「コピー数変化」の版間の差分

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 一般的に用いるCNVの検出方法には、定量PCR法などの特定の遺伝子座(locus specific)を対象とする方法やアレイなどの全genome を対象とする方法がある<ref name="ref7"><pubmed>20002459</pubmed></ref>。  
 一般的に用いるCNVの検出方法には、定量PCR法などの特定の遺伝子座(locus specific)を対象とする方法やアレイなどの全genome を対象とする方法がある<ref name="ref7"><pubmed>20002459</pubmed></ref>。  


=== Array CGH  ===
=== Array CGH ===


[[Image:4ArrayCGH.png|thumb|300px|<b>図4.アレイCGH</b><br />比較ゲノムハイブリダイゼーション法(ComparativeGenomicHybridization:CGH)は全ゲノムを対象にDNAコピー数変化を調べるための効率的な方法。<br />Agilento社HPより一部改変引用]]  
[[Image:4ArrayCGH.png|thumb|300px|<b>図4 アレイCGH</b><br>比較ゲノムハイブリダイゼーション法(ComparativeGenomicHybridization:CGH)は全ゲノムを対象にDNAコピー数変化を調べるための効率的な方法。<br />Agilento社ウェッブページより一部改変引用。]]  


 Array CGHとは、[[wikipedia:JA:オリゴヌクレオチド|オリゴヌクレオチド]]あるいは[[wikipedia:JA:プラズミド|プラズミド]]DNAにクローン化したヒトゲノムの一部(プローブ)をチップ上に配置したアレイを基盤とする。コピー数変化を調べたい検体DNAと対照とするDNAをそれぞれ異なる波長の[[wikipedia:JA:蛍光色素|蛍光色素]]で標識をする。標識した2つのDNAを同量混合させ、[[wikipedia:JA:アレイ|アレイ]]上のプローブと競合的に[[wikipedia:JA:ハイブリダイズ|ハイブリダイズ]]させる。プローブに結合した検体DNAと対照DNAの蛍光シグナルの強度の比から検体DNAと対照DNAコピー数の比を算出することができる。具体的には、両試料でコピー数が等しい場合は同等のシグナル強度を示し、片方の試料に染色体の欠失あるいは重複があれば異なったシグナル強度を示す。(図4)
 Array CGHとは、[[wikipedia:JA:オリゴヌクレオチド|オリゴヌクレオチド]]あるいは[[wikipedia:JA:プラズミド|プラズミド]]DNAにクローン化したヒトゲノムの一部(プローブ)をチップ上に配置したアレイを基盤とする。コピー数変化を調べたい検体DNAと対照とするDNAをそれぞれ異なる波長の[[wikipedia:JA:蛍光色素|蛍光色素]]で標識をする。標識した2つのDNAを同量混合させ、[[wikipedia:JA:アレイ|アレイ]]上のプローブと競合的に[[wikipedia:JA:ハイブリダイズ|ハイブリダイズ]]させる。プローブに結合した検体DNAと対照DNAの蛍光シグナルの強度の比から検体DNAと対照DNAコピー数の比を算出することができる。具体的には、両試料でコピー数が等しい場合は同等のシグナル強度を示し、片方の試料に染色体の欠失あるいは重複があれば異なったシグナル強度を示す。(図4)


=== SNP array ===
=== SNP array ===


[[Image:5SNParray.png|thumb|300px|<b>図5.SNP array</b><br />検体DNAを断片化した後に蛍光色素で標識し、熱変性条件下でチップと反応させる]]  
[[Image:5SNParray.png|thumb|300px|<b>図5 SNP array</b><br>検体DNAを断片化した後に蛍光色素で標識し、熱変性条件下でチップと反応させる。]]  


 2004年頃Affymetrix社の[[一塩基多型]](SNP)解析用arrayでコピー数解析ができるようになった。このアレイはreference genomeを必要とせず、疾患のゲノムだけで解析が可能である。アレイ上には対立遺伝子の25-merのプローブがあり、既知のSNPサイトに対して異なる塩基(例えばCもしくはT)を搭載している。相補的な配列を持つラベル化された検体DNAがプローブに結合する際、SNPサイトにミスマッチが存在すると結合しにくくなり、シグナルは弱くなる。最近のSNPアレイを用いるとgenotypeも同時に検出が可能で、更にアリルピーク(Genotype: 2 copyの場合 AA/AB/BB, 3 copyの場合 AAA/AAB/ABB/BBB, 1 copyの場合A/B) を見ることで情報性が付加されたコピー数変化としてとらえることが可能となり信頼性が増した。(図5)
 2004年頃Affymetrix社の[[一塩基多型]](SNP)解析用arrayでコピー数解析ができるようになった。このアレイはreference genomeを必要とせず、疾患のゲノムだけで解析が可能である。アレイ上には対立遺伝子の25-merのプローブがあり、既知のSNPサイトに対して異なる塩基(例えばCもしくはT)を搭載している。相補的な配列を持つラベル化された検体DNAがプローブに結合する際、SNPサイトにミスマッチが存在すると結合しにくくなり、シグナルは弱くなる。最近のSNPアレイを用いるとgenotypeも同時に検出が可能で、更にアリルピーク(Genotype: 2 copyの場合 AA/AB/BB, 3 copyの場合 AAA/AAB/ABB/BBB, 1 copyの場合A/B) を見ることで情報性が付加されたコピー数変化としてとらえることが可能となり信頼性が増した。(図5)


=== 定量PCR法(quantitative real time polymerace chain reaction: qPCR)  ===
===定量PCR法===
 
Quantitative real time polymerace chain reaction: qPCR


 これは標的とするゲノム領域のCNVをスクリーニングするのに最も一般的に使用される方法の一つである。標的とする遺伝子(領域)に対してプライマーを設計し、蛍光色素をとりこませながら[[wikipedia:JA:PCR|PCR]]で増幅させ、PCR産物の増幅効率を測定する。 テンプレートの量に応じて増幅効率が異なるのを利用して、DNAの定量(コピー数解析)が可能である。  
 これは標的とするゲノム領域のCNVをスクリーニングするのに最も一般的に使用される方法の一つである。標的とする遺伝子(領域)に対してプライマーを設計し、蛍光色素をとりこませながら[[wikipedia:JA:PCR|PCR]]で増幅させ、PCR産物の増幅効率を測定する。 テンプレートの量に応じて増幅効率が異なるのを利用して、DNAの定量(コピー数解析)が可能である。  


=== MLPA法(multiplex ligation-dependent probe amplification 法)  ===
=== MLPA法===
 
Multiplex ligation-dependent probe amplification


 この方法は標的とする遺伝子(領域)に対して特異的に結合するプローブを用い、標的ゲノムDNA上でligationを行いligationされたDNAを鋳型とし蛍光標識プライマーでPCR増幅させ、異なる長さの増幅断片を電気泳動解析により検出する。ピーク面積は標的遺伝子領域のコピー数を反映し重複や欠失を定量的に捉えることができる。
 この方法は標的とする遺伝子(領域)に対して特異的に結合するプローブを用い、標的ゲノムDNA上でligationを行い、ligationされたDNAを鋳型とし蛍光標識プライマーでPCR増幅させ、異なる長さの増幅断片を電気泳動解析により検出する。ピーク面積は標的遺伝子領域のコピー数を反映し重複や欠失を定量的に捉えることができる。


== CNVと疾患関連性  ==
== CNVと疾患関連性  ==