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 生理的機能に関しては未解明の点が多いものの、分子系統解析では本遺伝子は[[真核生物]]の進化初期に出現し、[[哺乳類]]を含む広範な生物種で保存されていることから、生物学的に重要な役割を担うと想定されている<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref>。特に、C9orf72タンパク質はdifferentially expressed in normal and neoplastic cells (DENN)ドメインを有し、本ドメインを有する一群のタンパク質は[[Rabファミリー]]を中心とした[[低分子量Gタンパク質]]の活性制御に関与することから、[[小胞輸送]]や[[オートファジー]]との関連が注目されている。近年では、[[自然免疫応答]]の制御機能についても示唆されている<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref>。
 生理的機能に関しては未解明の点が多いものの、分子系統解析では本遺伝子は[[真核生物]]の進化初期に出現し、[[哺乳類]]を含む広範な生物種で保存されていることから、生物学的に重要な役割を担うと想定されている<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref>。特に、C9orf72タンパク質はdifferentially expressed in normal and neoplastic cells (DENN)ドメインを有し、本ドメインを有する一群のタンパク質は[[Rabファミリー]]を中心とした[[低分子量Gタンパク質]]の活性制御に関与することから、[[小胞輸送]]や[[オートファジー]]との関連が注目されている。近年では、[[自然免疫応答]]の制御機能についても示唆されている<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref>。


 C9orf72遺伝子連鎖性ALS/FTD(C9-ALS/FTD)の病態メカニズムに関しては、当初、GGGGCCリピート伸長変異による遺伝子機能の喪失や、転写された異常伸長リピート配列を含む変異RNA(リピートRNA)による毒性が想定されていた。しかし2013年に、リピートRNAから非古典的な[[リピート関連非AUG依存性翻訳]](repeat-associated non-AUG, [[RAN翻訳]])によって病的な[[ジペプチドリピートペプチドタンパク質]]([[dipeptide repeat protein]], [[DPR]])が産生され、実際にDPRが患者脳に蓄積することが明らかになり、現在ではこれら3つの病態メカニズムが協調的に神経変性病態に寄与すると考えられている<ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>[6]
 C9orf72遺伝子連鎖性ALS/FTD(C9-ALS/FTD)の病態メカニズムに関しては、当初、GGGGCCリピート伸長変異による遺伝子機能の喪失や、転写された異常伸長リピート配列を含む変異RNA(リピートRNA)による毒性が想定されていた。しかし2013年に、リピートRNAから非古典的な[[リピート関連非AUG依存性翻訳]](repeat-associated non-AUG, [[RAN翻訳]])によって病的な[[ジペプチドリピートペプチドタンパク質]]([[dipeptide repeat protein]], [[DPR]])が産生され、実際にDPRが患者脳に蓄積することが明らかになり、現在ではこれら3つの病態メカニズムが協調的に神経変性病態に寄与すると考えられている<ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>。
[[ファイル:Nagai C9orf72 Fig1.jpg|サムネイル|'''図1. C9orf72遺伝子, 転写産物, タンパク質'''<br>C9orf72遺伝子は12のエクソンから構成され、このうちエクソン2~11がタンパク質をコードする。GGGGCCリピート配列はエクソン1aと1bの間の非翻訳領域に存在する。3種類の転写産物と2種類のタンパク質アイソフォームが存在し、Variant 1はショートアイソフォームに、Variant2および3はロングアイソフォームにそれぞれ翻訳される。Variant 1およびVariant 3はGGGGCCリピート配列を含む。ロングアイソフォームにはDENNドメインが含まれる。]]
[[ファイル:Nagai C9orf72 Fig1.jpg|サムネイル|'''図1. C9orf72遺伝子, 転写産物, タンパク質'''<br>C9orf72遺伝子は12のエクソンから構成され、このうちエクソン2~11がタンパク質をコードする。GGGGCCリピート配列はエクソン1aと1bの間の非翻訳領域に存在する。3種類の転写産物と2種類のタンパク質アイソフォームが存在し、Variant 1はショートアイソフォームに、Variant2および3はロングアイソフォームにそれぞれ翻訳される。Variant 1およびVariant 3はGGGGCCリピート配列を含む。ロングアイソフォームにはDENNドメインが含まれる。]]


