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英語名:addiction 独:Sucht 仏:addiction | 英語名:addiction 独:Sucht 仏:addiction | ||
快情動を生じる物質の摂取や行為などを繰り返し行った結果、これを求める耐え難い欲求が生じ、これらを追い求め、これらがないと不快な症状を生じてしまう状態。特に[[物質依存]]は、耐性や離脱を伴い、社会的な障害を引き起こす重大な[[精神疾患]]である。その病態には、[[ドーパミン]]、[[オピオイド]]が関与し、脳構造の中では[[側坐核]]や[[拡張扁桃体]]が関与する。また、依存症には[[GIRKチャネル]]の関与が示唆されている。さまざまな薬物療法や心理社会的治療が行われる。 | |||
==依存症とは== | ==依存症とは== | ||
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=== 依存性物質と報酬系 === | === 依存性物質と報酬系 === | ||
依存性物質は[[シナプス伝達]]に影響を与える特異的な標的、たとえば[[モノアミントランスポーター]]、[[オピオイド受容体]]、[[カンナビノイド受容体]]、[[セロトニン#.E3.82.BB.E3.83.AD.E3.83.88.E3.83.8B.E3.83.B3.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|セロトニン受容体]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]、[[GABA受容体]]、[[ニコチン性アセチルコリン受容体]]、[[アデノシン受容体]]などに作用する(図1)。これらの作用が次の標的分子へ作用するといった連鎖の結果、最終的に快情動([[報酬]]効果)を発現させる。依存性薬物が共通に作用する部位として[[腹側被蓋野]]の[[ドーパミン神経細胞]]から[[辺縁系]] | 依存性物質は[[シナプス伝達]]に影響を与える特異的な標的、たとえば[[モノアミントランスポーター]]、[[オピオイド受容体]]、[[カンナビノイド受容体]]、[[セロトニン#.E3.82.BB.E3.83.AD.E3.83.88.E3.83.8B.E3.83.B3.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|セロトニン受容体]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]、[[GABA受容体]]、[[ニコチン性アセチルコリン受容体]]、[[アデノシン受容体]]などに作用する(図1)。これらの作用が次の標的分子へ作用するといった連鎖の結果、最終的に快情動([[報酬]]効果)を発現させる。依存性薬物が共通に作用する部位として[[腹側被蓋野]]の[[ドーパミン神経細胞]]から[[辺縁系]]、特に側坐核に投射する神経回路がある<ref><pubmed>9768834</pubmed></ref><ref><pubmed>11252991</pubmed></ref><ref><pubmed>15102958</pubmed></ref>。快情動を伴う体験をするときに、中脳の腹側被蓋野から前脳の側坐核へむかってのびているドーパミン神経細胞がドーパミンを放出し、ドーパミンを受け取った側坐核のニューロンで反応が起きることによって快情動が生じる。通常ドーパミン神経細胞は[[抑制性ニューロン]]によって働きが抑えられているが、依存性物質が抑制性ニューロンの働きを抑えることなどによって、ドーパミン神経細胞からドーパミンが大量に放出される。依存症では、その快情動の再体験を求めて依存性物質の使用と快情動の体験が繰り返されることで、依存性物質の使用が強化される。 | ||
また、側坐核にはモルヒネや[[ヘロイン]] | また、側坐核にはモルヒネや[[ヘロイン]]などの麻薬の受容体が存在することから、依存性物質の報酬効果にはドーパミン系に加えてオピオイド系も重要である<ref><pubmed>1346804</pubmed></ref>。オピオイド受容体以外にも依存性物質の標的分子は側坐核や腹側被蓋野に投射する神経細胞に多数存在する。 | ||
近年では[[分界条床核]]、[[扁桃体]][[中心核]]、[[側坐核]] | 近年では[[分界条床核]]、[[扁桃体]][[中心核]]、[[側坐核]]内側移行帯などの拡張扁桃体と呼ばれる辺縁系の脳部位が、依存性物質の報酬に関わっていることも知られている。[[前頭前野皮質]]に投射する神経回路は薬物誘発性の薬物再摂取に関与し、依存性物質に対する渇望感において重要な役割を担っていると考えられる。 | ||
=== 依存症におけるGIRKチャネルと報酬系の関連 === | === 依存症におけるGIRKチャネルと報酬系の関連 === |