「アドレナリン」の版間の差分

編集の要約なし
(ページの作成:「'''「概要」''' アドレナリン(adrenaline)はノルエピネフリン(epinephrine, EP)とも呼ばれる。モノアミンの一種、またカテコー...」)
 
編集の要約なし
6行目: 6行目:


1893年、George Oliver(イギリス)は副腎(Adrenal)に薬理学的に劇的な効果を持つ物質が含まれることを発見した<ref name="ref1">'''G Oliver, EA Schäfer''' <br> On the physiological action of extract of the suprarenal capsules <br>''J. Physiol. Lond.'':1894;16;i-iv</ref>。1897年、John Abel (アメリカ)は副腎から粗抽出物を調製、これをエピネフリンと呼んだが<ref name="ref2">''' JJ Abel''' <br> On epinephrin, the active constituent of the suprarenal capsule and its compounds <br>'' Proc. Am. Phys. Soc.'': 1898; 3­4; 3­5</ref>、これには生理活性はなかった<ref name="ref3"><pubmed> 10678871</pubmed></ref>。その後、1901年、高峰と上中は副腎から生理活性物質を精製した<ref name="ref4">''' J Takamine '''<br> The isolation of the active principle of the suprarenal gland <br>''J. Physiol. Lond.'':1901;27;30P-39P </ref>。これをParke, Davis &amp; CoはAdrenalinという名前で販売した<ref name="ref3" />。  
1893年、George Oliver(イギリス)は副腎(Adrenal)に薬理学的に劇的な効果を持つ物質が含まれることを発見した<ref name="ref1">'''G Oliver, EA Schäfer''' <br> On the physiological action of extract of the suprarenal capsules <br>''J. Physiol. Lond.'':1894;16;i-iv</ref>。1897年、John Abel (アメリカ)は副腎から粗抽出物を調製、これをエピネフリンと呼んだが<ref name="ref2">''' JJ Abel''' <br> On epinephrin, the active constituent of the suprarenal capsule and its compounds <br>'' Proc. Am. Phys. Soc.'': 1898; 3­4; 3­5</ref>、これには生理活性はなかった<ref name="ref3"><pubmed> 10678871</pubmed></ref>。その後、1901年、高峰と上中は副腎から生理活性物質を精製した<ref name="ref4">''' J Takamine '''<br> The isolation of the active principle of the suprarenal gland <br>''J. Physiol. Lond.'':1901;27;30P-39P </ref>。これをParke, Davis &amp; CoはAdrenalinという名前で販売した<ref name="ref3" />。  
現在、アドレナリンとエピネフリンという呼称については、国により使用頻度が異なる。歴史的にはアドレナリンの方が正しい呼称と考えられ、欧州ではアドレナリンの方が一般的である。しかし、米国の、特に医学分野では、John Abelの影響の名残でエピネフリンの方が一般的である。日本では2006年の第十五改正日本薬局方よりアドレナリンが一般名称となった。fckLRfckLR「構造」fckLR (図1)fckLRカテコール基と二級アミノ基をもつ、カテコールアミン神経伝達物質の一種。また、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミンなどとともにモノアミン系神経伝達物質のグループを形成する。fckLRfckLR「合成」fckLR脳の一部の神経細胞、および副腎髄質中にあるクロム親和性細胞において合成される(図2)。他に、も合成されている。生合成に関わる酵素は以下の通り。fckLRfckLR・チロシン水酸化酵素 tyrosine hydroxylase (TH):EC 1.14.16.2。チロシンよりL-DOPA (L-3,4-dihydroxyphenylalanine)を合成する<ref name="ref5"><pubmed> 15569247 </pubmed></ref> <ref name="ref6"><pubmed> 21176768 </pubmed></ref> <ref name="ref7"><pubmed> 2575455</pubmed></ref>。


 現在、アドレナリンとエピネフリンという呼称については、国により使用頻度が異なる。歴史的にはアドレナリンの方が正しい呼称と考えられ、欧州ではアドレナリンの方が一般的である。しかし、米国の、特に医学分野では、John Abelの影響の名残でエピネフリンの方が一般的である。日本では2006年の第十五改正日本薬局方よりアドレナリンが一般名称となった。  
 現在、アドレナリンとエピネフリンという呼称については、国により使用頻度が異なる。歴史的にはアドレナリンの方が正しい呼称と考えられ、欧州ではアドレナリンの方が一般的である。しかし、米国の、特に医学分野では、John Abelの影響の名残でエピネフリンの方が一般的である。日本では2006年の第十五改正日本薬局方よりアドレナリンが一般名称となった。  
42行目: 40行目:
<br>  
<br>  


'''「代謝分解」''' アドレナリンの代謝分解には次の二つの酵素が重要である。  
'''「代謝分解」'''  
 
アドレナリンの代謝分解には次の二つの酵素が重要である。  


*'''モノアミン酸化酵素(monoamine oxidase, MAO):'''MAOはモノアミンのアミノ基をアルデヒド基に酸化する。MAOはミトコンドリア外膜に局在しに存在し、細胞内のノルアドレナリン(再取込みされたものを含む)の分解に関与する。ただしMAOに比べてvMAT2の方がノルアドレナリンに対する親和性がずっと高いため、シナプス小胞への取り込みの方がMAOによる分解よりも優先されると考えられる<ref name="ref14"><pubmed> 16552415</pubmed></ref>。MAOにはMAO-AとMAO-Bがあり、二つの別の遺伝子によりコードされている。MAO-AとMAO-Bはモノアミン作動性神経細胞およびグリア細胞に発現しているが、発現量は細胞の種類により異なり、また動物種によっても違いが見られる<ref name="ref14" />。マウス脳のノルアドレナリン作動性神経細胞には主にMAOAが発現している<ref name="ref15"><pubmed> 11793338 </pubmed></ref>。  
*'''モノアミン酸化酵素(monoamine oxidase, MAO):'''MAOはモノアミンのアミノ基をアルデヒド基に酸化する。MAOはミトコンドリア外膜に局在しに存在し、細胞内のノルアドレナリン(再取込みされたものを含む)の分解に関与する。ただしMAOに比べてvMAT2の方がノルアドレナリンに対する親和性がずっと高いため、シナプス小胞への取り込みの方がMAOによる分解よりも優先されると考えられる<ref name="ref14"><pubmed> 16552415</pubmed></ref>。MAOにはMAO-AとMAO-Bがあり、二つの別の遺伝子によりコードされている。MAO-AとMAO-Bはモノアミン作動性神経細胞およびグリア細胞に発現しているが、発現量は細胞の種類により異なり、また動物種によっても違いが見られる<ref name="ref14" />。マウス脳のノルアドレナリン作動性神経細胞には主にMAOAが発現している<ref name="ref15"><pubmed> 11793338 </pubmed></ref>。  
63

回編集