== 構造 ==
== 構造 ==
=== 遺伝子 ===
=== 遺伝子 ===
 ヒトでは染色体9p21.2に存在する41kbの遺伝子で、12の[[エクソン]](エクソン 1a、1b、2~11)から構成される<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref>[5]<ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>。翻訳開始に利用されるATGコドンはエクソン2に存在し、エクソン2~11がC9orf72タンパク質をコードする。エクソン1aおよび1bはタンパク質をコードしない非翻訳領域である。ALS, FTDと関連するGGGGCCリピート配列は、エクソン1aと1bの間の非翻訳領域に存在する('''図1''')<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref><ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>。
 ヒトでは染色体9p21.2に存在する41kbの遺伝子で、12の[[エクソン]](エクソン 1a、1b、2~11)から構成される<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref><ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>。翻訳開始に利用されるATGコドンはエクソン2に存在し、エクソン2~11がC9orf72タンパク質をコードする。エクソン1aおよび1bはタンパク質をコードしない非翻訳領域である。ALS, FTDと関連するGGGGCCリピート配列は、エクソン1aと1bの間の非翻訳領域に存在する('''図1''')<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref><ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>。


=== 転写産物 ===
=== 転写産物 ===
 複数の[[転写開始点]]および[[転写終結点]]を有し、転写産物については3種類のバリアントが報告されている。Variant 1(V1)はエクソン1a、2~5から構成される短鎖転写産物である。Variant 2(V2)はエクソン1b、2~11、Variant 3(V3)はエクソン1a、2~11から構成される長鎖転写産物である<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref>[5]<ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>[6]。GGGGCCリピート配列は、V1およびV3ではイントロン領域に存在する一方で、V2では転写開始点直上流に存在し、転写産物自体には含まれない('''図1''')<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref>[5]<ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>[6]
 複数の[[転写開始点]]および[[転写終結点]]を有し、転写産物については3種類のバリアントが報告されている。Variant 1(V1)はエクソン1a、2~5から構成される短鎖転写産物である。Variant 2(V2)はエクソン1b、2~11、Variant 3(V3)はエクソン1a、2~11から構成される長鎖転写産物である<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref><ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>。GGGGCCリピート配列は、V1およびV3ではイントロン領域に存在する一方で、V2では転写開始点直上流に存在し、転写産物自体には含まれない('''図1''')<ref name=Smeyers2021><pubmed>34025358</pubmed></ref><ref name=Balendra2018><pubmed>30120348</pubmed></ref>。


=== タンパク質 ===
=== タンパク質 ===
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 C9orf72タンパク質もまた、ヒトのほとんどの組織で発現している。マウスを用いた解析では、脳、脊髄、および脾臓で特に高い発現を認めている<ref name=Frick2018><pubmed>30075745</pubmed></ref>。
 C9orf72タンパク質もまた、ヒトのほとんどの組織で発現している。マウスを用いた解析では、脳、脊髄、および脾臓で特に高い発現を認めている<ref name=Frick2018><pubmed>30075745</pubmed></ref>。


