「Αアクチニン」の版間の差分

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 分子量は〜100kDaであり、[[カルポニン]]様ドメイン、[[スペクトリン]]様繰り返し配列(SpR)、EFハンド(骨格筋タイプではCa結合能を失っている)を持つカルモジュリン様ドメイン(CaM)からなる。二つの分子がN末端とC末端をアンチパラレルに結合したホモダイマーとなり、その両端がアクチン結合能を持つ。逆平行に結合したホモダイマーとして存在する。
 分子量は〜100kDaであり、[[カルポニン]]様ドメイン、[[スペクトリン]]様繰り返し配列(SpR)、EFハンド(骨格筋タイプではCa結合能を失っている)を持つカルモジュリン様ドメイン(CaM)からなる。二つの分子がN末端とC末端をアンチパラレルに結合したホモダイマーとなり、その両端がアクチン結合能を持つ。逆平行に結合したホモダイマーとして存在する。


 ACTN1と4のC末端[[カルモジュリン]]様ドメインのEFハンドは機能しており、[[カルシウム]]を結合するカルシウム制御性因子である。骨格筋型のACTN2と3の[[wikipedia:JA:EFハンド|EFハンド]]はカルシウム結合能を失っている。
 ACTN1と4のC末端[[カルモジュリン]]様ドメインのEFハンドは機能しており、カルシウムを結合するカルシウム制御性因子である。骨格筋型のACTN2と3の[[wikipedia:JA:EFハンド|EFハンド]]はカルシウム結合能を失っている。




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Image:ActinBindingDomain.png|<b>図1.αアクチニンの構造</b><br>[[カルポニン]]様ドメイン、[[スペクトリン]]様繰り返し配列(SpR)、EFハンド(骨格筋タイプではCa結合能を失っている)を持つカルモジュリン様ドメイン(CaM)からなる。二つの分子がN末端とC末端をアンチパラレルに結合したホモダイマーとなり、その両端がアクチン結合能を持つ。
Image:ActinBindingDomain.png|<b>図1.αアクチニンの構造</b><br>カルポニン様ドメイン、スペクトリン様繰り返し配列(SpR)、EFハンド(骨格筋タイプではCa結合能を失っている)を持つカルモジュリン様ドメイン(CaM)からなる。二つの分子がN末端とC末端をアンチパラレルに結合したホモダイマーとなり、その両端がアクチン結合能を持つ。
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==発現==
==発現==


 代表的なアクチン結合タンパク質の名に恥じず、αアクチニンは基本的にはアクチン線維と共存している。アクチン線維の構造の制御と他のタンパク質をアクチン線維([[細胞骨格]])に結合する[[足場/骨格タンパク質]](scaffold protein)として機能している。[[シナプス]]においては[[シナプス後膜]] (post-synaptic densities)に局在しアクチン線維と[[NMDA受容体]]の連絡に関与していると考えられている。ACTN2は[[海馬]]の[[歯状回]](dentate gyrus)で[[CA1]]より強く発現している<ref><pubmed>9454847</pubmed></ref>。細胞骨格と[[wikipedia:ja:悪性腫瘍|悪性腫瘍]]はその浸潤や増殖の過程で様々な関係が報告されていている。いわゆる細胞骨格タンパク質が転写制御を行うことが見いだされているが<ref><pubmed>20593452</pubmed></ref>、αアクチニンについても[[転写]]を活性化することが報告されている<ref name=ref100><pubmed>20037648</pubmed></ref>。[[脳腫瘍]]との関連では、たとえば脳腫瘍のなかで最も悪性の[[glioblastoma]]の浸潤との関連が指摘されている<ref name=ref100 />。
 代表的なアクチン結合タンパク質の名に恥じず、αアクチニンは基本的にはアクチン線維と共存している。アクチン線維の構造の制御と他のタンパク質をアクチン線維([[細胞骨格]])に結合する[[足場/骨格タンパク質]](scaffold protein)として機能している。[[シナプス]]においては[[シナプス後膜]] (post-synaptic densities、PSD)に局在しアクチン線維と[[NMDA受容体]]の連絡に関与していると考えられている。ACTN2は[[海馬]]の[[歯状回]](dentate gyrus)で[[CA1]]より強く発現している<ref><pubmed>9454847</pubmed></ref>。細胞骨格と[[wikipedia:ja:悪性腫瘍|悪性腫瘍]]はその浸潤や増殖の過程で様々な関係が報告されていている。いわゆる細胞骨格タンパク質が転写制御を行うことが見いだされているが<ref><pubmed>20593452</pubmed></ref>、αアクチニンについても[[転写]]を活性化することが報告されている<ref name=ref100><pubmed>20037648</pubmed></ref>。[[脳腫瘍]]との関連では、たとえば脳腫瘍のなかで最も悪性の[[glioblastoma]]の浸潤との関連が指摘されている<ref name=ref100 />。




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 αアクチニンはシナプスにおいて相互作用する分子が複数同定されており、シナプスにおいて重要な働きをしていると考えられている。
 αアクチニンはシナプスにおいて相互作用する分子が複数同定されており、シナプスにおいて重要な働きをしていると考えられている。


#NMDA受容体<br>ACTN2は[[NMDA受容体]]と[[シナプス後膜]] (PSD)で特異的に結合している。この結合は、Ca/[[CaM]]で阻害されるので、NMDA受容体に抑制的に働いていると考えられている。
#NMDA受容体<br>ACTN2はNMDA受容体とシナプス後膜で特異的に結合している。この結合は、Ca/[[CaM]]で阻害されるので、NMDA受容体に抑制的に働いていると考えられている。
#Densin<br>Densinは膜貫通型糖タンパク質で細胞質側に[[PDZドメイン]]をもち、PSDに発現している。αアクチニンはDensinと特異的に結合している。また[[Densin]]はCaMKIIとも結合するので、ACTN-CaMKII-Densin複合体がシナプスの機能に関与していると考えられている。
#Densin<br>Densinは膜貫通型糖タンパク質で細胞質側に[[PDZドメイン]]をもち、PSDに発現している。αアクチニンはDensinと特異的に結合している。また[[Densin]]はCaMKIIとも結合するので、ACTN-CaMKII-Densin複合体がシナプスの機能に関与していると考えられている。
#A2A受容体<br>αアクチニンは[[アデノシンA2A受容体]]に結合し、A2A受容体の凝集と細胞内移行(internalization)に関与していると考えられている。
#A2A受容体<br>αアクチニンは[[アデノシンA2A受容体]]に結合し、A2A受容体の凝集と細胞内移行(internalization)に関与していると考えられている。