領域でみられ、記憶・学習、不安、痛みなど様々な脳機能に関与している。2-AGには、伝達物質の放出抑制およびその他のメカニズムを介して、脳を保護する作用もある。さらに、2-AGはCB2受容体にも作用する。CB2受容体は主にマクロファージなどの免疫系の細胞に多く発現されており、2-AGはCB2受容体を介して免疫系にも影響をおよぼす。
 神経活動により細胞内Ca2+濃度上昇やGq/11共役型受容体の活性化が起こると、それぞれ単独または両者の相乗効果により2-AGが生成され細胞外に放出される<ref name=Hashimotodani2005><pubmed>15664177</pubmed></ref>('''図4''')。生合成に関与する酵素であるホスホリパーゼCβ(PLCβ)やジアシルグリセロールリパーゼα(DGLα)はシナプス後側にあり、2-AGはシナプス後ニューロンより放出される。放出された2-AGはシナプス前終末のCB1受容体に結合し神経伝達物質の放出を抑制する。このような2-AGによるシナプス伝達調節機構は脳の多くの領域でみられ、記憶・学習、不安、痛みなど様々な脳機能に関与している。2-AGには、伝達物質の放出抑制およびその他のメカニズムを介して、脳を保護する作用もある。さらに、2-AGはCB2受容体にも作用する。CB2受容体は主にマクロファージなどの免疫系の細胞に多く発現されており、2-AGはCB2受容体を介して免疫系にも影響をおよぼす。