 [[培養細胞]]では、C9orf72タンパク質は[[リソソーム]]と共局在することが報告されている<ref name=Laflamme2019><pubmed>31612854</pubmed></ref>。[[ヒト]]脳組織における免疫組織化学では、ショートアイソフォームが主に[[神経細胞]]の[[核膜]]に分布する一方で、ロングアイソフォームは細胞質全体に広く分布し、[[神経突起]]や[[細胞体]]に点状構造を形成することが確認されている<ref name=Xiao2015><pubmed>26174152</pubmed></ref>。また、ヒト[[iPS細胞]]由来[[運動ニューロン]]を用いた検討により、C9orf72タンパク質がシナプス小胞にも局在することが示唆されている<ref name=Frick2018><pubmed>30075745</pubmed></ref>[11]
 [[培養細胞]]では、C9orf72タンパク質は[[リソソーム]]と共局在することが報告されている<ref name=Laflamme2019><pubmed>31612854</pubmed></ref>。[[ヒト]]脳組織における免疫組織化学では、ショートアイソフォームが主に[[神経細胞]]の[[核膜]]に分布する一方で、ロングアイソフォームは細胞質全体に広く分布し、[[神経突起]]や[[細胞体]]に点状構造を形成することが確認されている<ref name=Xiao2015><pubmed>26174152</pubmed></ref>。また、ヒト[[iPS細胞]]由来[[運動ニューロン]]を用いた検討により、C9orf72タンパク質がシナプス小胞にも局在することが示唆されている<ref name=Frick2018><pubmed>30075745</pubmed></ref>。
== 機能 ==
== 機能 ==
 DENNファミリータンパク質の1つであるC9orf72タンパク質は、同じくDENNドメインを有する[[Smith-Magenis chromosome region 8]] ([[SMCR8]])および[[足場タンパク質]]として機能する[[WD40-repeat containing protein 41]] ([[WDR41]])と三者複合体を形成する<ref name=Yang2016><pubmed>27617292</pubmed></ref><ref name=Sellier2016><pubmed>27103069</pubmed></ref><ref name=Su2020><pubmed>32848248</pubmed></ref><ref name=Tang2020><pubmed>32303654</pubmed></ref>。この複合体は協調的に種々の低分子量G タンパク質の活性制御に関与し、他のDENNファミリータンパク質同様、DENNドメインを介して基質からGDPの解離を促進し、GTP結合型への変換を誘導するGEFとして機能する<ref name=Yang2016><pubmed>27617292</pubmed></ref><ref name=Sellier2016><pubmed>27103069</pubmed></ref>。逆に、[[クライオ電子顕微鏡]]による複合体の構造解析や生化学的解析では、[[GTPase活性化タンパク質]]([[GTPase activating protein]], [[GAP]])としての機能も報告されている<ref name=Su2020><pubmed>32848248</pubmed></ref>[16]<ref name=Tang2020><pubmed>32303654</pubmed></ref>。C9orf72タンパク質が相互作用する代表的な低分子量Gタンパク質は、[[小胞輸送]]に関与するRabファミリータンパク質であり、これによってオートファジーやシナプス機能などの様々な生体反応を制御することが明らかになっている。また近年では、自然免疫応答の制御においても重要な役割を担うことが示唆されている。
 DENNファミリータンパク質の1つであるC9orf72タンパク質は、同じくDENNドメインを有する[[Smith-Magenis chromosome region 8]] ([[SMCR8]])および[[足場タンパク質]]として機能する[[WD40-repeat containing protein 41]] ([[WDR41]])と三者複合体を形成する<ref name=Yang2016><pubmed>27617292</pubmed></ref><ref name=Sellier2016><pubmed>27103069</pubmed></ref><ref name=Su2020><pubmed>32848248</pubmed></ref><ref name=Tang2020><pubmed>32303654</pubmed></ref>。この複合体は協調的に種々の低分子量G タンパク質の活性制御に関与し、他のDENNファミリータンパク質同様、DENNドメインを介して基質からGDPの解離を促進し、GTP結合型への変換を誘導するGEFとして機能する<ref name=Yang2016><pubmed>27617292</pubmed></ref><ref name=Sellier2016><pubmed>27103069</pubmed></ref>。逆に、[[クライオ電子顕微鏡]]による複合体の構造解析や生化学的解析では、[[GTPase活性化タンパク質]]([[GTPase activating protein]], [[GAP]])としての機能も報告されている<ref name=Su2020><pubmed>32848248</pubmed></ref><ref name=Tang2020><pubmed>32303654</pubmed></ref>。C9orf72タンパク質が相互作用する代表的な低分子量Gタンパク質は、[[小胞輸送]]に関与するRabファミリータンパク質であり、これによってオートファジーやシナプス機能などの様々な生体反応を制御することが明らかになっている。また近年では、自然免疫応答の制御においても重要な役割を担うことが示唆されている。


=== オートファジーの制御 ===
=== オートファジーの制御 ===
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=== シナプス機能の制御 ===
=== シナプス機能の制御 ===
 C9orf72タンパク質が相互作用するRab39bは、[[AMPA型グルタミン酸受容体]]の小胞輸送およびリサイクリングに関与し、[[受容体]]のサブユニット構成やシナプスの電気生理学的特性を調節する<ref name=Mignogna2015><pubmed>25784538</pubmed></ref>。C9orf72ノックアウトマウスでは、シナプス後部においてRab39bの発現が低下し、AMPA型グルタミン酸受容体[[GluR1]]サブユニットの発現が亢進することが報告されており、C9orf72タンパク質がRab39bの発現や活性を制御することでシナプス機能を調節している可能性が示唆されている<ref name=Xiao2019><pubmed>31651360</pubmed></ref>[21]
 C9orf72タンパク質が相互作用するRab39bは、[[AMPA型グルタミン酸受容体]]の小胞輸送およびリサイクリングに関与し、[[受容体]]のサブユニット構成やシナプスの電気生理学的特性を調節する<ref name=Mignogna2015><pubmed>25784538</pubmed></ref>。C9orf72ノックアウトマウスでは、シナプス後部においてRab39bの発現が低下し、AMPA型グルタミン酸受容体[[GluR1]]サブユニットの発現が亢進することが報告されており、C9orf72タンパク質がRab39bの発現や活性を制御することでシナプス機能を調節している可能性が示唆されている<ref name=Xiao2019><pubmed>31651360</pubmed></ref>。


