「ゴルジ染色」の版間の差分

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== ゴルジ染⾊の問題点 ==
== ゴルジ染⾊の問題点 ==
 ゴルジ染⾊は、我々が⽇常⾏なっている化学染⾊や免疫染⾊と⽐べて、煩雑でかつ成功までには少々の技術を要するため、そう簡易な染⾊⽅法ではない。ゴルジ染液に浸して作成した切⽚は乾燥に弱く、少しでも乾くとクラック(ひび割れ)が⼊って標本として利⽤できなくなるため、スライドガラスへの貼り付けは⾵乾ではなく、物理的に⼒を加えて圧着し、湿箱内で静置して標本とスライドガラスを接着させるなどの⼯夫が必要となる。また、ゴルジ染⾊は、たやすく神経細胞のみを選択的に染⾊すると思われがちであるが、浸漬時間や温度などの条件によって、神経細胞に加えて[[グリア細胞]]や[[血管内皮]]が染⾊されることもある(7,8)。ゴルジ・コックス染⾊液では、⼆クロム酸カリウムだけでなく、クロム酸カリウムを加えているが、⼆クロム酸カリウム溶液(5% ⽔溶液でpH 8.5 からpH9.5 を⽰す)によって酸性に傾いた⽔素[[イオン]]濃度を中性に戻す働きがある(4,8, 11)。このことから、反応温度や時間にくわえて溶液のpH も染⾊結果に影響をもたらすと理解できる。
 ゴルジ染⾊は、我々が⽇常⾏なっている化学染⾊や免疫染⾊と⽐べて、煩雑でかつ成功までには少々の技術を要するため、そう簡易な染⾊⽅法ではない。
 
 ゴルジ染液に浸して作成した切⽚は乾燥に弱く、少しでも乾くとクラック(ひび割れ)が⼊って標本として利⽤できなくなるため、スライドガラスへの貼り付けは⾵乾ではなく、物理的に⼒を加えて圧着し、湿箱内で静置して標本とスライドガラスを接着させるなどの⼯夫が必要となる。
 
 また、ゴルジ染⾊は、たやすく神経細胞のみを選択的に染⾊すると思われがちであるが、浸漬時間や温度などの条件によって、神経細胞に加えて[[グリア細胞]]や[[血管内皮]]が染⾊されることもある(7,8)。
 
 ゴルジ・コックス染⾊液では、⼆クロム酸カリウムだけでなく、クロム酸カリウムを加えているが、⼆クロム酸カリウム溶液(5% ⽔溶液でpH 8.5 からpH9.5 を⽰す)によって酸性に傾いた⽔素[[イオン]]濃度を中性に戻す働きがある(4,8, 11)。このことから、反応温度や時間にくわえて溶液のpH も染⾊結果に影響をもたらすと理解できる。


== 参考⽂献 ==
== 参考⽂献 ==