=== 細胞骨格の制御 ===
=== 細胞骨格の制御 ===
 C9orf72タンパク質は、Rabファミリータンパク質とは異なる低分子量G タンパク質である[[Arfファミリータンパク質]]とも相互作用し、特に[[Arf6]]との相互作用を介して、運動ニューロンにおける[[アクチン]]細胞骨格の動態を制御することが報告されている<ref name=Su2020><pubmed>32848248</pubmed></ref>[16]<ref name=Sivadasan2016><pubmed>27723745</pubmed></ref>。培養神経細胞ではC9orf72遺伝子の過剰発現によって[[軸索]]が伸長し、ノックダウンによって短縮することが確認されている<ref name=Sivadasan2016><pubmed>27723745</pubmed></ref>。
 C9orf72タンパク質は、Rabファミリータンパク質とは異なる低分子量G タンパク質である[[Arfファミリータンパク質]]とも相互作用し、特に[[Arf6]]との相互作用を介して、運動ニューロンにおける[[アクチン]]細胞骨格の動態を制御することが報告されている<ref name=Su2020><pubmed>32848248</pubmed></ref><ref name=Sivadasan2016><pubmed>27723745</pubmed></ref>。培養神経細胞ではC9orf72遺伝子の過剰発現によって[[軸索]]が伸長し、ノックダウンによって短縮することが確認されている<ref name=Sivadasan2016><pubmed>27723745</pubmed></ref>。


=== 自然免疫応答の制御 ===
=== 自然免疫応答の制御 ===
 C9orf72ノックアウトマウスでは、[[脾腫]]や[[リンパ節]]腫脹といった免疫系組織の腫大が認められ、さらに[[Type Iインターフェロン]]などの[[炎症性サイトカイン]]や[[自己抗体]]の産生が亢進していることから、免疫系における役割が注目されている<ref name=ORourke2016><pubmed>26989253</pubmed></ref><ref name=SudriaLopez2016><pubmed>27206760</pubmed></ref>。特に、骨髄系細胞特異的C9orf72[[ノックアウトマウス]]においても、同様の異常が確認されることから、同細胞での作用が免疫系の制御に重要であると考えられる<ref name=McCauley2020><pubmed>32814898</pubmed></ref>。その詳細な機序は未解明であるものの、C9orf72タンパク質がオートファジー活性を調節することで、[[STING]]や[[mTORC1]]といった自然免疫応答に関与する分子の発現を制御する可能性が示唆されている<ref name=McCauley2020><pubmed>32814898</pubmed></ref>[25]<ref name=Shao2020><pubmed>31847700</pubmed></ref>[26]
 C9orf72ノックアウトマウスでは、[[脾腫]]や[[リンパ節]]腫脹といった免疫系組織の腫大が認められ、さらに[[Type Iインターフェロン]]などの[[炎症性サイトカイン]]や[[自己抗体]]の産生が亢進していることから、免疫系における役割が注目されている<ref name=ORourke2016><pubmed>26989253</pubmed></ref><ref name=SudriaLopez2016><pubmed>27206760</pubmed></ref>。特に、骨髄系細胞特異的C9orf72[[ノックアウトマウス]]においても、同様の異常が確認されることから、同細胞での作用が免疫系の制御に重要であると考えられる<ref name=McCauley2020><pubmed>32814898</pubmed></ref>。その詳細な機序は未解明であるものの、C9orf72タンパク質がオートファジー活性を調節することで、[[STING]]や[[mTORC1]]といった自然免疫応答に関与する分子の発現を制御する可能性が示唆されている<ref name=McCauley2020><pubmed>32814898</pubmed></ref><ref name=Shao2020><pubmed>31847700</pubmed></ref>。
[[ファイル:Nagai C9orf72 Fig2.jpg|サムネイル|'''図2. C9orf72連鎖性ALS/FTDの病態機序'''<br>非翻訳領域のGGGGCCリピート配列の異常伸長によって、1) C9orf72タンパク質の発現が低下し、遺伝子の機能喪失をきたす。また、2) リピートRNAはRNA結合タンパク質を巻き込みながらRNA fociとして凝集し、これらのタンパク質の生理的機能を撹乱する。さらに、3) リピートRNAから非古典的なRAN翻訳によって異常なDPRが産生される。これら3つの主要な病態メカニズムが協調的に神経変性に寄与する。]]
[[ファイル:Nagai C9orf72 Fig2.jpg|サムネイル|'''図2. C9orf72連鎖性ALS/FTDの病態機序'''<br>非翻訳領域のGGGGCCリピート配列の異常伸長によって、1) C9orf72タンパク質の発現が低下し、遺伝子の機能喪失をきたす。また、2) リピートRNAはRNA結合タンパク質を巻き込みながらRNA fociとして凝集し、これらのタンパク質の生理的機能を撹乱する。さらに、3) リピートRNAから非古典的なRAN翻訳によって異常なDPRが産生される。これら3つの主要な病態メカニズムが協調的に神経変性に寄与する。]]